第69話 進化
それから1ヶ月もすると荒野に出現する機械獣の数は以前のレベルに戻ってきた。
Bランクハンター達は日々荒野に出てはD3,D4地区で小型を中心に討伐し、Aランクハンターは主としてD5地区より奥で大型と小型を倒している。
「大型2、小型4 距離4,000」
インターコムを通じてエリンの声がしてくる。廃墟の中でリンドウはロングレンジライフルをセットすると3,200で1体、3,000ちょっとでもう1体を倒すとスコープから顔を上げた。そうして1,000でエリンとルリの銃が3点バーストで火を噴くと小型4体をあっと言う間に殲滅する。
「腕は鈍ってないわね」
「ああ。お互いにな」
久しぶりに荒野に出たリンドウとエリンとルリ。支部の車を借りてD4地区まで足を伸ばして廃墟に陣取るとそこで付近にいる機械獣を討伐している。3人とも金稼ぎではなく射撃の訓練の一環だ。
その後も移動しながらリンドウはロングレンジライフルから狙撃銃に持ち替えては3人で遭遇する機械獣を討伐してとある廃墟に車を止めた時、
「誰かいるわ」
車から降りたルリが廃墟から少し離れた場所に同じ様な四輪駆動車が止まっているのを見つけた、その近くには蜘蛛型の大型機械獣が倒れている
そこにいた3人もこちらの3人に気づいた様で顔を上げると
「ランディ、それにワシントンとウイリアムズじゃない」
「ああ、エリンとルリ、それにリンドウか」
リンドウが手を上げるとそれに答える3人。そうして近づくとランディ達が倒した機械獣を見ろと顔をそちらに向ける、
「何?これ?」
ルリの声に続けてエリンが
「…マシンガン?」
「そうだ。この大型は背中にマシンガンを背負ってた」
ランディが言うと顔を見合わせるエリン、ルリ、リンドウの3人。リンドウはその機械獣に近づいて背中の部分を触って、
「装甲も今までのより厚くなってないか?」
「その通りだ。俺達3人でコイツを見つけて撃ったんだが1発では沈まなかった。装甲が厚くなってる」
「マシンガンは撃ってきたのか?」
リンドウの立て続けの質問に首を横に振る3人、ワシントンが
「結局ランディが狙撃で1,000メートル以上のところでコイツを倒したんだよ。だからこの機械獣のマシンガンの射程距離は1,000以下だと思う」
「スコープを覗いたらこのマシンガンが見えたんでな。こりゃすぐに倒さないとと思って狙撃銃で撃ち抜いたのさ」
「なるほど」
ランディの言葉に頷くリンドウ。自分でもそうするだろう。敵のマシンガンを見て悠長に構えらるのならそいつは間違いなく早死にする。
「回収屋は呼んだの?」
「ああ、前線基地からこっちに向かってる途中だ」
回収屋とはハンター達の中で使われている言葉で正確には都市国家防衛隊資材回収部隊という名称だ。荒野で残骸となっている機械獣を集めて都市国家に持ち込むのが仕事だ。持ち込んだ機械獣のパーツは分解、溶解されて都市国家の資材として再利用されている。
「それにしても進化するとは思っていたけど、いきなりのマシンガンを装備しちゃったのか」
ルリが言ってる間もリンドウは機械獣の周囲を歩いては見ている。ランディは見事に機械獣の頭と胴体の部分に弾丸を撃ち込んでいて綺麗に首が跳ね飛ばされて離れた場所に頭だけ落ちていた。その頭の部分も見て持ち上げて、
「頭の重さは変わってないな。胴体と足を強化して背中にマシンガンを装着したのか。マシンガンを撃っても身体が大きくブレない様にしたんだな」
「そういうことになるな。今まではこの背中に小型を乗せていたがその代わりにマシンガンを装着した様だ。ただ装甲が厚くなった分重たくなったんだろう。今までの蜘蛛型のよりもさらに速度は遅い」
「なるほど」
「それにしても厄介ね」
ルリの呟きに全くだと答えるランディ。
「私達は今日久しぶりに荒野に出てD4地区でウロウロしながら大型を倒してたけどマシンガンを背負ってるのはいなかったわね」
エリンの言葉に
「俺たちもそうさ。こいつが初めてみた奴だ」
そう言ったランディを見て、
「これから増えるぞ」
「そうだろうな。コイツは脅威だ。まずはこのマシンガンの有効射程距離を調べてもらわないとな。下手すりゃ乱射タイプのハンターは武器を替える必要が出てくるぜ」
しばらくすると装甲車に護衛をされた都市防衛隊のトラックがやってきた荒野に倒せている機械獣を見てビックリする。クレーンで持ち上げてトラックに積み込む作業を見ながら装甲車に乗ってきた防衛隊の連中にランディが見た限りで気づいたことを報告している。そうしてトラックに積み込むと再び装甲車の護衛で都市国家を目指していった。
「俺たちも帰るか」
「そうね」
ランディらも戻るといい、四輪駆動車2台連ねてD門から都市に戻るとランディら3人は報告に行くと支部の方に向かっていった。
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