第17話 新しい銃
そうしてその日も2人のマンションに泊まったリンドウ。翌日3人で行きつけのサムの武器屋を訪ねるとエリンとルリの希望の銃があるかどうかを確かめる。いつもの事だが3人で通りを歩いていると2種類の視線が3人に注がれてくる。1つの視線はエリンとルリを見る男達の卑猥な視線だ。これはもう慣れっこになっているのかエリンとルリは全く表情を変えずに無視している。そうしてもう1つの視線はAランクを見る畏怖の視線だ。特にリンドウの身体から出ている圧倒的な存在感は近くにいる者をたじろがせることもある。ランクAのハンターは気にはならないが。
店の奥から出てきたサムが2人の話を聞くと
「マシンガンぶっ放してる2人が銃を替えるってのはよっぽどの事情なんだろう」
サムはそう言ってから店の奥からいくつか銃を持ってきてテーブルに並べる。ハンターの事情を深く詮索しないところもサムの武器屋を気に入ってる点の一つだ。サムは1つの銃を手に取ると、
「こいつは連射に重きをおいている銃だ。射程距離は1,000メートル、弾は今のマシンガンのと同じのが使える。問題は1,000メートルになると弾が小さい分威力が落ちることだな。500以下なら問題ないんだが」
2人は渡された銃を手に取る。サムはテーブルに置いてある別の銃を手に持ち、
「こいつは逆にセミオートに重きを置いている銃になる。カタログ上の射程距離は1,200メートルだ。実戦では1,000は確実にいける。あんたら2人なら1,100でも大丈夫だろう。弾は最初のよりもデカくなる。そしてこの銃のはセミオートはで3点バーストなんだ。少し重くなるが2人なら問題ないだろう。オートとセミーオートとの切り替えボタンはこれだ」
それをテーブルに置くと最後の1つを手に取って、
「そしてこれがヤナギモデルと言われているヤナギの持ってる奴をベースに作った銃だ。射程は900メートルと落ちるが単発でも連射でも問題ない。ただこちらは威力を上げるためにさらに特注の弾丸を使用するので弾丸代がはねあがる」
2人は3つの銃をそれぞれ手に取ったり構えてみたりしている。
「この2番目の銃なんだけど、連射しても距離と命中率は下がらないって事よね」
聞かれたサムはちょっと待てと自分の端末を操作すると、
「もちろんだ。銃の反動も気にならないと聞いている。あんたら2人なら1,000メートルで連射しても全弾ぶちあてられるだろう」
「ありがと。それにしてもいい性能ね」
ルリ。
「そりゃ普通のハンターならおいそれと買えない値段の武器だ。性能は当然良いさ」
「カートリッジには何弾はいるの?」
「今持ってるのだと60弾、ヤナギモデルは45弾、それでこれは80弾だな」
「60弾かぁ」
「でも小さい弾丸を何発撃っても倒せないのなら意味ないしね」
エリンのとルリとのやりとりを黙ってきいていたリンドウ。銃を手に持ってしばらく悩んでいた2人はリンドウに顔を向けてどう思うと意見を聞いてきた。
「セミオートが3点バーストってのはお前さん達向じゃないの?単発でペチペチと撃つ戦闘スタイルじゃないだろ?それに最初の銃だとおそらく遠距離だとセミオートだと倒せないだろう?あの弾丸じゃ小さすぎる」
リンドウの言葉が2人の背中を押した様だ。
「じゃあこれにしようか」
と2番目の銃を購入することにした2人。購入した銃の全長は100センチ弱だ。弾は以前のより大きめとは言え当然リンドウの狙撃銃のよりは小さい。銃と弾を購入して端末から支払った2人。
早速試し打ちに行こうと店を出るとそのままD門から外に出る3人。門を出て近くにある廃墟に目標を書くと0補正をしてからそれぞれ試し打ちをする。
「いい銃ね」
「使いやすいわ」
リンドウは2人が荒野で試し打ちするのを見ていた。普段はおちゃらけている2人だが銃を構えるとその表情が一変して一流のハンターの顔つきになる。もちろん射撃の腕も一流だ。
800メートル先の廃墟の壁に向かって立射でセミオートで3点バーストをしそからオートの連射で壁の的に命中させていく2人。全弾命中している。最終的には1,000メートルでも2人とも見事に全弾命中させていた。それを見ていたリンドウは
「悪くないんじゃないのか?」
「ええ、長さも重さもいい感じよ、使いやすいわ。命中率も高いし」
「そうね、確かに使いやすい。サムも言ってたけど発射時の銃の反動も小さい。買い替えてよかったわ。あとは予備のカートリッジを入れるベルトを買えばとりあえず安心ね」
ルリとエリンも新しい銃の性能に満足していた。
敵も進化しているが武器も日々進化している。進化した武器を装備することが戦闘での生存率を上げることになる。リンドウの狙撃銃は最近購入したのでまだまだ新しいがそれもいずれは進化した武器に勝てなくなる。買い時を見極めないとなと2人の武器を見ながらリンドウは思っていた。
廃墟からD門に戻ってきた3人、車を降りる時に2人から
「ごめんね、リンドウ。今日は2人とも”仕事”が入ってるの。悪いけどまだ別の日に抱いて」
エリンが言うとルリも、
「本当はリンドウの方がずっといいんだけどさ、前から決まっていた”仕事”なの。だから今日は他の女で我慢しておいて」
「おいおい、俺は盛りのついた犬じゃないんだぞ。昨日あれだけしたじゃないかよ、今日は俺は元から何もする気がなかったぞ」
「うそでしょ、リンドウは毎日でもOKのケダモノだと思ってたわ」
「そうそう、嘘ついちゃだめよ」
そう言って彼女らのマンションに歩いていく2人の背中を見ながら昨日あれだけセックスして今日も仕事かよ、俺より盛りがついてるじゃないかよと呟きながらリンドウは借りていた車を支部に戻しに行った。
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