Web作家としての歩み 中編

(承前)


◆相互


 書き手を読者として想定するようになった、という話なのですが、これはもちろん書き手だけに受ければいいという話ではありません。


 ただ、すごい人気ジャンルでもないかぎり、Web小説が読まれるにはパイプが必要だと思うんですよ。


 もっと身も蓋もない言い方をするなら、「相互」です。


 と言っても、もちろん相互評価だけを目的としたつながりではなくて、ある程度感性が一致した相手とつながることで、自然と相互に読み合う関係になる、という形ですね。だいたいの書き手はこういう考えではないでしょうか。


 書き手が読んでくれればレビューを書いてくれたり、Twitterで感想を言ってくれますから、そこから読み専への導線というのも開けてくると思います。


 そういう意味でもやっぱり読んでてまったく評価できない、理解できない、という人とつながってもしょうがないんですよね。


 そして、できればどこかしら共通項がある方がいい。


 じゃないと、読者を引っ張ってきづらいですし、そもそもその書き手の人にも読んでもらえないと思います。

 

 自分が「いい読者」になれる書き手とつながれるのが、理想なわけです。


 その方が、書き手としてもいい刺激を得られますよね。



◆いい読み手


 そんなわけで、他の書き手さんを意識するようになったわけですが、いま思うとここはいまいち徹底できてない部分で、自分からあまり積極的に作品をスコップしたりこれはという人をフォローしたりっていうことをやってないんですよね。受け身なことが多いです。


 それでも、おもしろいと思った作品には感想なり評価なりを残すので、それをきっかけに向こうからフォローしてくれるということも少なくないのですが、そもそもわたしがそんなに読まないので、1作きりの関係みたいな方も多いです。


 書き手以前に「いい読み手」であること。おもしろさに貪欲であることっていうのも重要な条件だと思います。


 そこが弱かったかなという反省があるのですよね。わたしが読むのって、けっきょく書いてる人に興味を持った場合が多いんですよ。なので、Twitterやっててフォローしてる人の作品はやっぱり読みに行く確率が高いです。


 読む読まないの判断基準が、作品と直接は関係がないところに偏ってるんですよね。


 もちろん、前提として書き手としての信頼はあるのですけど。


 ただ、やっぱりサンプル数としては全然足りてないと思います。


 その少ないサンプルを参考に考えるので、思考の幅に限度があるのかなあと。



◆筆力こそパワー


 付き合いがある方の傾向なんですが、たぶん自分より年上の人がほとんどなんですよね。


 わたしが読み手としても書き手としても、作品にある程度の落ち着きを求めるのでそういう傾向があるのかなと。


 地に足が着いたリアリティの感覚? というのでしょうか。なんでしょうね、ギラギラしすぎてないのがいいんですよ。


 ジャンルで言えば現ドラが書ける人ですね。そこはたぶん、いちばんわかりやすい共通項で、わたしとも重なってくる部分です。


 なので、そういう観点から参考にする余地があるなあ、と。


 現ドラってけっきょく取材力と人生経験がものを言う部分が大きいんですよね。


 わたしが一番苦手な部分で、だからこそそれを反転させて主題にする戦略にたどり着いたのですが――


 それってやっぱり変則的な戦略で、現ドラって言ったら基本は人間力に裏打ちされた描写力、造形力で殴るものなんですよ。筆力、と言い換えてもいいかもしれませんが。


 なので、他の方の作品を読んでると真正面から殴られっぱなしになるわけです。


 それで、変則的な自分のやり方にちょっと自信を失ったというか、やり方を変える必要はなくとも、これに勝つつもりでやるならもっと徹底しないとダメだなと思うようになりまして、執筆のハードルが上がってしまったんですね。


 ここがむずかしいところで、小説ってうまい人を見て技術を盗むにしても、小説の真似だけで小説は書けないじゃないですか。パクリがどうとか以前に、説得力が欠けてきますよね。


 なので、たとえば読んだものに感銘を受けて自分で書こうと思っても、いきなりは書けなくて、広い意味での「取材」というのが必要になってくるんですよね。


 参考にした結果「取材しなさい」に落ち着いてしまうんですが、これはわたしが一番やりたくないことなので、やっぱりハードルが上がってしまうわけです。


「そんなに面倒なら、もっと楽に書けるジャンルを書けばいいのではないか?」と言われそうですが、わたしはそういう作品が好きなので仕方ありません。


 早い話、「文芸」がしたいんですよね。ジャンルとしてどうこうという以前に小説としておもしろいものが書きたいんです。



◆roundabout


 と、ぐだぐだと語っていたらまた紙幅が尽きてしまいました(1話につき、だいたい2000字前後を目安としています)。


 考えなしに書きはじめるのはいけませんね。全然まとまらないです。


 この連載も当初のイメージとはだいぶ外れたものになってきたので、そろそろ第1部完として、第2部をはじめようかなと思ってたりします。


 いまはまだ明確なビジョンがないのですが、何か浮かんだら実行に移そうかなあと。


 とりあえず、このテーマはもう少しだけ続きます。


(後編に続く)

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