第2話 出会い
私は大剣を構えつつ注意深く悲鳴が聞こえた方向に歩み寄る。さっきまでの低い草むらが終わり、今度は背丈ほどある藪に背景が変わる。下手に藪こきをすると葉っぱで身体に切り傷を作りそうだったので、大剣で藪を切り分けて進む。
やああっ!はああっ‼
ばっさばっさ藪をぶった斬る。
「はぁはぁ。結構な重労働ね……」
さっきの素振りより汗をかく。額に流れる汗を左腕で拭う。
きゃああ‼
藪の向こうで再び悲鳴が上がった。すぐ近くのようだ。私は注意深く接近を試みる。
十歩くらい進んだ所で藪が無くなって視界が開け、小高い丘が見えて来た。その手前で数人の人影が蠢くのを確認した。人間よりデカい図体で色も緑色だ。
「ゴブリンか?」
私は移動して注意深く観察する。
3体のゴブリンが、アーマービキニを着た人間の女の子の手足を押さえつけ、人間の腕よりも太っく馬鹿でかいイチブツをおっ立てて、アンダーに手をかけ、今にもおっぱじめようとしていた。
「あんなの挿れられたらたまったもんじゃない‼」
私は特に考えもせずに藪から飛び出してゴブリンに切りかかる。少女の悲鳴で私の接近に気がついていないようだ。
「天誅‼」
私は夢中でゴブリンに跳びかかりながら、上段の構えからゴブリンの脳天に目がけて『
ズバッァ‼
『黒石大剣』の切れ味は抜群だった。あっという間に真っ二つにして紫色の血液が体外に飛び散る。私は次の得物である向かって左側のゴブリンを突き刺す。
ドシュッ‼
そのゴブリンは大剣を引き抜くと同時に血を拭き出して地面に頭から前向きに崩れる。最後の1体は大剣を引き抜きながら水平に大剣を振って首を刎ねてやった。
トン。
ゴブリンの首が宙に浮き、地面に落ちて転がる。私は、周囲を見渡して他に敵がいない事を確認し、少女に声をかける。
「危なかったわね。大丈夫?」
「あ、はい…。ありがとうございます」
紫色のロングヘアに紫色のビキニアーマーと青紫色のマントを付けた少女は涙目で応じる。
「カワイイ//////」
「?」
「何でもないわ」
「クス。私はスーヤと申します」
「私はヨナよ」
こうして私はスーヤと出合った。
スーヤは立ち上がり、落ちていた魔女の帽子を拾って被り、大きな紫水晶が嵌っている魔杖を拾う。
「えっとぉ、スーヤって魔法使いなの?」
「私は魔杖使いなんです」
スーヤは身の上の事を色々と話してくれる。それにしても魔杖の魔法は一回ぽっきりとは大変だなぁ。そんな事を考えていると、スーヤの顔は真っ赤になり、もしもじし出す。
「あのぉ、ヨナさん」
「なあに」
雰囲気的にトイレではなさそうだ。
「私、今っ、魔法力0なんで、私とエッチしてくれませんか‼」
スーヤは耳まで真っ赤にしてうつむく。エッチすれば魔法力が回復するのか。私のビキニアーマーと一緒だなぁ。魔法装備の魔法力維持には使用者の生命力が必要で、正確には女性の愛液が、魔法力に転換されると天の声で説明があった。男の場合についての言及は無かった。
「うん。分かった。私のビキニアーマーにも必要だからね」
「はいっ!ありがとうございます♡」
スーヤは顔を赤らめながら笑顔になった。
「じゃあ、ここで…」
「待って、あっちの藪の方にしよう」
「あ、はい」
私とスーヤは藪の中に入る。それにしても初エッチが女の子同士で野外かあと思いながら適当な場所を探す。
「じゃあ、ここにしましょう」
そこは藪が生い茂っておらず、地面も乾いている。スーヤはマントを外して地面に敷く。
「本当は、テントになるんですが…」
スーヤは帽子を外し、魔杖から紫水晶を取り外しながら申し訳なさそうな顔をする。
「下が汚れないだけでもいいと思うけれど?」
私はそう言いながら収め剣の命令をして大剣を銀十字のペンダントに戻す。
それから、私とスーヤは唇を重ね、ビキニアーマーをずらし、身体を重ね合った。
翌朝。
スーヤのマントテントで一夜を過ごした。まあ、紫水晶に満タンの魔法力を込めるのにそれだけの時間が必要だったのだ。それにしても気怠いし、お腹も減った。
「ねえ、お腹減った」
私はスーヤの胸を揉みながら言った。
「あんっ♡じゃあ、食事にしましょう」
私とスーヤはビキニアーマーを付け直してマントテントから出て食事の支度をする食材は昨日のゴブリンの肉だ。魔法力をある程度回復させてからゴブリン3体を買い足して食材にし、魔石も回収できた。解体の仕方やステータスの見方、魔法装備や現在使用できる魔法にについて詳しく教えて貰う。魔法力を溜め込めながらなので、日数はある程度経過したが。
「倒したゴブリンの群れから魔石を回収できましたし、街に行ってギルドでヨナさんの冒険者登録をしましょう」
スーヤの提案で私は近くの街に行く事になった。
丘を越えて森に入る。道なんか無いから適当だ。通れる所を通る、という感じだ。私は森の中で食べられる木苺を見つけた。これは天の声で教えられた食材だ。その時、化けウサギが木の陰から飛び出して来た。
「抜剣‼」
私はすかさず大剣を取り出して構え、こっちに突進して来る化けウサギと戦闘になる。化けウサギの突進を横にジャンプしながら躱して『黒石大剣』を振り下ろして化けウサギの首を後ろから刎ねる。
ズバッ‼
化けウサギの首がごろりと転がり、胴体は暫く走った後にバタッと倒れた。
「ふう。危なかった」
私は一息ついて安堵する。
「あーっ‼ボクの得物がぁっ‼」
木の陰から弓を持ち銀色のビキニアーマーを着た銀髪の可愛らしい女の子が頭を抱えながら現れた。どうやら化けウサギはこの娘が狙っていた獲物だったらしい。
「化けウサギはあの子に譲ってあげたら?」
スーヤは私に提案する。
「うん。そうだね」
私はスーヤの提案を受け入れる事にした。
「ボクはリーラ。獲物を譲ってくれてありがとう」
木苺を採取し、化けウサギの解体が終わって、銀髪の女の子は笑顔で名乗ってお礼を言う。これから街に行くと言うとリーラは一緒に行きたいと言ってくれた。
「じゃあ、3人で行こう」
私とスーヤ、リーラの3人で街を目指す事になった。
つづく
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