第42話 開店!

 ここ数日、お店の開店準備をしてバタバタしていたら、もう開店の日になってしまった。


 朝起きて準備をしたら、くっきーと一緒に朝ごはんを食べよう。今日は卵サンドとBLTサンドを沢山作っておいた。

 昨日レイナさんに、明日は忙しくなるからお昼ごはんを作っておいた方が良いって教えて貰ったんだよね。


 作ったパンは、くっきーのアイテムボックスに仕舞っておいて貰った。朝ごはんを食べたら、お店の開店準備をしよう。


 この数日でストック出来る物は作ってあるので、後はお店を開けるだけなのです! 結局まだ人は雇っていないので、今日はのんびり頑張ります


 開店前にジークさんとレイナさんが来てくれた。


「くっきー様、サラ様。開店おめでとうございます」


「こちらは陛下から頂いたので、お店に飾っておきましょうね」


「レイナさん、それは何ですか?」


「これは陛下からの認定証ですね。これがあれば王室御用達なので、犯罪者も近寄れないでしょう」


「な、なるほど……。それはありがたいですね!」


 レイナさんの言うように、お店に飾っておく事にした。きちんと額に入れてくれていたのは、すぐに飾れるためなんだね。



 開店時間になったので、お店を開けよう。お店を開けて少しすると……。


「「陛下!?」」


「くっきー様、サラ様。開店おめでとうございます。うん、飾ってくれていて良かった」


「国王様、ありがとうございます。とても助かります。でも、ここに来て大丈夫なんですか?」


「あぁ、問題ないぞ! こっそり来たからな! はっはっは」


(いやいや、ダメでしょう!?)


 国王様は、とても楽しそうにお店の中を見まわしている。そして、紅茶とスコーンを注文してくれた。


(えっと……国王様からお金取るの?)


 と、とりあえず、紅茶を入れてスコーンをくっきーに出して貰おう。熱々のまま仕舞っておいてもらったので、焼き立てのスコーンがすぐに食べられるんだよね。


「お待たせしました」


「これは美味しそうだ!」


 国王様はのんびりとお茶を楽しんでくれた。国王様はカウンターに座っているので、目の前には専用の椅子に座っているくっきーもいる。

 ジークさんもレイナさんも側に立ってるけれど、他のお客様が来たらびっくりだよ?


 のんびりお茶を楽しんだ国王様は、満足して王城に戻って行った。さすがに国王様を1人で帰す事は出来ないので、ジークさんが護衛として一緒に戻って行ったよ。


「まさか最初のお客様が国王様だとは思いませんでしたね」


「そうですね……さすがにびっくりしましたね」


『国王様もサラのお菓子を食べたかったのくまね~』


「あっ、お持ち帰りして貰おうと思って忘れちゃった!」


「大丈夫ですよ。陛下はそれよりも、ここに来てのんびりするのがきっと気に入ったはずですから」


「レイナさん、それを許可しちゃうんですね」


「抜け出されると困りますけどね。息抜きも必要でしょうから、多少は多めに見ましょう」


『くふふ、レイナ優しいくまね』



 その後、少しずつお客様が来るようになってお昼頃になると、兵士さんや騎士さんが増えて来た。みんなお昼時なのに、お茶とお菓子で大丈夫なのかな?


「サラ様、このクッキー美味しいです!」


「良かったです! ゆっくりしていってくださいね~」


「ありがとうございます!」


 兵士さんや騎士さん達もにこやかにお茶をしている。帰りにはお土産にクッキーや焼き菓子も買っていってくれた。気に入ってくれて良かった~。


 ランチの営業も作るのが大変になるけれど、限定にして作ろうかな。夜とか朝に作っておけば出せる気がする。もう少し慣れたら考えようかな。


 レイナさんにはお店のキッチンで、くっきーと一緒にお昼ごはんを食べて貰おう。レイナさんとくっきーには緑茶を入れて出してあげる。


「サラ様、このパンとっても美味しいです!」


『レイナ、こっちの卵のも美味しいくまよ!』


「本当、とっても美味しいですね!」


「ふふっ、美味しく食べて貰えて嬉しいよ」


 少しすると、ジークさんが帰って来た。ちょっと疲れた顔をしている気がするから、緑茶を入れてキッチンでゆっくりご飯を食べて貰おう。


「ジークさん、おかえりなさい。キッチンでお昼ごはんをどうぞ~」


「サラ様、ありがとうございます」


 きっと国王様に、お仕事を手伝わされたとかしたんだろうな。レイナさんにもちょっとからかわれてるみたい。


 この世界に来てから浄化したりと忙しかったけれど、お店を開店出来た事でやっと少しだけホッと落ち着けた気がする。

 この国の人達も、国王様達もとても優しくて温かい人達なので、これからもきっとこうやってのんびり過ごせるんだろうな。フェリク王国ではどうなるかと思ったけれど、アレクシス王国に来て本当に良かった。


 お昼ごはんを食べ終わったくっきーを、カウンターの椅子に座らせてあげて一緒にお話しをする。


『サラ、どうしたくま? 何かあったくま?』


「ううん、なんだか周りの人達にも恵まれて、とっても楽しくて幸せだな~って思ってたの」


『そうくまね。浄化も終わったから平和になったし良かったくまね』


「うん、それにこうやってお店を開けたら、色々な人がにこにこしてくれるのも嬉しいよね」


『くふふっ、そうくまね』


「でも、またくっきーと2人で旅に出たいなとも思うんだよね。でも、今の私では難しいかなとも思うんだ~」


『そうくまね。サラはまだ7歳だから、きっとみんな心配でぼくと2人で旅に出してくれないと思うくまね』


「だよね~」


『ジークとレイナがいちゃダメくま?』


「ダメじゃないよ。ジークさんもレイナさんも大好きだもん! だけど、くっきーと2人でのんびりも好きなんだよね」


『くふふ。ぼくもサラと2人でのんびりも好きくまよ。レイナと食べ物の話をするのも好きくま!』


「ふふっ、そうだよね!」


 そうなんだよね、私がまだ7歳だからさすがに旅には出られない。もう少し大きくなったら、またくっきーと旅をしてみようかな。


「そうそう、空中都市でみた日記にね、この世界の色々な所に色々な食材が散らばっているって書かれていたから、食材集めの旅もしたいんだよね」


『くま!? それは大事くま! 行くくまー!』


「待って待って! 今から行けないんだからね?」


『そ、そうだったくまぁ……』


「ふふっ、だから私がもっと大きくなったら、食材集めの旅に出よう?」


『くふふっ、楽しみくま!』


「お店を拠点にあっちこっち探そうよ」


『楽しそうくま~!』


「ふふっ、新しい食材良いですね」


「サラ様がもう少し大きくなった時には、くっきー様と旅に出られるように、陛下に話しておきますね」


 くっきーと話しをしていたら、後ろからレイナさんとジークさんにそう声を掛けられた。


「くっきー様がいれば大丈夫でしょうから、きっとお2人で旅にも出られますよ」


「きっと心配でソワソワしちゃいますけど、その時にはお帰りをお待ちしてますね!」


「ジークさんもレイナさんも、ありがとうございます! でも、ジークさんもレイナさんも大好きなんですよ!」


「ふふっ、大丈夫ですよ~。でも後数年はご一緒させてくださいね」


「レイナさん、もちろんです! こちらこそよろしくお願いします!」


「サラ様、私もご一緒させてくださいね」


「ジークさんも、よろしくお願いしますね!」


 当分の間は、どこかに行くにも2人が一緒に来てくれると心強い返事を貰って嬉しい。


「ふふっ、楽しい事沢山しようね!」

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聖女? いいえ、やったのはこっちのくまです!~可愛いもふもふくまさんと行く異世界浄化旅~ 猫野 伽羅 @neko_kyara

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