第24話 街の周囲の浄化
朝目が覚めると隣にいるくっきーがすぴすぴまだ寝ている。気持ちよさそうな寝顔をついつい眺めちゃう。
(ふふっ、可愛い寝顔だなぁ~。でもすりすりしたい……むぎゅむぎゅしたーいっ!)
うずうずしながら少し眺めている。でもそろそろ我慢の限界です! かわいいものは可愛いっ! 可愛いは正義です! 抱っこしてもいいはず! 朝から脳内会議でおかしなテンションになっているのは気にしちゃダメ!
そぉっと控えめにすりすり、むぎゅっ。
くっきーは起きたのか、くっきーからもすりすりしてくれる。
(ふふっ、もっとすりすりしちゃーうっ! きゃーっ!)
『くふふっ、くすぐったいくまよ~』
「えへへ。だってくっきーがかわいかったんだもんっ!」
『ぼくもサラに抱き着いちゃうのくま~!』
「きゃーっ!」
朝からすりすりしてとっても癒された。よし、元気が出たし着替えて準備をして食堂へ向かおう。
「ジークさん、レイナさん。おはようございます」
『おはようくま~!』
「「おはようございます」」
みんなでご飯を食べて、今日の予定の話をする。今日は昨日よりもさらに大きく街の周囲の安全を確保する為に浄化をしていく予定だ。
「昨日、東門辺りのドロップ品が多かった気がするんですよね?」
「そうですね、なので東方面は更に奥まで浄化を出来ればと考えています」
「わかりました」
『分かったくまよ~』
ご飯を食べた後は、早速浄化に向かおう。南門から出ればほとんど浄化範囲に入るだろうという事なので、南門へ向かおう。
街に出ると、色々な人に挨拶をされる。みんなの元気が出て本当に良かった。南門を出たら、大きくなったくっきーの背中に乗って更に南へ浄化をしていく。
昨日よりさらに南まで来ると、今度は街の東の方へまわっていく。やっぱり、東の方へ行くと大分魔物が増えている感じでドロップ品が増えていく。
『あっ、やっぱり魔石がありそうくま!』
「くっきー様、案内をお願い致します!」
『任せるくま!』
くっきーはそう言うと、少しスピードを上げてさらに東の方へ進んで行く。少し進むと平原に出る。そこであまりの景色に言葉を失う……。
「くっきー……」
『これは、ひどいくまね』
「くっきー様、こんなにですか……」
平原に出たら、向こうの方に魔物達がひしめき合っているのが見える。あんな量の魔物がここら辺全体にいたなんて……。私の目の前にはドロップ品が重なり合うように落ちている。そしてその先には魔物達が凄い数いる。
『よし、どんどん浄化するくま!!』
「うん、くっきー。お願いします!」
「「くっきー様、よろしくお願いします!」」
『行くくまー!』
まずは見えている所のアイテムをアイテムボックスに収納してから、先に進んで行く。くっきーが進む度に先の方でぽふん! とどんどん魔物が消えてドロップ品を落としている。
きっと森の中や、洞窟の中もこんな感じだったんだろうな。くっきーの半径500メートルを浄化できるので、近くには魔物がいないからまだ怖さはあんまりない。近くに来たら絶対に怖い。
「すごい数だね……」
『そうくまね。しかもどこに魔石があるのか探すのが大変そうくま』
「うわぁ……確かにそうだね」
「くっきー様。終わりが見えてきました!」
『よし、後もう少し頑張るくまよ! サラ、終わったらお昼ごはん食べたいくまよー!』
「ふふっ。うん、食べようね! クッキーも食べて良いから、もう少しお願いね」
『やったくまー!』
それからも更に浄化を続けて1時間……なんとか魔物もいなくなって、アイテムも収納し終わった。
「くっきー、お疲れ様。凄い数だったね……ジークさもレイナさんもお疲れ様です」
「くっきー様、サラ様。ありがとうございました。あの数は凄かったですね……」
「本当に……あの数にはびっくりしました……遠くて良かったです」
「本当ですね」
『さすがにあの数はちょっとびっくりしたくまよ』
うん、私じゃなくてもあの数は引くよね。そういえば、動物さん達は大丈夫だったのかな?
「ねぇ、あの数の魔物で動物さん達は大丈夫だったのかなぁ?」
『魔物は動物を襲わないくまよ』
「えぇぇ?! そ、そうなの!?」
「そうですね」
『動物には魔力がないくまよ。魔物は魔力が欲しくて相手を襲うのくま』
「そうなんだ! あれ? っていうことは私も襲われないってこと?」
『だと思うくまよ。だけど、この世界の人間は魔力を持っているから襲われるくま』
「そういう事だったんだぁ」
「サラ様は魔力がないのですか?」
「はい。私のいた所は魔法が使えないので、魔力はないみたいです。魔法が使ってみたかったので残念です!」
「そうなのですか。しかし……だったら尚更薬草入りスープに癒しの効果が付いたのかが不思議ですね」
「ポーションを作るのに魔力がいるのですか?」
「えぇ。魔力がないとポーションが出来ませんね」
まさかの魔力がないとポーション自体が出来ないとは!? あ、危なかった……スープに使った事を後悔する所だったよ……ちゃんと癒しの効果が合って良かった!
「やっぱり王都に帰ったらスープの検証しましょうね。ちゃんとした知識がないから勿体ない事するところでした……」
「ふふっ、サラ様はそのままで良いのですよ?」
『そうくまね! サラのお料理は美味しいし、採取も出来る。魔力がなくても出来る事が沢山あるくま!』
「ふふっ、そうだね。ありがとう!」
でも、動物さんが無事な理由が分かって良かった。こんなに多い魔物が側にいても襲われないって、それはそれで凄い気がする。
「お昼ごはんにしましょうか」
『やったくまー!』
「食べましょう! くっきー様、今日は何を食べますか?」
『それが、ストックがなくなったくまー!!』
「あっ、そうだね。よし、じゃぁここで作ろう~!」
調理器具とか材料を出して貰い、お料理の準備をしよう! 今日はお醤油を使ったジーン焼きにしよう! やっぱり生姜焼きはお醤油味が好きなのです! お塩も美味しかったけどね?
後は牛乳を入れてミルクスープにしよう! お肉を漬けている間に、野菜を切ってスープを煮ていく。スープが出来上がる頃にお肉を焼いたら完成っ! パンに挟んでもいいから、パンを半分に切ってちょっとカリっと焼いておこう!
「サラ様~、お腹が空きました~!!」
『ぼくもくまよ~』
「ふふっ、もうすぐ出来るよ!」
「サラ様は魔法を使うようにお料理をなさいますね」
ジークさんがそう言ってくれる。
「そうですか?」
「えぇ、手際も良いですしサラ様がとても楽しそうなので、見ていて楽しくなります」
「ふふ、ありがとうございます。お料理は大好きなので嬉しいです!」
さて、ご飯の準備が出来たから食べよう~!
「さ、食べましょう~!」
「待ってました~!」
『やったくまー!』
「ありがとうございます」
みんなで一緒に食べ始める。うん、やっぱり生姜焼きはお醤油だよね! おいしー!
『サラっ! このジーン焼きなにくま?! 前のと違うくま!』
「ふふっ、この前お醤油を沢山買ったからね~。お醤油味のジーン焼きだよ!」
「サラ様、おいしすぎます~!! これ好きですっ!!」
「サラ様、これは本当に美味しいですね!」
レイナさんにもジークさんにも喜んで貰えた。にこにこで食べてくれるのを見ているだけでも嬉しい。
「それにサラ様。この牛乳を入れたスープも美味しいですね!」
「優しい味になりますよね~」
「牛乳はちょっと苦手だったのですが、これは美味しいです!」
『ミルクスープも美味しいくま!』
「ふふっ、嬉しいなぁ」
レイナさんは牛乳が苦手だったみたいだけど、きっとグラタンは好きだと思う! オーブンが使えるようになったら作ってあげたいなぁ!
みんなで美味しくご飯を食べたので、お片付けをしてまた大きくなったくっきーに乗せて、貰いコーラルの街の北門まで浄化して行こう。
途中で馬達を休ませながら進んで夕方前には帰って来られた。なるべく広範囲を浄化してきた。小さくなったくっきーを抱っこしながら門に歩いて行く。
「お疲れ様でした! 大分浄化出来た感じですね」
「そうですね。くっきー様、サラ様。お疲れ様でした、本当にありがとうございます!」
『ふふ、お疲れ様くまよ~』
「くっきー、私は怖い事を思い出したよ!?」
『くま!? ど、どうしたくま!?』
「今日のあの平原にあったドロップ品達をどうしたらいいの!?」
『くまぁ……確かにあの数は怖いくまね』
「うん!」
「あっ! 良い事考えた!」
『くま?』
「「サラ様?」」
「コーラルの街に少し寄付して、残りは王国に寄付しちゃいましょう!」
『あっ、それはいいくまね! 今回の魔物騒ぎで大分大変な事になっていると思うし、いいと思うくまよ』
「「くっきー様、サラ様っ!?」」
うん、この王国の食料も足りなくなっているだろうし、良いと思うんだよね。それにあんなにあっても正直困る!
「だって、各地への支援もまだまだ要りますよね?」
「帰って国王様に報告してみましょう」
「はい、ジークさんありがとうございます!」
ここら辺はジークさんにお任せするのが一番だろう。商業ギルドの倉庫に寄付をしてから宿に帰ろう。今日も宿に泊って明日帰る予定だ。
くっきーと宿の部屋に入り、クリーン魔法を掛けて貰ってから部屋着に着替える。着替えたらくっきーを抱っこしてベッドに入る。もふもふして、すりすりしてむぎゅむぎゅっとしておやすみなさい~。
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