第23話 コーラルの街へ
朝目が覚めると、くっきーに抱っこされている。
(そうだ、昨日は大きくなってくれて抱っこしてくれてたんだった)
思わずすりすり頬ずりしちゃう。うん、とっても癒されたし元気が出た!
「くっきー、おはよう。ありがとうね、元気出たよ!」
『サラ、おはようくま。良かったくまよ!』
そういうとくっきーは小さくなって、私のお着替えを出してくれた。着替えをして、出掛ける準備をしたらくっきーを抱っこして食堂へ向かう。
「ジークさん、レイナさんおはようござます!」
『おはようくま!』
「「くっきー様、サラ様。おはようございます」」
「昨日は心配をかけてごめんなさい」
「ふふっ、大丈夫ですよ」
「大丈夫ですよ。今日は急いで確認に行きましょう」
「ジークさん、レイナさん。ありがとうございます。ご飯を食べたら急いで向かいましょう!」
ご飯をくっきーと半分こしてもぐもぐ食べたら、出発しよう。宿を出てまずは東門へ向かう。手続きをして貰い外に出ると、大きくなったくっきーの背中に乗せて貰ったら出発!
東門から洞窟までは行っていたから、そこまでは、ほとんど魔物は居なかった。今日はそこからさらに先のコーラルの街へ行く予定だ。
途中、休憩を挟みながら先を急ぐ。洞窟の先に行くと、段々ドロップ品が増えて行く。くっきーは見える範囲のドロップ品をアイテムボックスに仕舞いながら先を急ぐ。
あまりのドロップ品の多さにお昼ごはんも食べずにコーラルの街へ急ぐ。
「くっきー様、サラ様。街が見えてきました!」
コーラルの街の門が見えてきた。無事でありますように……。
「門は無事です!」
ジークさんのその言葉で少しホッとした。でも他の門は分からないから、早く周りを見に行こう!
「このまま街の周りをぐるりと回りましょうか?」
「いえ、一度門で話を聞いてからにしましょう!」
「あっ、確かにそうですね!」
まずは門に着いたらジークさんが声を掛ける。すぐに中から声が帰って来た。
「街の中に魔物は入っているか?」
「いえ、こちらにその連絡は来ていないので、多分まだ街の中には入っていないはずです!」
そう門の中から声が聞こえた。良かった……。
「では、街の周りも魔物を浄化するからまだ門は閉じたままで頼む!」
「はいっ、分かりましたっ!!」
「くっきー様、サラ様、街の周りを浄化してしまいましょう!」
『そうくまね』
「そうですね、行きましょう! くっきー、もう少しお願い!」
『任せるくま!』
このまま、街の周りを急いでぐるりとまわって周囲の魔物を浄化してこよう! 他の門も危ないかもしれない。ここでも門が大分やられているみたいだから……後もう少し頑張って!
くっきーとお馬さん達に頑張って貰い1周まわってみると、全部の門も壁も大丈夫だった。すごくすごくホッとした。後は中に入って、怪我をした人がいないかの確認だね。
「門が無事で良かったです!」
「そうですね」
『サラ、後は中に入って確認するくまね?』
「うん、怪我をした人がいないかを確認しよう。確認はジークさんかレイナさんに任せて良いですか?」
「「はい、お任せを!」」
「私は薬草入りのスープを沢山作ります! まずはみんなに飲んで貰いましょう!」
『そうくまね。きっと心も体も疲れているくまね』
「うん、だから私はスープ作りをします。なので、他の事をお願いします!」
「サラ様の場所と道具を確保したら、私は冒険者ギルドへ行きます」
「では、私は商業ギルドへ行ってきますね」
「はい、ジークさんとレイナさんもよろしくお願いします」
門に着いたら、中に声を掛けて門の中に入れて貰う。レイナさんは商業ギルドへ走って行った。私達は冒険者ギルドに行き、作業場所を確保してくれる。ジークさんはそのまま怪我人の確認に走って行った。
私はくっきーに材料を出して貰い、薬草入りのスープを大鍋にまずは2個作っていく。怪我した人に早く飲ませてあげて欲しい。
スープを煮ている間、次のスープの準備をしていく。最終的に大鍋に5個になるように作っていく。まずは少しずつで良いから全員に飲んで貰いたい。
「サラ様、冒険者ギルドでかなりの怪我人が出ているみたいです」
「わわっ、ではこの出来ている2つを先に飲んで貰いましょう! くっきー、お願い出来る?」
『任せるくまよ!』
くっきーのアイテムボックスに仕舞って貰って、冒険者ギルドの怪我人を収容している地下に急ぐ。地下に行くと、やっぱり怪我人が結構いる。重症な人から飲んで貰うように手配してくれているみたいで、すぐにギルド職員さん達がお手伝いをしてくれる。
私はスープをよそって手渡していく。運ぶのはみなさんにお任せしているので、私はよそうだけだ。みんなが早く元気になりますように……。
重症の人に冷ましたスープを飲ませると、やっぱり身体が光って次の瞬間には傷が治っている。
「うん、やっぱりこのスープ凄いよね……」
とこそっとくっきーに声を掛ける。
『ほんとくまね……聖女様は凄いくま~』
「違うよ?!」
そんな話をこそっとしていたら、すごく大きな雄叫びが聞こえた!
(なになに?!)
重症の人の怪我が治っただけでなく、意識を取り戻したからだったみたいだ。職員さん達も茫然としちゃって動きが止まっている。
(早くスープを飲ませてあげて~!!)
そう思っていたら、ジークさんが大声で注意してくれた。
「早く怪我人にスープを飲ませてやれ!!」
(ジークさん凄い! かっこいいー!)
よし、職員さん達のやる気がすごく上がったのはさすがジークさんだよね! よし、私もがんばろう! 怪我が治った人がお手伝いに回ってくれるので、途中から職員さんにスープを任せて私は次のスープを作りに行った。
くっきーを抱っこして調理場に戻る。次のスープをどんどん作っていく。薬草もちゃんと入れて、元気の出るスープの完成っ!
スープが出来たので、ジークさんに声を掛けに行く。ちょうど地下に戻る前にジークさんに会った。もう全員スープを飲んで元気になったそうだ。良かった!
次は商業ギルドへ向かおうと思うので、ジークさんに案内して貰う。私だけだと通して貰えないだろうからね。
「怪我をした人達が治って良かったですね」
「えぇ、さすがサラ様ですね」
「いえいえ、薬草のおかげですよ~」
『薬草凄いのくまね~』
「そうだよね!」
商業ギルドへ着くと、レイナさんも忙しそうにパタパタ動いている。まずは商業ギルドの地下へ行ってスープを配ろう。
ここでも、冒険者ギルドの職員さんが手伝いに来てくれた。スープをよそって渡していると、元気になった人達が次々に手伝いに来てくれるので、すぐに全員にスープを配り終わった。
「あっ!! 門番さん達っ!」
「「「あっ! 届けてきますっ!!」」」
ギルド職員さん達が届けに行ってくれた。大事な人達をすっかり忘れてしまって申し訳なかったな……。
「サラ様。これで全員に配り終わったかと思います」
「良かったです! またお肉を焼いて元気を出して貰いましょうか」
「えぇ、そうですね。やっとホッと出来たでしょうからね」
『サラ、ぼくも少し食べたいくまよー!』
「うん、もちろんだよ。くっきーも沢山頑張ってくれたんだから、食べて良いんだよ!」
『やったくまー!』
「すみません、ジークさんにまた鉄板を借りるのお願いしても大丈夫ですか? 忙しいのに本当にすみません!」
「大丈夫ですよ。サラ様は思うようにやってくださったら良いんです。なので何かやりたい事などあったら、いつでもすぐに言ってくださいね」
「えへへ、ありがとうございます! じゃぁ、お肉の準備をしてきますね!」
「はい、その間に手配します」
よし、冒険者ギルドの調理場に戻ってお肉の準備をしよう!
くっきーにお肉を沢山出して貰って次々に切って下味をつけて、アイテムボックスに仕舞って貰って~と繰り返す。私が作っていると、冒険者ギルドの職員さん達がお手伝いに来てくれた。
色々と味付けを変えながら沢山仕込んで行く。街の中は無事でも心が疲れただろうから、沢山食べて元気になって貰いたい。
「サラ様、そちらはどうですか?」
「こっちは準備出来ましたよ」
「では外に行きましょうか」
「はいっ!」
『行くくまよー!』
さすがに焼くのはやっぱりやめてくれって色々な人に止められた。なんでー?!
でも、屋台の持ち主が焼く係を請け負ってくれたので、プロに任せよう。うん、その方が絶対に美味しい!
小さい子達には、お肉は食べにくいからと蒸かしたじゃがいもを渡してあげる。みんなが楽しそうに笑顔で食べてくれるのを見るだけで、とてもとても嬉しかった。本当に間に合って良かった……この笑顔を見ると頑張って良かったと心から思う。
その日は、コーラルの街も街の中は大丈夫だったから、宿に泊めて貰う事になった。部屋に入ると、くっきーがクリーン魔法を掛けてくれて部屋着を出してくれる。部屋着に着替えると、くっきーを抱っこしてお布団に入る。
明日はまたもっと広い範囲を浄化してくる予定になっている。
『間に合って良かったくまね』
「うん、本当に良かったよ。これで街は全部見たからもう大丈夫なのかな?」
『そうくまね。多分大丈夫だと思うくまよ』
「まぁ、王都に帰って国王様に会ってからかな」
『そうくまね、聖女様!』
「こらーっ、神獣様ったらまたそんな事言うんですから!」
『わわっ、ごめんくまー!』
「ふふっ。神獣様呼びはダメなのね」
『サラには名前で呼んで欲しいくまよ~』
「うんっ! くっきー、いつも助けてくれてありがとう。大好きー、もふもふさせてー!」
『くふふっ、いいくまよー!』
くっきーを抱っこしてもふもふすりすりしながら、おやすみなさいっ!
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