第21話 フローリアの街へ

 次の日朝起きて準備をして、作業台に行くとみんなもう準備していた。忙しいのに有難いです。これからもがんばって欲しいです。


 みんなでご飯を食べたら、みんなに沢山お礼を言われた。街の人達の笑顔がとても心に残った。これならきっと大丈夫! って思えるくらい元気な笑顔だった。


 子供達も沢山笑顔で手を振ってくれた。うん、良い街だったね。


「ふふっ、本当に良い街だったね。よし、フローリアの街へ急ごう!」


『任せるくま!』


 そういえば、薬草を入れたスープって誰が作っても効果があるんだよね? 誰にも確認をしてなかったなぁ……。休憩の時にでも聞いてみよう~っと。


 大分走って休憩になったので、気になっていた事を聞いてみる。


「スープに薬草を入れたら怪我が治りましたけど、他の人が作ってももちろん効果があるんですよね?」


「そういえば、確認してませんでしたね」


「やっぱりそうですよね~。すっかり忘れてました!」


「フローリアの街でまたサラ様にスープを作って貰う事になるかもしれません」


「もちろん、大丈夫です! みんなが元気になってくれたらそれで良いです」


『ふふっ、サラは優しくて好きくまよ』


「私もくっきーが大好きだよ~! くっきーを抱っこしているのふわふわもふもふで幸せなんだよね~」


『サラはふわふわが好きくまね』


「うん、動物さん達もみんな好きよ? みんな撫でさせてくれるしね」


『それはサラだけだと思うくまよ~』


「そうなんだ。それは光栄だね!」


「ふふっ」


「さすがサラ様ですね!」


 おかしな納得のされ方をしたけど、なぜだろう~?


「しかし、今度王都に帰ったら確かめてみましょう」


「そうですね。お願いします」


 休憩したので、また大きなくっきーの背中に乗ってフローリアの街へ向けて出発する。途中、何回か休憩を入れてやっと街に着いた。


 フローリアの街の門が壊されかけていた。そして門の前には大量のドロップ品が……。


「大変、門がっ!」


「おいっ! 誰かっ!」


「えっ、人!?」


 ジークさんが声を掛けると、中からびっくりしたような声が聞こえた。中に入っていなかったみたいだ。


「もう大丈夫だ。よく堪えてくれた!」


 そうジークさんが言うと、門番さんとか男の人達が泣き出した。うん、怖いよね……。


「ジークさん、他の門も行ってみましょう!」


「そうですね。他の門も様子を見てきます。ここの門の近くは大丈夫ですが、念のため門を閉じておいてください!」


「「「はい、分かりましたっ!」」」


 なんか街の人から兄貴! って呼ばれちゃいそうなくらいでしたね。でも今はそんな冗談を言っている場合じゃないので、他の門へ急ぎます。


 他の門もなんとか守られていたので、街の中には魔物は入らずに済んだみたいだ。本当に良かった……。


 フローリアの街をぐるりと回って、最初の門に戻ってきた。くっきーはアイテムを拾いながら走ってくれたので、大量のアイテムはアイテムボックスに入っている。


 今回もそのままギルドに寄付して来ようかな。門を頑丈に直して貰わなきゃいけないしね。


「サラ様、またギルドに寄付しますか?」


「わぁ、ジークさんすごい! よく分かりましたね」


「サラ様ですからね」

「さすがサラ様です」

『やっぱりサラくまね!』


「なんでそんな納得されたの!?」


『くふふっ、正しい理解というくま!』


「いいませんー!」


 門の中に入れて貰い、まずは冒険者ギルドに行こう。冒険者ギルドに着くと、ギルド職員さん達が慌ただしく動いていた。うん、大人のやり取りはジークさんに任せよう!


「こちらの状況はどうですか?」


「怪我人がかなりいますが、死者は0名です」


 その言葉にホッと一息ついた。怪我人がかなりいるという事で、私はスープを作ろう! ジークさんが場所を借りてくれたので、私はスープを作っていく事にする。色々な大人のやり取りはジークさんとレイナさんにお任せした。


 私はくっきーに材料を出して貰い、借りた大きなお鍋2つに薬草入りのスープを作っていく。スープが出来たので、ジークさんに言って場所を教えて貰った。怪我人は冒険者ギルドの地下に集められて治療しているのだそう。


 くっきーのアイテムボックスに仕舞って貰い、くっきーを抱っこして冒険者ギルドの地下へ向かう。ジークさんも一緒に来てくれたので、スムーズに事が進んだ。


 スープをよそい、重症な人から飲んでもらう事にする。周りに居る人達も不思議そうにしながらもお手伝いをしてくれた。よく見てみると、重症の人がスープを飲み込むと一瞬身体が光った。そして怪我が治っていて、次の瞬間には起き上がった。


「えぇぇ……ポーションってすごいんだねぇ」


『サラ、サラ。ポーションってあんなに効かないはずくまよ?』


「えっ?! そうなの?!」


『そうくまよ。あれは異常くま!』


「そ、そうなんだ……? ふ、不思議な事もあるもんだねぇ」


『サラ……』


 くっきーにジト目で見られたけど、気が付かない振りをしておこう! みんな重症の人が治ったから大騒ぎだ。でも、おかげでお手伝いしてる人がどんどん増えて、すぐに全員元気になった。


 もう1回スープを作って、怪我をしていない人達にも食べて貰おう。きっと心も身体も疲れているだろうからね。


 次にもう1回作った時は外でスープを配る事になった。この時は冒険者ギルドの地下に居た人達が声を掛けてくれて、飲んでいない人を集めてくれたり、動けない人に持って行ったりしてくれた。


 みんなのおかげで、全員にスープを配るのがすぐに終わったくらいだ。みんなにお礼を言って、その後はまた鉄板を借りてお肉を大量に焼く準備をする。


 私がお料理をしている間にジークさんとレイナさんは手続きとか、王都への連絡とか色々とやってくれている。くっきーにお肉を大量に出して貰って作業をしていると、今度は女性陣がお手伝いに来てくれた。


「スープごちそうさまね。とっても元気が出たよ!」


「スープありがとう。本当に元気が出たのよ!」


「ふふっ、ありがとうございます! 温かい物はホッとしますよね~」


 喜んで貰えて良かった。そして誰も欠けなくて本当に良かった。一度王都に戻ってからにしなくて良かったと心から思う。そして助ける事が出来る事が何よりうれしい。


 お肉をひたすら切って、下味を付けていく。ここでも女性達の目線が色々と気になる……。味付けとか使うものが不思議なんだそう。ハーブも使っているからかな?


 お話しながら作業をしていると、ここの街にはお醤油があるんだそう! だったらもっと美味しく作るよー! ってことでお醤油を持ってきてくれたお母さんがいたので、有難くお借りしました!


 ご機嫌でお醤油味のお肉の下拵えをしちゃいます!! いやもう、お醤油があるってステキー! テンションも上がるってもんです!


『くふふ、サラのテンションが凄い事になってるくま』


「あはは、だってお醤油だよ? 美味しいんだよ?」


『それは大事くま!』


「でしょう?」


「ふふふっ」


 そんなやり取りをしていたら、周りのお母さん達に笑われていた。恥ずかしい……。


 お醤油味でもハーブを使ったり調味料を混ぜるので、みんな興味津々だった。沢山お話をして、お肉を仕込んだらちょっと休憩。


 やっぱりここでも、お母さん達と一緒に来た小さい子はくっきーと遊んでいる。うん、小さい子もくっきーも可愛いっ! 自分が7歳とか棚上げするよ、もちろん!


「くっきー、クッキーだしておやつに食べていいよ。みんなにもあげてね」


『分かったくま~』


 みんなで仲良く座って食べている。子供達が食べている物が気になるのか、お母さん達は子供達に聞きに行っている。


「あれはクッキーっていうお菓子ですよ~」


「お菓子なの?!」


「はい。簡単に出来るので、作ってみましょうか?」


「「「「ぜひっ!!」」」」


 凄い圧を感じるお返事ありがとうございます……。くっきーに材料を出して貰って説明をしながら作り始める。


 ここでもフライパンで焼いていく。早くオーブン欲しいよー!! 他の物も作りたいっ! 焼けて粗熱が取れたら、お母さん達にも配っていく。大体のお母さんは半分を子供にあげてた。ふふっ、教えてあげて良かったかな。


 貰ってない子達には半分に割ってみんなが同じだけ食べられるようにした。1人貰えなかったら悲しいものね。


 さて、休憩になってない休憩をしたのでそろそろお夕飯の準備をしようかな。沢山お肉を食べて元気になって欲しいね!

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