第五章 5話 真実
『馬鹿な!』
突然の叫び声にオーウェンとサラは、それにセフィリアは叫び声の方向へ視線を向けた。視線の先には、先程のよりも全身を震わせながらも、あちこちから蒸気のような白い煙が噴出していたキングの姿があった。
『名を与えられただけで無く……天命までも……だと』
「そうよキング。私はオーウェンに名を与えられ、あたしの目的をもらったのよ」
キングはその言葉に怒り……憎悪とも呼べる視線をサラに向ける。
『お前が姉上であるわけがない……そうか!これは我を混乱させるための作戦だな』
サラはそんなキングを真っ直ぐな視線を向け、そして凛とした声で問いかける。
「キング……。あなたはその名前……誰につけてもらったのかしら?」
『!』
サラの言葉にキングは明らかに動揺する。
「そもそも、それは本当に「名」と呼べるかしら?」
『ええい! うるさい!』
サラの一言で自制が切れたのかキングは叫び声を上げると、突然跳躍する。キングから一瞬も目を離さなかったジャックはその突発的は行動に素早く反応していた。
サラに襲い掛かろうとするキング制止するべく、スパナ式弾丸を撃つ姿勢に入る。
だが、そのジャックの動きを制止する人物が居た。他ならぬサラ本人だった。彼女は左手を突き出しジャックの動きを制止すると、右手でオーウェンの動きも制止する。
そんな彼女へキングの必殺の一撃が突き刺さる――はずだった。
『なん……なんだと?』
キングがサラに突き出した剣先は彼女に触れる前に硬直したように動かない。
「だから、言ったでしょ? あなたは哀れねって……」
『何を言っておるのか!』
「やめなさい。それ以上の無理は自らの力で自らを傷つける事になるわ……」
『戯言を……我の身体は宇宙でも最強の……』
「パキィイイイイイン」と硝子の砕けるような音が響き渡ると、キングの右腕は肘の辺りから綺麗に二つに折れる。
『…………!』
声にならない悲鳴を上げてキングはその場に膝をつく、オーウェンも、セフィリアもジャックさえも、その光景に言葉を失う。
『もういいだろう息子よ』
静にシバルバーの声がその場に響く。
『我ら機械生命体のお前も含めた「人型タイプ」には、人間は殺せないのだよ……』
ジャックの仮面からどこか悲しみを含んだシバルバーの言葉は、サラ以外の人々に信じられない程の衝撃を与える。
『我々の……。いや、私の創造主は人間なのだよ……』
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