第五章 4話 サラの願い
『サラ……』
「なぁに? サラちゃん」
『いつになったら、オーウェンに告白をするつもりなの?』
「えぇ? えええ~」
『いや、いい加減、私も男女の仲というのを勉強したからねぇ。もどかしいんだけど?』
「え~何それぇ~あたしから告白しないと……だめ……かな?」
『ヘタレめ』
「うわっ! ひどい!」
『ふふふ、でも考えてみなさいよサラ。あの天然で肝心な所でヘタレなオーウェンがあなたに告白すると思う?』
「んん~」
『…………』
「…………」
「ないわね!」
『ああ、ないね』
「でも、昔はお嫁さんにしてくれるって言ってくれたのになぁ~」
『私の名前を決めるのも、一番大好きな名前だとか言ってたわね』
「言ってたね……」
『いってたわね』
二人は大笑いをする。
「でも、オーウェンのお嫁さんにはなりたいのよねぇ~」
『そのわりには、オーウェンには厳しいからなサラ……』
「そ……そんなこと……」
『あるわね』
「あるのよねぇ~」
『だが、二人の結婚式かぁ。私は結婚や結婚式は見たことはないからなぁ』
「ウェディング・ドレスは、女の子の憧れなのよ?」
『憧れているのか?』
「そりゃ~まぁねぇ」
『では、さっさと告白してしまえ!『
「それとこれとは別なの!」
『ヘタレめ』
再び二人は笑い合う。
「でも、ウぇディング・ドレスを着るとしたら、絶対、サラちゃんも一緒に着飾ってもらうんだからね!」
『それはいいわね』
「そして、二人でオーウェンのお嫁さんになろうねぇ~」
『二人で?』
「そう、そうしたらずっと3人で居られるもの!」
『ずっと?』
「うん、だって3人で家族になるんだもんね!だから、サラちゃん……」
「ずぅ~と一緒に仲良しでいようね!」
◇
「サラのその願いを思い出したときに、私には溢れる力が漲るのが感じられた」
『願い……そうか、それがサラお前の!』
シバルバーの歓喜の声にサラは静に頷く。
「そう、それが私の天命となり、サラの命を救うために全ての力を使用した……そして、私は目的を果たすと消えるはずだった……」
「だが、消える事はなかった?」
オーウェンの問い掛けにサラは笑みを浮かべる。
「オーウェンの選んだ女の子は優しい過ぎなのよ。私が力を使い果たして「ああ、これで安らかに眠れる」って思ったら、自分だけいなくなるのはずるい!とかいってね」
サラは当時を思い出したのか、笑顔になり続ける。
「強引に私と融合しちゃったのよ」
「まぁまぁ~サラちゃんらしい」
セフィリアも嬉しそうに微笑む。
「で、そんな混乱の中で力を使ったから、サラの命は助かったけど、サラもオーウェンの二人は記憶を失うし、私は眠りについてしまうし……」
「それで、俺は覚えてないんだ?」
「そうよ! ひどい話よね!」
オーウェンの問いにサラは怒ったように人差し指を突き出す。
「でも、思い出した!だから、今の「私」は「あたし」でもあるんだからね!」
「早く思い出しなさいよ! オーウェン!」
サラはオーウェンに満面の笑みで飛びつく。彼女を受け止めるとオーウェンは苦笑を浮かべる。
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