第五章  4話  サラの願い

『サラ……』


「なぁに? サラちゃん」


『いつになったら、オーウェンに告白をするつもりなの?』


「えぇ? えええ~」


『いや、いい加減、私も男女の仲というのを勉強したからねぇ。もどかしいんだけど?』


「え~何それぇ~あたしから告白しないと……だめ……かな?」


『ヘタレめ』


「うわっ! ひどい!」


『ふふふ、でも考えてみなさいよサラ。あの天然で肝心な所でヘタレなオーウェンがあなたに告白すると思う?』


「んん~」


『…………』


「…………」


「ないわね!」


『ああ、ないね』


「でも、昔はお嫁さんにしてくれるって言ってくれたのになぁ~」


『私の名前を決めるのも、一番大好きな名前だとか言ってたわね』


「言ってたね……」


『いってたわね』


 二人は大笑いをする。


「でも、オーウェンのお嫁さんにはなりたいのよねぇ~」


『そのわりには、オーウェンには厳しいからなサラ……』


「そ……そんなこと……」


『あるわね』


「あるのよねぇ~」


『だが、二人の結婚式かぁ。私は結婚や結婚式は見たことはないからなぁ』


「ウェディング・ドレスは、女の子の憧れなのよ?」


『憧れているのか?』


「そりゃ~まぁねぇ」


『では、さっさと告白してしまえ!『


「それとこれとは別なの!」


『ヘタレめ』


 再び二人は笑い合う。


「でも、ウぇディング・ドレスを着るとしたら、絶対、サラちゃんも一緒に着飾ってもらうんだからね!」


『それはいいわね』


「そして、二人でオーウェンのお嫁さんになろうねぇ~」


『二人で?』


「そう、そうしたらずっと3人で居られるもの!」


『ずっと?』


「うん、だって3人で家族になるんだもんね!だから、サラちゃん……」

 

「ずぅ~と一緒に仲良しでいようね!」




「サラのその願いを思い出したときに、私には溢れる力が漲るのが感じられた」


……そうか、サラお前の!』


 シバルバーのにサラは静に頷く。


「そう、それがとなり、サラの命を救うために全ての力を使用した……そして、私は目的を果たすと消えるはずだった……」


「だが、消える事はなかった?」


 オーウェンの問い掛けにサラは笑みを浮かべる。


「オーウェンの選んだ女の子は優しい過ぎなのよ。私が力を使い果たして「ああ、これで安らかに眠れる」って思ったら、自分だけいなくなるのはずるい!とかいってね」


 サラは当時を思い出したのか、笑顔になり続ける。


「強引に私と融合しちゃったのよ」


「まぁまぁ~サラちゃんらしい」


 セフィリアも嬉しそうに微笑む。


「で、そんな混乱の中で力を使ったから、サラの命は助かったけど、サラもオーウェンの二人は記憶を失うし、私は眠りについてしまうし……」


「それで、俺は覚えてないんだ?」


「そうよ! ひどい話よね!」


 オーウェンの問いにサラは怒ったように人差し指を突き出す。


「でも、思い出した!だから、今の「私」は「あたし」でもあるんだからね!」


「早く思い出しなさいよ! オーウェン!」


 サラはオーウェンに満面の笑みで飛びつく。彼女を受け止めるとオーウェンは苦笑を浮かべる。

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