ニール(下)
ニールの元友人のマイクが死んだ。それもあっけないほど早々に死んでしまった。ユウマたちは意識が混濁している今がチャンスなのだと、作戦を立てていたのだが、では作戦だから友人を殺しましょうなんて、実践できる方が狂っているのだろう。
「こんな戦いだったなんて、私は知らない。」
ルーネリアの震える声がする。当然、ルーネリアは今まで戦いに参加してこなかった。それにこれまでと違い、今は人としての感情も共有している。ユウマだって今ならば全ての元凶であるヴェルドーの計画、門を破壊したいという計画の意味が分かる気さえする。けれども騙されてはいけない。あの悪魔は平気で人を、若者を、弱者を戦場に送ってきた。全て彼の手のひらの上だとするならば、ここでの戦いさえも結局のところ想定内なのではと考えてしまう。
結論からすると、1600年の周期に飲み込まれてしまった時点でその人間の負けだ。一部を除いては全ての国、全ての国民が辛酸を舐めさせられるどころか、命に至る毒物を舐めさせられている。アルテナスが消えてしまった今、戦いの終着地点も見えていない。それなのに、戦わなければいけないと思う自分がいる。いや、戦いはむしろ過程と思っている自分がいる。何を求めているのか、何をするためにここにいるのか、見えそうで見えない。頭がもやもやする。
「要するにニールには悪いが死なない程度に痛めつけるしかない。」
自分の言葉とは思えない。自分は回復するから大丈夫という、歪んだ価値観が染み込んでいるのだろう。できれば誰かに代わってもらいたい。悪魔なのか人間なのか、ちゃんと区別をしてほしい。悪魔なら思い切り戦える。人間なら・・・。リサはどんな気持ちで戦ったのだろうか。
「ユウマ、悪いことは言わない。早くリサをよこせ。そうすればお前たちは・・・あれ、お前たちは・・・、えっとお前たちは皆死ぬ?」
ニールが自分と戦っているのが分かる。その気持ちを分かってやれないが、あちらにはあちらの正義があるのだろう。
「ユウマ、私が代わりに戦う。元はと言えば私が悪いんだから。」
元はと言えばリサが悪い。そんなことは決してないのだが、是非とも代わって貰いたい。でもダマスケスの魔法は取り返しがつかないものだ。ユウマでなければ、一生抱える怪我を負ってしまう。手?足?内臓? 顔?多少の古傷では済まされない。それは地面に転がっている新鮮なマイクの肉がそう物語っている。それにリサだけは絶対に守りたい。自分で思っていて歯が浮いてしまう。それでも思ってしまうのだからしょうがない。それにこれは白銀の団の話なんだ。リサは全然関係ない。
ミシッという音、そんな音は本当はしていないがそういう音がしそうなイメージだ。一瞬だけ光がズレる感覚。ダマスケスが魔法を使うときに生じるわずかな歪み。それが分かってしまうから、反射的にユウマはリサを突き飛ばした。バチっと音、それに空気が抜ける音がしてユウマの右肺の一部が弾けた。空気と一緒にうっすらの血の煙が脇腹から噴き出る。
「リサ、ごめん。やっぱ俺がやらないといけない気がする。」
「ちょっと、そんなこと言ってる場合?」
「リサは傷つけたくない。」
ユウマの『リサは』とひどいことを言っている。他のものなら良いのか。そう思ってしまう言葉。そんなことを考えている余裕など当然ない。リサとユウマの駆け引き、それでも運命は二人の事情なんて知る由もない。せっかく救出したというのに、強制的に二人を引き剥がす。
「リサ様ぁぁ、ご来賓の皆様がお待ちかねですよ!」
青い髪の少女、だが今はどす黒い緑色もその髪に混じっている。髪色の変化はクリスにも見られた現象だ。それにしてもどうして知っている顔ばかりが器になっているのか。いやそもそも器になる人間はそもそも引き寄せられる様に出来ているのか?
ユウマの考えを他所にリサはメグを引きつけるように、大地を揺らすような跳躍で飛び立っていった。ユウマはホッとする自分を見つけたがそれと同じくらいの心細さも感じた。
「ノーマンさん、ナディアとデルテを頼みます。」
ユウマの中で決心とは言わない何かが生まれた瞬間だった。その名は『落胆』、結局ユウマは自分で責任をとるのを怖がっていたのだ。だからこそ、それをこれから乗り越える必要があるのだろう。きっとその為に自分は今戦っている。
「ニール。俺となら思いっきり戦えるだろ?」
「ええ、そうねぇ。別にみんなまとめてもいいけれどぉ。」
思いっきり踏み込んだ足を解放し、ユウマは悪魔めがけて腹部に右の拳を叩きつけた。
「お前には聞いていない、ダマスケス。引っ込んでろっつったろ?」
「なによぉぉぉーー!!」
ダマスケスは失った片手、それに残った左手を広げて、魔法を放つ。『空間断然斬乱れ打ち』みたい名前をつけてやろうか。彼らは詠唱もしなければ魔法名も言わない。魔法名もないのにめちゃくちゃな魔法だが、放った先にユウマはいない。いつの間にか遥か後方にいた。
「ダマスケス、その空間ってさ、空間ごとは繋がってんだろ? 見ていて大体分かったがが、俺の知ってる空間のイメージってさ、断絶なんて本来ならばできやしない。それにお前からは全宇宙を想像したっていうほどの力は感じないからな。お前の魔法は空間をズラしているだけだ。しかも厳密には微細なレベルで歪ませているだけ。だから、これならどうかな?そのまま攻撃受けちゃうだろ?」
後方に飛んだ瞬間にユウマは攻撃をそこに残していた。ユウマがダマスケスに対して放ったのは無数の小石だ。小石といっても石には違いない。石の主成分は主にケイ素つまりガラス成分だ。それを超人的な腕力だけでダマスケスに投げつけていた。ダビデだってゴリアテをスリングと石で倒したのだ。これだって立派な神話級武器だろう。
瞬間的にねじ曲げられた空間でいくつかの石は軌道を変えるが、空間が元に位置に戻ろうとする強制力が発生する。だからその空間に残っていた小石は軌道を変えることなく、そのままダマスケスへと向かう。剣や矢の場合なら大きすぎて、ねじ曲がったり、引きのばされたりして、軌道や威力が変わってしまうが、大量の粒ともなればそうはいかない。即席ショットガン、(人力)もちろん殺傷能力は少ないが、常人相手だとこれでも殺害凶器認定されてしまうだろう。点としての貫通力はないが、与えるダメージの表面積は大きい。
「ダマスケス、お前はもうちょいニールに体を借しとけ。どうせその体がボロボロになっても、お前はかまわないんだろ? 記憶の同期があいまいすぎんだよ。いっぺん出直してこい!」
僅かな沈黙、ユウマのアドバンテージは自身の体験とルーネリアの実体験。それともう一つ。博打要素ではあるが、前の戦いで、戦線を拡大して人間の国を脅かしたという言葉に賭けた。つまり今まではもっと腐海の森の人の少ない土地、そしてもっと中心部の森、もしかすると人間ではない何かから、奇妙な話ではあるが例えばゴブリンが、トロールが、オーガが、コボルトが人の形の器が生んでいた可能性だってある。
冥府の門、それに腐海の森。それらは巨大なクレーターのような構造をしていた。もしかしたらそれこそが、本来の神々の戦いのバトルフィールドだったのではないだろうか。そのバトルフィールドを逸脱したことにより、多くの人が巻き込まれた。勿論森がなくなった後、人はそこに町を作ったりしたが、大規模な国と呼ばれるものではなかっただろう。人間だって馬鹿じゃないのだ。
その証拠に今、ダマスケスは乗っ取りに苦労をしている。ルーネリアが言っていたではないか。人は刹那の時間に感情が大きく変わりすぎると。だからダマスケスもそのことは今までにないくらいに実感しているだろう。ただ、この全てはユウマの直感、いわゆる良い予感というやつだ。悪い予感なら当てる自信はあるが、良い予感なので、何とも言えない。
「いいのかよ。ユウマ。俺はダマスケスの魔法。それに力だって満ちてきている。本当にお前、死んじまうかもしれないぜ。」
ユウマは大きく肩を竦めた。漸く話しやすくなった。
「いいぜ。そういえば御伽噺を忘れていたんだよ。ダマスケスは昼と夜の二面性、表と裏の二面性。それとな、聖書には雌雄同体って言い伝えもあるんだよ。ニール。めちゃめちゃ話しづらかったろ?」
ユウマもすっかり忘れていた、いやあの喋り方を聞いた瞬間に思い出してはいたのだが、その喋り方もユウマにとって耳障りが悪かった。
「それに、人間をもはや辞めた俺と、神になりたてのお前、いい勝負だと思うぜ。ニール、決闘だ。かかってこないなら、俺からいくぞ!」
瞬歩にしてはあまりにも大きな一歩。ユウマはニールのすぐそばまで来ている。あとはニールの頭を跳ねればそれで終了だ。だがニールも神の目でそれを読んでいる。その場から瞬間移動で今度はユウマの射程圏外に移動している。
グッ!? 先に言ったのは、ニールだ。ナイフがニールの腹部に突き刺さっている。ユウマは瞬歩の段階である程度予想・・・いやある程度なんてもんじゃない。何百、何千と稽古をしたニールの考えることなど、脳内バトル用に活性化したユウマにはピンポイントで読める。ただ、崩れ落ちたのはユウマだった。手足をバラバラにされた状態でうずくまっている。
「どうだ、ユウマ。俺の勝ちだな。」
四肢を再生させながら器用に座り、ユウマはまだ二の腕あたりしかない肩を大きく竦めた。
「当たり前だ。神に勝てる訳ないだろ。」
先程の自信とはあまりにも違う弱々しいユウマのセリフ。それを聞いて、ニールはたじろいだ。
「ニールの言う通りだ。今だってそう。俺は嘘をついた。人間ってやっぱ表の顔と裏の顔があるよな・・・。もちろん、ニールが言ってるのはもっと根源的なものだとは思うんだけどさ。」
全身の再生が終わったのか、ユウマは立ち上がった。
「ニール。それも含めて人間なんだ。ニールだってそうだろ? 自分の汚い面が憎い。でも外面を善人に見せる。でもそれって別に悪いことだけじゃないんだよ。」
この世界に来て、ユウマがそのことを思い知らされたのだ。いつもいつもリサやクリスに振り回されている自分、そしてその分自分は何も考えなくていいという自分。それに甘えていた自分。戦っていた理由だってリサを助けたいという下心があった。でもそうしているうちに、いつしか仲間を助けたいと思えるようになってきたのだ。
「別に自分を変えようって言っているんじゃない。でもそのギャップを感じ、それを思い悩み考えることが人間なんだって、今は思う。たとえそれが間違いだとしてもだ。だからニールのことを俺は許すつもりだ。」
なんだか、自分で言っても訳がわからないけど、それでもここにその考えは全て置いていこう。
「じゃあ、俺が正しいって思うことをやっても恨みっこなしだかんな、ユウマ!」
「あぁ。全くもってその通り、最期にしよう。思いっきりこい!!」
ユウマがやった瞬歩ではないが、ニールは瞬間移動を左右で繰り返しながら、一気に間合いを詰める。そして両腕には魔力がふんだんに篭っているのがヒリヒリと伝わってくる。そしてユウマはそれに対して堂々と地に足をつけて構えている。
「じゃあな、ユウマ。楽しかったぜ!!」
ユウマの動きは超高速で瞬間移動するニールの動きについていけない。あっさりと勝負が決まる。そしてユウマの全身に切れ込みが入り始めたその時、
「やめて。」
か細いが、優しい声が聞こえてきた。
「やめて、ニール。私、ニールが優しいの・・・知ってるよ? ドラゴン見て私を逃したあと、ニールのこと、私は見てた。」
ナディアの絞り出すような声。ダマスケスには聞こえているだろうけど、今はニールの気持ちが、ニールの心が主導権を握っている。
「ナディア、やめてくれ・・・」
そのことをユウマは知らない。でもニールは何か知っているようだった。
「ううん。やめない。私はニールが優しいって知ってる。だって、ユウマとクリスが倒れた時、ニールは泣いてたじゃない!! いろんな正義があるの、私もなんとなく分かる。でもでもでも、あの時のニールは友達の死を純粋に悲しんでいた。誰かに与えられた訳じゃない、自分の正義を持っていた。あの時のニールは表も裏もない、本当のニールだったもん!!」
その言葉を聞いた瞬間、ユウマの体の亀裂が消えた。ニールも切なそうな顔をしている。
「でもさ、俺、チクってたんだぜ? ユウマのこと、ずっと監視してたんだぜ?」
「そうかもしれない・・・でも、それは枢機卿に教えられた正義。でも、でもね。ニールだってちゃんと自分の正義を持ってるんだよ?」
その言葉にニールは肩を竦めた。
「ナディアには敵わないな・・・、あーあ。どうでもよくなってきた。俺はここまでっぽい。本当は全然やめてしまいたいけど・・・、もう俺の記憶はあいつに侵食されてきている。だから、ユウマ・・・どうかナディアを白銀の団を・・・・まもって・・・・・あぁあー。人間ってのはほんと、反吐が出るくらい裏表がはっきりしてますねぇ、まぁそれは私にも言えることですが、さぁ、人間ども準備万端で・・・」
『偉大なる
『崇高なる強き光、轟く音の美しき神レイザームよ。我ノーマンの声に応え、偉大なる稲妻を轟かせ給え
「思いっきり行けぇーーー!!」
周辺一帯を火炎の渦と雷鳴轟く雷がこの周辺一帯を焼き尽くす。そしてユウマは自らの体を引き裂き、三人分を自らの皮で包み込んだ。落雷と炎から守る為、この二人のところにダマスケスが現れた時のため。ユウマはニールとの約束を果たすためにも彼らを守る必要がある。それにクリスは今は神である。まず審判のルーネリアを襲うことはできないし、万が一それを無視したとしても自身の周りに結界のようなものを張っているので、ダマスケスはたとえ何かしても、それくらいは何とかしてくれるだろう。
まだ本領発揮できていないダマスケスではここから逃げ出す瞬間移動は出来ない。それに肉体はニールのものなのだ。だったらこの魔法をくらうわけには行かない。
ならば地面の奥深く。それか石の中。もちろんそれならばニールの体が壊れてゲームオーバーだが、それとなぜか不自然に用意されていた鉄製の釣鐘がユウマたちのすぐ側にいつの間にか、もしかしたら最初から置かれていた。勿論、その中には何もない。空間を把握できるダマスケスならば、そこを選ぶだろう。罠だと知りつつも必ず安全なそこに瞬間移動するだろう。だってダマスケスにとって、それはどう見ても牢獄には見えないのだから。簡単に突破できる容易い金属の箱。
ユウマは即座にそこに行き、手を触れる。
『聡明で美しき月の象徴ルーネリアよ。我ユウマの名の下に命じる。この悪の権化の制裁を。
「ゆ、ユウマくんが魔法?」
「え、あの魔法が使えないで有名なユウマさんが?」
おうおう、耳が痛い。森を抜けるときにルーネリアから教わった魔法だ。今のユウマになら使える魔法。マナドレイン。以前、リサの実験で言っていたではないか。同じ属性ならば掛け合わせられる。つまりユウマは唯一、月の魔法、ルーネリアの魔法ならば使えることになる。しかも神さえもが一度も見たことがない魔法だ。ルーネリアはただ一人、ずっと戦っていなかったのだから。
耳が痛い言葉を聴きながらユウマは続けた。
『封印魔法陣展開!』
吸い取ったばかりの魔力、ユウマには扱いきれないのでそのまま金属の箱へと流し込む。
「なぁ、ルーネリア。ルーネリアは中立だけど、眷属が使った場合ってどうなるんだ?」
そういえば聞くのを忘れていた。ルーネリアは少し沈黙してからいった。
「初めてのケースなので、ノーカン。ルールにも載ってない。この戦い中ならルールない。全てノーカン。」
ルールブックがあるのかは知らないが、とにかくセーフはセーフだ。法の抜け道をついたようなものだ。
「さて、ダマスケス。罠と知りながらその中に入ってくれたこと、大変感謝するぞ。ちなみに今この鐘の周りは灼熱の海。それに上には雷鳴が轟いている。さらにさらに。この鐘の周りには石の壁は炎がやみ次第石の壁が魔法で用意される。ねぇねぇ、今どんな気持ち?」
「逆に聞きたいわ。こんなの空間魔法で弾き飛ばせばいいじゃない。」
「ほうほう。じゃあやってみな?・・・・・・あれ?出来てない。おかしいなぁ。マナを吸い取っちゃったからね。それにルーネリアは冥府の門の女神だ。マナが回復するなんて、考えない方がいいぞ。この魔法陣付きの鉄壁は、ルーネリアの魔法陣が作動している。勿論作ったのはルーネリアじゃないからセーフなんだけどな。で、どう?空間は広げられたのかな?」
耳を澄ませて聞いているが、何も聞こえない。
「いいか、ダマスケス。空間を広げるのはこの全宇宙を誕生させたビッグバン、それほどの力が必要だ。勿論、すこしならできるかもしれない。でもそのマナも吸い取っちまったからな・・・。あ、そうそう。逆に凝縮するってのはどう? 多分ミニブラックホールができて、この世界から未来永劫おさらばになると思うけど。もしかしたらなんとかなるかもよ?」
こいつに対しては恨みくらいで済まされない気持ちを感情をユウマは抱いている。これくらいの仕打ちは当然だろう。これでも足らないくらいだ。
「なんなのよ、これ、全然面白くないじゃない。それになによ。完全に不意打ち、しかもこんなに用意周到にしちゃってさ。悪魔ね、あんた。」
「おかしいなぁ。俺の知ってる知識じゃあ、人間に悪知恵を与えたのはその『悪魔』の筈なんだけどなぁ」
そこまで嫌味を言って、ユウマはそこを後にした。簡易結界とはいえ、しばらくは持つだろう。ユウマは仲間のもとへ歩いていった。
「ユウマくんすごい!! 悪魔に勝っちゃった!」
ナディアとデルテが喜んでいいるが、そうも言っていられない。
「いや、まずこいつはニールの記憶の混濁と戦っている最中だった。そして最初から人間をむしけらだと舐めていた。あとは多分ニールが手伝ってくれたんだと思う。」
「そっか、ニールくん・・・。そうだよね。あのニールくんが悪魔なんかに負けるわけないよね!! だから私たちもがんばんなきゃね。」
頑張るという気持ちが『死ぬまで頑張る』でないことを祈りたい。
「言ってみれば俺たちはもっとも悪魔らしい奇襲で勝てただけだよ。たぶん、もうちょい遅かったら全員死んでた。・・・だろ? ルーネリア。」
「私は・・・過去の戦いを見てないからわからないけど・・・。ユウマ、すごいと思う。えっと、その・・・好き。」
全然脈絡のない言葉だったが、とても嬉しい。でも、ニールはどうなったのかは、結局分からない。少しでも彼が救われたことを祈るしかない。
とにかく、ダマスケスが来ると分かっていたからこそ準備できた作戦だ。ニールが最初にここにくるのは簡単に予想ができたし、何よりニールはあの日、自らの口で自分に付く予定の悪魔の名前を言ってくれていた。もしかしたら、それは・・・。
卑怯極まりない作戦だったのも事実だ。他の悪魔がどうなっているのか。そちらの方がずっと心配だ。ユウマは気持ちを新たにして次の戦いに臨む。それにしても、リブゴードとレイザームはどうやら協力的らしい。今までの魔法で一番威力が高かった。そうでなければダマスケスも易々と罠に入ったりはしなかっただろう。勿論、そのせいでユウマも死にかけたが、今は無事全て完治している。
余談だが、ユウマとニールの戦い。ナディアに救われた形だったが、実際ナディアの声がなかったら、ニールはすでに死んでいただろう。ユウマは結局あの時、ちゃんと反撃の準備をしていたのだ、自分の体に切れ込みが完全に入る直前にニールを絶命させることができた。でも、これは言わない方が良いだろう。
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