第476話 鬼ごっこ
「神雷纏!獣化…はできない。神雷ダブルエンチャント」
俺は急いで強化を行った。本当は獣化と悪魔化と悪魔憑きもしたかったのだが、残念ながらそれはできないようだ。
「があ!」
「アイスソード!」
4番目に来た尻尾の先に火がついているトカゲのような姿の中位精霊が口から炎の方向を放ってきた。俺は氷魔法で作り出した簡易の剣に神雷を纏わせてそれを斬り消した。魔法でできているのかは分からないが、魔力がこもっている以上、俺の魔力斬りで斬り消せる。上手く纏わせたおかげで氷の剣も溶けずに済んだ。
「魔法を斬った…!」
これには魔法を放ったトカゲくんも驚いたようだ。
「ならこれならどう!」
今度は3番目に来た手の平サイズの人魚のような姿の子が津波のような大きな波を放ってきた。
「さすがに無理だなっ!」
こんな大きいのを斬るのは難しいと判断して俺はジャンプして津波を避けた。
「逃げ場は無いぞ!」
すると、今度は2番目に来た腕と足がゴーレムのようになっている浮いた土の上に立っている男の子?が、前後、左右、上下を土でできた巨大なハンマーを振ってきた。前後左右のハンマーは上下と比べてちゃんと細くなっていて、上下のハンマーもちゃんと俺に当たるが、逃げ場は全くないようにしている徹底ぶりだ。
「アイスウォール!」
俺は横に氷の壁を作って、それを蹴ってハンマー達を避けた。ハンマーから逃れた後に振り返ると、氷の壁はハンマーに当たって粉々に砕けていた。あれ食らってたら俺死んでない?
「サンダー…」
「ゼロくん、ストップ」
「ん?」
そろそろ俺から攻撃しようとしていたのだが、ユグから止められた。
「鬼以外は攻撃魔法は使っちゃダメ」
「まじかい…」
なるほど…鬼は強いから攻撃魔法を使っていいが、捕まえる側は攻撃魔法は無しってことかい…。攻撃を避ける隙に捕まえようでしたのだが、それはできなくなった。
「あ、そうだ。ゼロくんに言わなきゃいけないことがあったんだ」
「な…に?」
俺は中位精霊達からの攻撃を避けながらユグの発言に耳を傾けた。
「精霊化中でも精霊魔法は使えるよ。ただ、コツがいるだけでね。むしろ精霊と一体になってるから普段よりも強力になるよ。まあ、ここは精霊界だからさらに強力になるんだけどね。あ!でも、精霊降臨じゃないから周りの電気は操れないよ」
「え!?そうなの!」
それは知らなかった。それももっと早く言って欲しかったと思ったが、これはスキルレベルなどにもよると思うので、一概に言えないな。
それからはジールとの精霊魔法を使えるように意識しながら攻撃を避け続けた。
「でも、まだ精霊化のスキルレベルが5のゼロくんにはかなり難しいと思うから今は意識にしなくてもいいかもよ」
「だったらもっと後で言ってよ!」
ユグは本当に言うタイミングがズレている気がする。
それは置いておいて、そろそろこの鬼ごっこを終わらせよう。15分ほど遊んでいて気がついた事がある。
確かにこの子達の魔法の強さはソフィほどあるだろう。ソフィが4人もいたら精霊界補正があったとしても勝ち目はないだろうし、もうとっくに負けてるだろう。そうなっていないのは、この子達の知能が高くないからだ。攻撃方法がシンプルで、どこから向かってくるか丸わかりなのだ。それさえ分かれば神速反射でいくらでも対応は可能だ。
「アイスサンダーウォール!」
俺は精霊達を分断するように十時の氷の壁に雷を纏わせた高い壁を作った。
「まずは…!」
そして、俺は1番乗り妖精のような姿の風の精霊に向かって行った。
「わっ!やあ!」
1番乗り君は驚いた様子だったが、直ぐに俺に向かって魔法を放ってきた。正面からの魔法だったので俺はそれを斬り消し、ジャンプした。
「タッチ」
俺はそう言って人差し指で1番乗り君の頭を軽く撫でた。
「捕まっちまったー!」
1番乗り君はそう言うと、飛んでユグの方へと向かった。どうやら捕まったら抜けるというルールのようだ。
これをあと3回繰り返して鬼ごっこは終了した。
「さすが精霊王様と契約してる人?だね!凄く強かった!楽しかった!」
4体とも満足したようで感想を好きに言い合っている。このままではもう1回と言われそうな予感がするな。
「次は私と遊んでほしい〜〜」
「ん?あっ…」
4体以外から声が聞こえた。俺は振り返ると、燃えたり、切られたりで低くなった草の上に見覚えがある者が立っていた。
「…ディーネか」
「はい〜〜」
すぐには浮かばなかったが、少し見てその正体に気がついた。この精霊はディーネというエリーラと契約している水の最上位精霊だ。
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