第469話 新しい装備

「えっと…着たままでいいのか?」


「着たままでいいぜ。着たままなら雷で過度に縮むことも無さそうだしな」


「了解」


という理由で俺は新しい装備を身につけながら霹靂神を放つことになった。


「障害物が無くなってるから、ドームは厚くしておくわよ」


「ありがとう」


今回は廃村の建物とかは前回の霹靂神によって無くなっているため、霹靂神を遮るものは無くなっている。そのため、前回よりも霹靂神を抑えるためにエリーラとソフィが前よりも水と土の壁を厚くしてくれるようだ。

俺は村があった場所の中心まで来ると、完全に村があった場所は囲われた。それによって真っ暗になった。



「せっかく平らにしてくれたのにまた壊すのは少し気が引けるな」


ソフィの魔法によって、俺が霹靂神で前回凹ました地面は元に戻されている。 それを今回また凹ませてしまう。まあ、それを見越して少し密度高くして地面を敷き詰めてくれた。



「さて、やるか」


俺はジール精霊降臨とユグ精霊降臨をして、霹靂神の準備に取り掛かった。


「…雷を吸収できるとはいえ、冷静になると少し怖いよな」


目の前に激しい雷音を鳴らしている雷の球が俺に向かってくると思うと少し怖くなる。戦闘中以外で俺に向かって放つのは初めてだ。戦闘中は興奮状態になっているから平気だった。


「あ、神雷纏」


前回やっていた神雷纏を霹靂神に纏わせるのを忘れていた。それに威力が上がる効果があるのかは鱗に放ったことしかないから分からないが、前回と同じような条件にした方がいいだろう。



「霹靂神!」


そして、俺は魔法が完成したので、自分に向けて放った。まあ、適当に放ってもある程度の距離からは自動的に俺の方に向かってくるのだけど。


ゴンゴンッ!!


激しい雷鳴の中に居るとさすがに耳が痛くなる。雷による衝撃も吸収してくれるようだが、音までは吸収してくれないようだ。雷鳴でなら雷を吸収できる俺でも倒されるかもしれないな。




「よし、出るか!」


霹靂神が消えたので俺はこのドームの中から出た。ちなみに、ドームの中の暗闇では細かい色まで識別できないので、装備がどう変化したかはまだ分からない。



「………」


全員が口をぽかんっ…開けて固まった。俺がえ?っと思ってると、ソフィが無言で俺の前に氷魔法を使って姿見のようなものを作り出した。


「おお!!」


全身青だった装備は全身黒に変色していた。さらに、袖やズボンに稲妻のような模様の青紫色や赤紫色の縦線が入っている。


「ちょ…ちょっと見せてくれ」


「お、おう…」


グラデンが顔を近付けて装備を確認している。そんなにじっと見たいなら脱ぐのだが、それすらも待てないといった感じだ。

グラデンが触った瞬間にバチッ!と装備から音が鳴ったけど大丈夫か?



「縮んだとか着心地が悪くなったとかはないか?」


「寧ろ着心地は良くなったな」


前よりも心做しか身体にフィットしたような感じがする。



「…装備自体の性能が格段に上がっているな。それ以外にも特殊効果もついているようだな」


「特殊効果?」


グラデンは未だにじっと装備を見ながらそう言った。特殊効果とはなんだろうか?


「雷サイズ変換に雷寄せに雷再生に帯電に雷威力アップか?」


「詳しくお願い」


それから、グラデンにその特殊効果の詳しい説明を聞いた。

雷サイズ変換は雷を当てることで自動的にサイズが調整されるそうだ。つまり、この装備は俺が成長しても使えるということだ。

また、雷寄せは俺の避雷針の称号や雷吸引の効果と同じで雷を引き寄せるようだ。この装備の効果だけではそこまで引き寄せる力は強くないそうだが、その効果がスキルと称号と重複することで強くなるのだとしたら、かなり強く引き寄せられるな。

それから、雷再生というのは雷を与えると破損していた部分や耐久値が下がっていた部分が再生する効果らしい。

そして、帯電は雷を蓄えておくことができるそうだ。これは帯電している時は周りが触った時に雷で痺れたりするそうだ。さらに、雷再生と相性が良く、帯電している間は雷再生は常に発動できるそうだ。それから帯電中は身体能力が少し上がる効果もあるそうだ。

最後の雷威力アップは名の通り、俺が使う雷の威力が上がるようだ。グラデンでもその上がり幅までは分からないそうだ。



「雷を引き寄せるし、帯電中は雷を発しているから、俺の予想通りこの装備はほぼゼロス専用装備となるな」


「そうなるな」


雷を吸収または無効化できる俺だから使いこなせる装備となった。そして、俺にとっては最高の装備ともなった。


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