第468話 完成品
「まずはソフィアとシャイナとエリーラとキャリナの防具はこれだ!」
グラデンはそう言うと、奥の鍛冶場からソフィのローブと胸当て、シャナの篭手と靴、エリーラの全身装備、キャリナの軽装を袋に入れて持ってきた。
「サイズは念入りに調整したから大丈夫だと思うが、一応奥の部屋で装備して確かめてくれ」
グラデンがそう言うと、4人は自分の貰った装備を持って奥の部屋に入っていった。そして、しばらくしてから4人は出てきた。
「おお!」
もしかすると、リヴァイアサンの鱗を使ったから全員が青っぽい装備になるかと思っていたが、そうではなかった。
ソフィのローブは全体的には白色で、ところどころ水色の模様が入っている。前を開けているローブから覗く布でできたような胸当ては灰色になっている。
シャナの篭手の手のひらの部分は薄い布のようになっていて、武器を掴みやすいようになっている。しかし、手の甲から手首の少し先までは硬そうな金属?のようなもので覆われている。また、靴は青黒くブーツのようになっていて、シャナの太ももまで伸びている。
エリーラは全体的に淡い緑色の装備になっている。もしかすると、グラデンに精霊樹の枝を使ってもらったのかもしれない。最近のエリーラは魔法職のようになっているが、接近戦も少し行うため、動きやすいようになっている。だが、防御面でもしっかりしていそうな装備に見える。エリーラはこの4人の中で唯一のスカートで丈は膝より少し上ほどだ。もちろん、戦闘ようなのでスパッツのようなものは履いていると思う…。
キャリナは闇の獣鎧を使うことも考慮されているのか、全体的に暗い紫っぽい色の装備になっている。暗い紫の半袖のフード付きのパーカーを着て、その中には黒いインナーと胸当てがある。そして、下はショートパンツを履いている。また、ショートパンツの下にはパーカーと同じ色のニーハイを履いている。
「全員サイズがあっているようで良かったぜ」
グラデンは全員の装備を見て、うんうんと頷いていた。
「着心地に問題は無いか?」
「ありません」
「ない」
「ないわ」
「大丈夫ですっ」
着心地についても全員問題はないようだ。さすがグラデンだ。
「それから、キャリナにはこれだな」
グラデンはそう言うと、キャリナから頼まれていた鉤爪を取り出した。
「何度も試してもらって、これが最終調整を終えたやつだ。是非つけてみてくれ」
「は、はい」
キャリナはグラデンから手渡された鉤爪を両手に装備した。キャリナは試装のために何度も模擬戦を抜けることがあった。
「どうだ?」
キャリナが両手に装備し終わると、手を開いたり、閉じたりして感触を確かめていた。それを見てグラデンはキャリナに感想を求めた。
「希望通りですっ」
「それは良かった!」
グラデンの問いにキャリナは嬉しそうに答えた。それを聞くと、グラデンを笑いながら喜んだ。
キャリナの鉤爪は人差し指から小指までの4本の指の上から伸びており、指を動かすと、それに合わせて鉤爪も少し動いている。
また、キャリナの鉤爪は普通の鉤爪よりも少し短く見える。まあ、鉤爪を模擬戦前に武器庫くらいでしか見たことがないので、それが普通なのかは分からないけど。ただ、もしかすると、キャリナの鉤爪はその上から闇を纏うことを前提にしているのかもしれない。
「それで、これが大本命のゼロスの装備だ!」
グラデンはキャリナが着け心地を確かめるのを終えると、そう言って俺の装備の一式も袋に入れて取り出した。
「とりあえず、装備をしてきてもらえるか?」
「わかった」
俺はそう答えると、装備を替えに奥の部屋に行った。別に男だし、下着まで脱ぐ訳では無いので、行かなくてもいいかな?とも思ったが、一気に装備したのを見せるためにも別の部屋に行った。
「まじか…」
俺はグラデンから貰った装備を全て付けてそう呟いた。グラデンから貰ったのは指先が出ているグローブと少し厚手の半袖とズボンとくるぶしより少し上までのブーツだ。それと、鱗をそのまま使った胸当てや手甲などの薄い防具類だ。
俺はそれらに追加で元々持っていた緑っぽいローブを装備してみんなの前に出た。
「「「……」」」
「何かは言ってよ」
今回、グラデンから貰った装備は全身青色なのだ。つまり、今の俺は全身に青色のロック〇ンにローブを着せたような姿になっている。
「ゼロスの雷で色は変化するだろうから安心しろ!」
「ならいいけど…」
さすがにこの全身青色は少し嫌だ。ちなみに、俺だけこんなに青いのには理由があるそうだ。それは、俺の装備には余すことなくリヴァイアサンの鱗が大量に使われているらしい。わざわざすりおろして粉末に近くしてまで使ったそうだ。それは不純物を限りなく少なくすることで、俺の霹靂神を耐えられるようにするためらしい。
「さて、この前の廃村に行くぞ!そこでやっとゼロスの装備が完成する!」
俺達は新しい装備を見に纏い、霹靂神を放ったあの廃村に向かって馬車で移動した。
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