第466話 愛称
『ピコーン!』
『刀術Lv.1を取得しました』
「ふぅ…」
俺はソフィにアドバイスをもらってから5日後にようやく刀術を取得することができた。ちなみに、剣を2本使っている時から二刀流だったからか、特に新しい称号を獲得することは無かった。
「刀は実戦で使うことは多分無いな」
もちろん、刀術を取得できるくらい上達したので、刀でカカシくらいは簡単に真っ二つにできるようになった。だが、問題はその後に行ったベクアとの模擬戦だ。刀は細く、横から加えられる力に弱いため、下手にベクアの拳を刀でガードしようとすると簡単に折れてしまいそうになる。だから受け流すしかなく、とても苦労した。もちろん、受け流すのはそれなりに得意と自負しているが、ベクアからの突拍子の無い攻撃に対して反射的に動いた時にはそれも上手くいかないことがある。
「相性は悪くないんだけどな…」
俺は元々雷を主に使うため、スピード型のような感じだろう。そのため、細くて軽いため早く振れる刀の相性はいいはずだ。だけど、こればっかりは慣れが伴うので、今から剣から刀にチェンジするということは無いだろう。
「…次は鎌にするか」
「鎌なら私が教えれる」
シャナからの無言のいつになったら鎌を使うんだ?という圧力に負けて、次は鎌を使うことにした。
「鎌は慣れれば便利。斬ることも殴ることもできる。それに、形状が独特だから相手も防ぎにくい」
確かに鎌は形状が独特なので、シャナと戦う時には今でも少し面倒だと思う。だが、それはその分扱いにくいという側面もある。
「戦闘センスはいいはずだから、ゼロなら私の次くらいには鎌を使いこなせる」
「ありがと…ん?ゼロ?」
あまりにもすーっと普通に言ったため、見逃してしまうところだったが、今シャナは俺を愛称で呼んだ。俺はシャイナのことをシャナと昔から愛称で呼んでいるが、シャナが俺を愛称で呼んだのは初めての気がする。
「だめ?」
シャナは俺よりも小柄のため、上目遣いになって不安そうにそう聞いてきた。なんか庇護欲をかきたてられる。
ちなみに、シャナはソフィよりも小さく、キャリナとほとんど変わらないか、やや小さい。それなのに、大鎌を平気で振っている。
「別にいいよ」
それもあってか普通に許可してしまった。まあ、俺が愛称で呼んでいるのに、シャナが愛称で呼ぶのを断る理由は元々ないけどさ。
「ありがと、ゼロ」
そう言ってニコッと微笑んだシャナは凄く可愛いかった。
だが、そんな感情はすぐにどこかに行った。
「ちょっ!ちょ…!」
「私は鎖は使ってない。それに鎌も1本。だから余裕あるでしょ?私の鎌の使い方をよく見て」
「そんな余裕は無いわ!」
シャナの教え方は模擬戦の中で見て覚えろというものだった。
最初は普通に口で教えてくれようとしていたのだが、普段からあまり口数が多くないシャナは言いたいことを言葉にすることが上手くできなかった。だからこのような形式になったのだ。
まあ、別にそれはいい。見て覚えろというのも一つの教え方だ。ただ、シャナは手足のように器用に鎌を俺に振ってくる。俺は不慣れな鎌を2本でそれを防ぐことしかできなく、見て学ぶ余裕がない。もちろん、いつものシャナにしては振る速度は遅いので、手加減はしてくれている。ただ、それでもきついのだ。
「あ、1本だから分かり難い?」
シャナはそう言うと、鎖を取り出した。その鎖は独りでにうにょうにょと動き出して、鎌のような形になった。
「これで私も2本。よく見て」
「待っ…!」
シャナの手数が増えたことで、さらに防ぐのが大変になった。何とか回避は神速反射にお任せして、何とかシャナの鎌の扱い方を見て学んだ。
『ピコーン!』
『鎌術Lv.1を取得しました』
『【称号】二鎌流 を獲得しました』
シャナの教えもあって、鎌術は2日で取得できた。扱いが難しい中なのに、こうも取得が早いということは何やかんや言ってシャナの教えが良かったのだろう。
「次は私がメイスを教えますね。私がお兄ちゃんに教えれることはほとんどなさそうですが」
そして、鎌の次は棒術の取得を目標にソフィからメイスの使い方を教わる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます