第451話 無属性魔法と切り替え特訓
「無属性魔法は恐らく感覚的には精霊魔法に近いものだと思います。属性という括りが無いので、ある程度の形は好きに作れます」
今日はこれまた人気のない林でソフィから無属性魔法を教わっている。
ソフィは俺に無属性魔法の説明をしながら、空中で魔力をくねくね動かしている。
「そして、普通の魔法と同じ威力を出そうとすると、10倍以上の魔力を消費します」
「まじか…」
属性による追加効果が無い分、魔力の消費は多くなるようだ。
「ですので、精霊化を行うような相手以外には必要のないスキルです。現時点ではですが」
現時点はってことは、ソフィはこの無属性魔法に何らかの可能性を感じているってことなのか?
「お兄ちゃんならコツを掴むのは簡単だと思うので、早速やって見ましょう」
「ああ」
俺はソフィを真似ながら無属性魔法を放っていった。
「もう私の教えることは無さそうですね」
「ここまで早く上達できたのはソフィのおかげだよ。ありがとう」
2時間もかからずに、ソフィからそう言って貰えるくらいまで上達することができた。
それと、ソフィの言う通り、消費魔力が多いのは自分でも感じとれた。俺の魔法スキルで1つの魔法を放つための消費魔力の差はこんな感じだ。
雷電魔法≦スキルの魔法<ジール精霊魔法≦ユニークスキルの魔法<<無属性魔法<<<ユグ精霊魔法
もちろん、雷電魔法とジール精霊魔法は霹靂神の効果で消費魔力が少なくなっている。その効果がなかったら、ユニークスキルの魔法の次に雷電魔法、ジール精霊魔法と続くだろう。
「それにしても、ユグ精霊魔法の消費魔力が多いってのを再確認するな」
『それほどでも〜』
別に褒めている訳では無いが、ユグが喜んでいるので訂正しなくてもいいかな。まあ、ユグ精霊魔法の消費魔力が多いのはできることが多いからでもあるので、そこを文句言うつもりは無い。
「では、無属性魔法の撃ち合いでもしましょうか」
「まじ…?」
「まじです」
それから夕方前までソフィと無属性魔法の撃ち合いをした。もちろん、俺がボコボコにされたのは言うまでもない。
この日はソフィに打ちのめされた体と心を温泉で癒して1日が終わった。明日はエリーラとの精霊降臨と精霊化の特訓だ。
「高速で切り替える時に重要なのは精霊降臨による操作範囲を一気に縮めて、体の中に精霊を入れるような感じでやることよ」
今日はエリーラとの切り替え特訓だ。今日は昨日、一昨日と違って人気のない砂浜にやってきている。
エリーラが言うには精霊降臨というのは精霊の力を操作範囲まで広げている状態なんだそうだ。だから精霊化をする時にその広げた力を一気に自分の中に入れるような感覚らしい。
「やってみなさいよ。悪いところは私が指摘していくわ」
「私も指摘してあげるよ!」
「お、おう」
今回やるのはジールでの精霊降臨と精霊化の切り替えだ。だからユグは俺から出てエリーラと共に指導者役をしてくれている。
「精霊降臨」
まずは切り替え元となる精霊降臨を行った。
「それでこれを…」
「ゼロくんの操作可能最大範囲はもっと広いよ?実戦を想定してやるなら全力の範囲にしないと意味ないよ?」
「そうなの?ありがとう」
どうやら、俺が精霊降臨で雷を操れる範囲は俺が思っていたよりも大きいようだ。ユグに指摘されて初めて気付くことができた。俺はめいいっぱいまで広げてみた。
「10mくらいかな?」
俺が雷を操作できる範囲は俺から10mまでのようだ。とはいえ、俺から遠くなればなるほど操れる量などは少なくなってくるけどな。
「これを一気に…!」
そして、その広げたのを一気に俺の中に呼び寄せようとした。
「あっ…」
勢いを付けすぎて、俺の中に入らずに、通り過ぎてしまった。すぐに通り過ぎたやつを自分の中に戻した。
「本当に自分の中に戻してどうするのよ。私は戻すような感じでやれって言ったわよ」
「あっ…」
通り過ぎた時に少し焦ってしまい、自分の中に戻すことに集中し過ぎていた。精霊化をしないで普通に普段のように俺の中に入れてしまった。
「もう1回」
「…はい」
それからはエリーラの指示の元、切り替えをできるように頑張った。ちなみに、精霊化から精霊降臨をやる時はさっきまでとは逆に一気に広げるような感覚でやるそうだ。
「次」
「………精霊化」
「次」
「…精霊降臨」
そして、夕方になることには連続した切り替えができるようになっていた。
「まだエリーラちゃんと比べるとダメダメだね」
「そんな一日でエリーラと同じくらいになれるとは思っていなかったけど、やっぱり難しいな」
「当たり前よ。私がどれだけ苦労して身につけたと思ってるのよ。ただ、初日にしてはできるようになった方だと思うわよ」
精霊化からの精霊降臨は実践でもギリギリ使えるくらいの速度で切り替えられるようになった。個人的に取り込むよりも放出する方が簡単な気がした。
「努力次第で実戦レベルにはなりそうね」
「それもエリーラのおかげだよ。ありがとう。まだ三日後よろしく頼むよ」
「ふんっ。言われなくても私のおかげなのは自分で自覚してるわよ。感謝の気持ちがあるなら三日後までに自主トレくらいしておきなさいよ」
何もコツとかも分からない状況でこの技術を身に付けたエリーラは普通に凄いと思う。エリーラからコツとかイメージを聞いてもこんなに難しいのに、それすら分からなかったエリーラはもっと難しかっただろうな。
俺達は夕方までやると、ユグを体の中に戻して宿に2人へ帰った。
俺は返事の手紙が揃うまでベクアとの魔力纏の特訓、ソフィとの魔法の特訓、エリーラとの精霊降臨と精霊化の切り替えの特訓の3つを繰り返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます