第428話 イム視点
「ちゃんとダーリンには足止めをお願いしておいたよ」
「お兄ちゃんの元に早く行くために早く倒しましょう」
「はーい」
僕はダーリンと話し終えてソフィアちゃん達の元へ帰ってきた。未だにここに居るリヴァイアサンは僕の予定通りダーリンのところに行こうとしている。
「捕まえた」
「あれは私が防ぐわ」
「サンダーランス!」
「シャアッッ!!」
ただ、リヴァイアサンは3人を相手にほとんど進めていない。シャイナちゃんが水の手でリヴァイアサンを掴んで、吐き出した水をエリーラちゃんが操って、ソフィアちゃんが開いた口の中に雷魔法を転移して当てている。
「…あれ?僕することある?」
3人のこの連携に僕が混ざったところで足を引っ張るだけの気がする。それが分かっているから僕が上から高みの見物をしてても文句を言ってこないのだろう。だけど、サボっていると思われたくは無いので、リヴァイアサンの動きの妨害はしておく。
「勝てそうだね」
僕がダーリン達に協力したのは別に僕のレベルアップ何ていう目的ではない。多分、そのこと自体はダーリン達も気がついているとは思う。
僕のこの協力には大まかに3つの目的がある。
その中の1つは絶対に叶えるもの、さらに1つは叶えたいもの。最後の1つは叶えられたらいいなという程度のものだ。
絶対に叶えるものにはこの大人のリヴァイアサンの討伐は必須だ。
「おっ、倒してから行くつもりになったか」
リヴァイアサンがダーリンの元へ行くためにはこの3人を倒した方が倒してからの方が早いと考えたようだ。本格的に3人に攻撃をし始めた。
「じゃあ僕も本格的に混ざるかな」
防御に注意を回さなければならなくなり、攻撃が少なくなってきた。シャイナちゃんとエリーラちゃんの魔力は有限なので、無くなる前に殺さなければならない。
「防御は僕に任せて!」
シャイナちゃんに水中から飛び出て向かってきたリヴァイアサンの前に転移して、鼻っ柱を剣山のような棘を付けた拳で殴り落とした。
「本当に強い世代だよね」
僕はみんなのサポートをしながら、みんなの戦いを観察していた。
多彩な魔法使ってリヴァイアサンに着実ダメージを与えているソフィア。
リヴァイアサン以上に水を自由自在に操って妨害と攻撃をしているエリーラ。
水のみに限定すればリヴァイアサンよりは操れてはいないが、リヴァイアサン自体をも操って、魔法を発動しようと開いた口を閉じさせて魔法を暴発させているシャイナ。
誰もが何百年、何千年に1人ほどの実力者であることは疑う余地もない。
「でも、所詮はその程度だ」
この3人は言ってしまえば何百年、何千年か待てば産まれてくる程度の才能だ。
しかし、ゼロスはどうだろうか?あの反射神経を持った者は今まで居ただろうか?魔物をも軽く凌駕する神のような反射神経を持った者は。多分、後にも先にも居ないだろう。
……百歩譲って何万年に1人は産まれてくるとしよう。しかし、その者があのような雷を使うことがあるだろうか?まあ、別に雷に限定しなくてもいいけど、あれに匹敵するほどの威力を持つ魔法を扱える者はいるだろうか?
それは無いだろう。私も天才と認めてもいいと思っているソフィアですら、複数の魔法を合わせたとしてもあの使用した魔力量であの霹靂神程の威力を出すことは不可能だ。もちろん、僕やリュウにも無理だ。まあ、込める魔力量を増やせば不可能ではないけどな。
しかも、あれは私が魔族をけしかけた時に追い込まれて使った雷とは別種だろう。あれは久しぶりに死を予感した。もし、あれも霹靂神に含められるとしたら……。
「転移」
なんて思考をしていたら、いよいよ勝負も大詰めに入ってきた。僕もこれからは積極的に戦いに参加しよう。早速リヴァイアサンの口の中に転移した。
「ドレイン」
僕のドレインはソフィアちゃんが使っていたドレインとは全くの別物だ。僕はリヴァイアサンからステータスを吸っていった。発動条件を満たすのがかなり面倒だが、満たしさえすればこれはかなり強いやつだ。もちろん、吸ったステータスが全てが僕のものになるわけではないけど。
「ご馳走様」
吸いたいだけ吸い終えたので、僕は転移で口の中から水中に出た。
「たまには海から出ようか」
僕はリヴァイアサンを空中に蹴り飛ばした。ステータスを吸い尽くしてしまうと、経験値が入ってこなくなる。だからある程度に押えたが、今のリヴァイアサンは子供リヴァイアサン2匹分程度のステータスしかないだろう。なら、もう僕の敵ではない。
リヴァイアサンは空中で猛攻撃にあい、海深くまで逃げようとしても僕が転移で阻止した。
「サンダーバースト!」
「シャア……」
ソフィアちゃんの魔法を最後にリヴァイアサンは海に浮かんで動かなくなった。経験値も入ったので、間違いなく死んだだろう。
「早くお兄ちゃんのところへ…」
僕はそう言って転移しようとしたソフィアちゃんを妨害した。
「…何のつもりですか?」
「今いい所なんだよ。邪魔はさせないよ」
僕の叶えたいもののためにこの3人を今戦っている最中のダーリンの元には行かせない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます