第424話 最終確認
「じゃあ、作戦の最終確認をするぞ」
「ああ…」
王都からの部隊が到着して、ベクア達との綿密な打ち合わせも終わり、リヴァイアサン討伐の前夜にイムと海へやって来た俺達7人、計8人は夕食後に明日の最終確認を行った。
「まず、俺達で王都から連れてきた部隊で指定の場所でリヴァイアサンの子供達が来るのを待ち構える」
ゼロスが言う通り、作戦の前段階として、イムが転移させる予定地でいつでも迎え撃てるように準備しておく。
「次にソフィア、シャイナ、エリーラの3人で海の上を移動してリヴァイアサンを深い海中から誘き寄せる。もし誘き寄せられなかったら…」
「その時は僕も出るよ。リヴァイアサンにそこそこの傷をつけた僕の魔力は覚えているだろうし、必ず出てくるよ」
まずは3人でリヴァイアサンを誘き寄せられる。それで来なかったらイムが、それでも来なかったら俺が出るわけだ。
「リヴァイアサンを確認できたらソフィアが上に魔法を上げて合図をする」
「その合図が確認できたら俺は霹靂神を準備する」
「そうだ。その魔法が完成した瞬間にイムがゼロスを魔法ごとリヴァイアサンの元へ転移させる」
最初にリヴァイアサン達を少しでも弱らせる為に霹靂神をぶち当てる。本当は何度も当てたいのだが、こんな転移での特攻は知能が高いリヴァイアサンには1回しか使えないだろうから最初だけだ。それに、何度もあれを打てるほど俺の集中力は続かない。
「魔法が収まった瞬間にイムが子供を転移させる」
俺の魔法には痺れさせるためという意味もある。流石のリヴァイアサンといえども、霹靂神を食らえば子供の動きを止める効果くらいはあるだろう。その隙にイムが転移させるのだ。
「もし、子供との戦闘で勝てないと判断したらキャリナが魔法を打ち上げる」
「僕達の邪魔をするほど足でまとい出ないことを期待してるよ」
もしもの場合はエリーラが貸した火魔法をキャリナが打ち上げる。もし魔法に気が付けなかったとしても、貸した魔法が帰ってくれば気付くことができる。
その時はイムが子供達をもう一度転移させて海に放り込む。
「その後は大人のリヴァイアサンをそれぞれ離れ離れにして各個体事に転移させる」
イムが子供を陸に送った次は2体の大人をそれぞれ分断して、片方を全力で倒しに行く。その時に倒すメンバーは俺とシャナとエリーラだ。そして、合流しないようにもう片方を妨害するのがソフィとイムの2人だ。
ちなみに何で倒す組と足止め組でこのようなチーム訳になったかと言うと、俺とイムを別々に、シャナとエリーラを一緒にしたかったからだ。
イムは遠くからでも俺の姿が確認できる。つまり、俺とイムが別チームだと、イムは別チームの状況が確認できるのだ。
そして、イムが暴挙に出た時にそれを抑えられる存在もイムと同じチームに入れなければならない。そこで模擬戦に勝つことができたソフィだ。
それでエリーラの作りだした純水を操るために2人セットのシャナとエリーラは人数的に俺と一緒になったわけだ。
「その後は海側のリーダーをゼロス、副リーダーをソフィアとする。そして、陸側のリーダーを俺、副リーダーをウカクとする」
実際に戦闘になると予定通りに行かないことが多くなることが予想されるから、それぞれの側の判断で臨機応変に対応していく。
「……もし、誰かが死ななければ勝てないほどの相手だと判断した時は全員逃げてもいいからな」
「何度も言わなくてもわかってる」
ベクアは強い大人のリヴァイアサンの相手を任せてしまうことにかなり申し訳ない気持ちなのだろう。本当なら獣人国の問題なので、一番強い大人と戦わなければならないのは自分だとでも思っているのだろう。
「引き際はちゃんと見極めるから。よろしくな、ソフィ」
「分かりました。ちゃんと言うことを聞いてくださいね」
「僕が言う事聞かせるから大丈夫だよ!」
引き際という点では誰よりも俺に過保護のソフィの判断にかなり任せている。ソフィがもうダメと判断したらその時は引き下がるつもりだ。そして、また別の作戦を考えてから挑めばいい。
ただ、俺がソフィの言うことを聞かない場合はイムによる転移の強制撤退になってしまう。熱中するあまり、ソフィの言うことが耳に入らないなんてことのないようにしよう。
「よしっ!じゃあ明日はそれぞれ役割は違うが、全員頑張るぞっ!」
「「「「「おおーー!」」」」」
ベクアの掛け声に5人だけが返事をした。おい、そこの冷静キャラ?の2人も混ざりなさいよ。
その後は最終確認も終了したので、全員がそれぞれ眠りについた。そして、目が覚めると、作戦決行日の朝がやってきていた。
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