第324話 ニャオナの能力

「それでニャオナは獣化で何ができるの?」


キャリナは契約してまずニャオナにそれを聞いた。いや…普通は契約前に聞くことじゃない?


「まず、他の獣と一緒でステータスが上がるにゃ」


それはどの獣と契約しても同じことだ。大小はあるけど、どの獣と契約して獣化してもステータスは上がる


「にゃーの場合は防御と魔防以外が上がるにゃ。特に敏捷は多く上がるにゃ」


獣によって上がるステータスは違うそうだ。ちなみにダーキとの獣化の場合は攻撃と防御と敏捷の3つがかなり上がる。


「他には普通に獣化で獣の状態になれるにゃ。でも、獣化ににゃれたら手とか足の部分的にした方が強いと思うにゃ」


俺は獣人ではないから無理だが、獣人には獣になれる形態が存在している。まあ、俺が完全な獣になれたとしても剣が持てなくなるので使わないと思う。



「それとそこの獣王と一緒で特殊能力的なのもあるにゃ!」


「私のことは獣王じゃなくてダーキって呼びなさい」


「あ、わかったにゃ」


どうやらダーキのサイコキネシスのような特殊能力を幻想種の獣は全員使えるそうだ。


「その特殊能力って何なの?」


「…言っていいにゃ?」


「全然いいよ」


ニャオナは俺の方をチラッと見て、本当に特殊能力を言ってもいいか確認をした。その確認をキャリナは即答で大丈夫だと答えた。

基本的に特殊能力は誰にも言わない方がいい。それを知られているかどうかでその相手と戦った時の戦況は大きく変わってしまう。現に、俺はダーキの能力をソフィにさえ公言はしていない。ソフィならある程度察してはいると思うけど。


「今すぐに獣化して使える能力は…視界拡大と視力強化と透視、借奪眼で奪ったやつを1つストックできるくらいかにゃ?キャリナが獣化した時に尻尾を複数生やせるようになったらもっと強力にゃのも使えるようにゃるにゃ」


「え?ストック?」


ストックと聞いて、つい、話を聞いていた俺がニャオナにつっこんでしまった。


「そうにゃ。キャリナの借奪眼で奪ったものは眼に留めておくにゃ。それが原因で1度奪った後は全てを使い終わるまで新しく奪えにゃいにゃ。

にゃーの力ではそれを防ぐために尻尾に奪った力を移すことができるにゃ。そうすることで眼には何も留められてない状況を作れるにゃ。だからもう1度借奪眼を使うことができるにゃ」


要するに、キャリナは獣化状態だと、2回借奪眼を使えるようになるそうだ。たった1回増えただけだが、これはかなり強い。


「キャリナが獣化して尻尾を2、3と生やせるようになったらストック数も2、3と増えていくにゃ」


キャリナが完全にニャオナを使いこなせるようになったら、合計で4回まで借奪眼を使えるようになるのかよ…。ヤバいだろ。


「とりあえず、にゃーの能力はこんな感じにゃ」


「ありがとう」


確かにニャオナの能力はキャリナだからこそ使いこなせる能力だ。俺が視界拡大や視力強化や透視、ストックを使えても使い道がほとんどない。特にストックするものがないので、ストックは完全にいらない能力になってしまう。

しかし、キャリナなら視界拡大と視力強化で見える範囲が増えることで、奪える範囲も多くなる。さらに、透視で岩の後ろなどの見えないところから発動された魔法も奪えるようになる。ストックなんかは言わずもがなだ。



「じゃあ、早速獣化してみよう」


「待ったにゃ!今しても体の負担的にほぼにゃにもできにゃいにゃ!獣化は進化してからやるにゃ」


「…わかった」


「進化したらにゃーの力はいくらでも使えるからそれまでの我慢してにゃ」


なら進化してから契約しに来ても良かったのでは?と思ってしまった。まあ、確かに俺の今のステータスを持ってしても、ダーキの尻尾を9本全て生やすことができないくらい幻想種の獣化には負担は大きい。進化前のキャリナにそんな大き過ぎる力を使うのは難しいかもしれない。


「そろそろにゃーはキャリナのにゃかに戻るにゃ」


「私もそうしますね」


そう言って、ニャオナはキャリナの中に、ダーキは光翠の中に戻った。



「キャリナはこれからの狩りはどうする?」


「シャイナさんには私の都合で代わってもらったので、残ってる時間もシャイナさんに任せようと思います。私はまた3時からやることにします」


「了解」


それからソフィとエリーラだけで戦って、俺とシャナだけで戦って、最後にシャナと俺でキャリナ主体の狩りのサポートをして狩りが終了した。



「じゃあ、私は進化してきますね」


「行ってらっしゃい」


そして朝食を食べ終え、キャリナが進化を行ってテントで眠りに着いた。

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