第320話 進化先候補
「ゼロス!ゼロス!レベルがMAXになったよ!」
離れて戦闘をしているシャナが俺まで聞こえる大声でそう言っている。
「結界に戻って進化するか!?」
俺もシャナに聞こえるような大声でそう尋ねた。
「レベルがMAXでも経験値って溜まるよね!?」
「溜まったはず!」
俺は特例で進化後に残っていた経験値も含めてもマイナスになるまでごっそり持ってかれたが、普通は残っているはずだ。
「なら狩りが終わってから!進化して終わりじゃない!進化してもまだ遅れてる!」
シャナはそう言うと、周りの魔物をどんどん倒し始めた。シャナの目標は俺とソフィと張り合えるくらいの強さだ。だから進化してもまだ目標まで遠いからできる間に経験値を稼いでおきたいそうだ。
「みんな!交代!」
そして、交代の23時になった。シャナとキャリナは結界の中に戻ってきて、ソフィとエリーラは2人で魔物を殲滅し始めた。
「シャナ、進化先にどんな種族がある?」
「ちょっと待って」
俺は座って休んでいるシャナにそう話しかけた。
シャナは少しステータスを確認するような動作をとった。
「じゃあ、選ばない種族は教える」
そう言ってシャナは進化しない種族を教えてくれた。シャナの進化しない種族は以下の13個だった。
【上位人族】
【鎖人】
【鎌人】
【鎖鎌人】
【隠人】
【魔人】
【火人】
【風人】
【水人】
【土人】
【瞳人】
【魔眼人】
【霊人】
「鎖鎌人…」
「それはちょっと気になった」
これは鎖鎌を武器として使うシャナだからこそ現れた種族だろう。多分その種族になった人は存在しないと思う。
「魔瞳人と霊人にはしないのね」
この13個の種族の中で特に異彩を放つのがこの2個だ。鎖鎌人は一応選択肢にあったことに納得はできたが、これは何かすらもよく分からない。
「その2つは悩んだ」
悩んだと言っても、シャナがステータスを見てから俺に見せてくれるまで1分もかかってない気がする。
「魔眼人ってどんな種族?」
「魔眼を使うことに特化した種族」
魔眼人は魔眼を使う種族だそうだ。だから視力とかも今よりも格段に良くなるらしい。さらに、魔眼人になれば魔眼の使用、不使用のコントロールもできるようになるとのことだ。
「え?魔眼を使わないようにしなくていいの?」
「できるならしたいけど、そんなことよりも強くなることが優先」
魔眼をコントロールすることよりも、シャナは強くなることを優先するようだ。
「じゃあ、霊人ってどういう種族なの?」
「隠人を強化した感じ」
霊人は隠人のように隠れることに特化した種族だそうだ。ただ、霊人は透明になって見つからないようにするだけではなく、すり抜けることも可能になるそうだ。
「すり抜けるのならゼロスがもうできる。真似っ子しても意味無い」
俺のすり抜けはかなりの集中と多量の魔力を使うから、そんなのを必要としない霊人はかなり強いと思う。
だが、そんなの霊人でもすり抜ける状態を維持するのにはタイムリミットがあるそうだ。だから別に最強というわけではないらしい。
「じゃあどんな種族にしたの?」
この中に無い種族でシャナが選ぶようなやつが思い浮かばない。
「秘密。でも使いこなせればゼロスとソフィアにも負けない」
「それは楽しみだ」
自信満々にそう言うシャナの進化後を楽しみにしながら戦っているソフィとエリーラを見ていた。
「交代!」
「わかったわ」
「わかりました」
そして、1時になったタイミングでソフィとエリーラと交代して俺が1人で戦う番になった。俺は大会に出場するからという理由でこれから2時間は1人で戦っていいということになっている。
「雷電纏、雷電ダブルエンチャント」
大会を考慮して精霊化や魔法などは使わずに戦うことにした。雷電ダブルエンチャントは獣化の代わりのようなものだ。
『……悔しいけど物理攻撃のみならかなりいい戦いするのね』
『いや…別にそこは悔しがるところじゃないから』
魔法という選択肢自体を排除すれば多重思考のゆとりも多くなるから戦闘はかなり上手くできていると自負している。このような乱戦では特にそれが活きる。ただ、今から大会を想定して、一撃で倒している魔物にもブロスの能力を使い始めた。
『あ、急に動きが悪くなった』
ブロスの能力に多重思考をかなり使ってしまう。これが的を攻撃するのなら多重思考をほとんど使わずに済むのだが、相手が動くせいで攻撃した瞬間にピンポイントに能力を使うのがかなり難しい。こんなことを日常的にやっていたブロスは凄いと思う。ブロスにコツを聞きながら頑張ろう。
「お兄ちゃん!交代!」
「わかった!」
もう2時間が経過してしまった。最後の方になったらだいぶブロスの能力を使うのも慣れてきた。それに必要な多重思考の数も半分以下になった。
それから再びシャナとキャリナが戦って、今度は俺がサポートして夜の狩りが終わった。
「朝方には魔物がやっぱり少なくなったね」
夜にいる魔物の数は昨日と変わっていなかったが、やはり朝の方になってくると魔物の数がかなり少なくなる。それを上手く改善できればいいのだけど。
「進化していい?」
朝食を食べ終えると、シャナがそわそわしながらそう俺に言ってきた。
「あとは俺達に任せて進化していいよ」
「ありがと」
そう言うと、シャナはステータスを操作して進化を始めた。そして、シャナはテントの中で眠りに着いた。
「さて、じゃあシャナが起きるまで交代で見張りをしようか」
それからは昨日と同じく交代で見張りを始めた。
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