第306話 今後の予定
「じゃあ、次はソフィ!模擬戦しよ!」
久しぶりにこんなに激しく動いたのと、新しい装備がとても使いやすく、さらに身体に良く馴染むのも合って、まだまだ戦い足りない。俺は戦闘狂では無いが、今日はまだまだ戦いたい!
「誘ってくれたのはとても嬉しいですが、今日はここまでです」
「え!?何で!」
とりあえず昼まで模擬戦を続けて、その後は昼食を食べたあとに夜まで模擬戦をするつもりだった。
「先程の模擬戦ではお兄ちゃんは問題なかったようですが、一応今日はもう終わりにしましょう。明日からは何時間でもお兄ちゃんに付き合いますよ」
「………はーい」
正直、かなり物足りなくはあるが、理由がちゃんとしているので言うことを聞くことにした。そして、俺達5人は仮拠点の中に戻って行った。
「さて、今日はお兄ちゃんが問題ないと確認できたので、今後の予定を決めようと思います」
居間に全員が揃って座ると、ソフィがそう言い出した。
「え?深林で魔物を狩るんじゃないの?」
まだベクアからの連絡はない。だから今まで通り深林で魔物を狩るつもりだった。もう5人の魔族は全員倒してあるからな。
「イムに…魔族達に私達が深林のどこで狩りをしているかはバレていますよ」
「あっ……でも、今までのところから離れた場所に移動したらいいんじゃないの?」
前までの場所はバレてしまっていても、新しい場所に移動すれば全く問題ないはずだ。
「移動すると言っても、反対側ほど遠くに行ける訳ではありません。なので、魔族達が見つけた場所の深林を捜索したらすぐに見つかってしまいます。それにもし、反対側まで行ったとしても、深林をぐるっと回ったらバレてしまいますよ」
「うーん…気にし過ぎじゃない?だってイム達は俺のことをいつでも見れるんだから、居場所なんてずっとバレてるようなものじゃん」
俺だけが見えてるわけではないのだから、例えどこに行こうとも周りの景色から大体の場所は推測されるだろう。
「…それはどういうことですか?」
「え?あっ……」
あ、やばい。ソフィに称号のせいでリュウとイムから何時でも見られるというのを言っていなかった。完全に言ったつもりでいた…。
「な、何でもないよ」
「…今更そんな誤魔化し方で通用すると思っているんですか?」
「………」
言葉で詰められているのは、ソフィにだけだが、心做しか他の3人の目線も冷たくなっている気がする。俺はもう誤魔化すことを諦めて全部正直に話した。
「なんでそんな重要なことを今まで黙っていたんですか!」
「ひっ!ごめんなさい!」
ソフィに本気で怒られた。恋愛絡み以外でこんなに怒られたのは今世では初だ。
「はぁ…そういうことなら常に居場所はバレていると思って行動しなくてはなりませんね…」
「…ごめん」
俺は4人に謝った。よく考えていれば、俺が居なければここに魔族に襲われることもなかったのだ。
「別にこれに関して、お兄ちゃんは悪くないのでお兄ちゃんの事は責めませんよ。ただ、もっと早く知っていれば色々と対策ができたとは思いますが…」
「私はいい実戦になったから別にいい。レベルもかなり上がったし」
「もっと早く聞かせなさいよっとは思ったけど、別にあんたを責めはしないわよ」
「私も悪気があった訳では無いと分かっているので、責めませんよ。そもそも私が責められる立場でもありませんし…」
「ありがとうな」
ソフィ、シャナ、エリーラ、キャリナにそう言ってもらえて、気持ちが楽になった。本当に4人には頭が上がらないな。
「ちなみに他に隠している重要なことは無いですよね?」
「無い…はずです」
少し考えたが、特に言わなければならない重要なことは無いと思う。
「話を戻しますが、居場所がほぼバレるということなので、今までと同じ場所で狩りを続けましょう。期間は……シャイナとキャリナのレベルはいくつですか?」
「91」
「76です」
シャナのレベルが91で、キャリナのレベルが76だそうだ。俺は思ったよりもシャナのレベルが高いことにびっくりした。だけどよく考えてみると、シャナは俺がエルフの里にいる間も冒険者として魔物を倒していたのだからそのレベルでも納得できる。
「では、まず第一期間として、シャナが進化できるまでレベル上げをしましょう。その後に今後の予定をもう一度話し合って、まだ狩りをするのならば今度はキャリナが進化できるまでやりましょう。ただ、何か途中で問題などが起きたらやめます。
とりあえずこんな感じでどうですか?」
「いいと思うよ」
「問題なし」
「それでいいわよ」
「だ、大丈夫です」
ソフィの案に反対意見は誰からも出なかった。
「明日はステータスが上がった身体を慣らすために模擬戦をして、狩りは明後日からにしましょう」
こうして明日は模擬戦を行い、明後日からは深林に行って狩りをすることが決まった。
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