第247話 ソフィへ説明
「お、お、おお兄様!お、お久しぶりです!!」
「………」
家に帰って自分の部屋に入ると、慌てた様子でディアが俺の部屋に突撃してきた。そして俺の腰にある翠闇に向かって滑り込むように土下座をした。それに対してブロスからの返答はない。そのせいでディアはずっと震えながら土下座をしている。
『おい、ブロス。何か言ってやれよ』
『ど、同志よ!』
『ん?』
『なんて話せばいいのだ!』
『えーー……』
まさかブロスが妹に対して話し方が分からないなんて言うとは思わなかった。
『妹から話しかけられるなんて25回目なんだぞ!どうやって話せばいいか分かる訳が無いだろう!』
『………』
ツッコミどころが多いな…。まず1番言いたいのは、これを話しかけられてるにカウントしたらダメじゃないか?完全に怯えて謝っているだけだぞ?
そして2番目に言いたいのが話しかけられた回数を数えるな。そしてかなり少ないな。俺がソフィから話しかけられた回数は軽く1000回は超えてると思うぞ。
『…とりあえずお前は翠闇から出ろ。そして、ディアに頭を上げるように言って、何も怒ってないとでも言えば?』
『だ、だが、目の前に居たら緊張するでは…』
『いいから出ろ』
今も震えているディアが可哀想になってきたので、無理やりブロスを剣から出した。そうでもしないと延々にこのやり取りを繰り返しそうだ。
「お、お兄様……」
「妹よ…いや、ディアよ。我は今回勝手に契約した件を咎めるつもりは無い」
「あ、ありがとうございます!」
いや…妹と話すにしては言葉が硬すぎるだろ。そんなんだからこんなに怖がられているじゃないの?
「悪魔王様、お久しぶりでございます」
「ディアの護衛ご苦労だな」
「いえ、とんでもございません」
ディアが土下座を解くのを見計らったようにシファも部屋に入ってきた。そして片膝を着いてブロスに頭を下げた。
「これからもディアをよろしく頼むぞ」
「承知しました」
ディアよりもシファと話している方が自然になっている。
「お兄ちゃんはどうやってこの2人と契約したの?」
「ああ、それ……は…」
ソフィもシファとほぼ同じタイミングで部屋の中に入って来たのには気が付いていた。でも、改めて振り返ってソフィの方を向くと、ダーキが尻尾をソフィに撫でられて気持ち良さそうにしている。いや…ダーキはいつ翠光から出たんだよ…。
「明日みんなへ説明する時に私が詳細を知っていれば、何か予想外の事を聞かれた時にフォローできますよ」
「あ、そうだね」
明日みんなの前で説明するからっと言おうとしたが、先にソフィからそう言われた。確かに言われてみると、ソフィには前もって知ってもらっていた方が楽だろう。
だから、まず剣の素材と、付いている玉のおかげで契約数を増やせたこと、それを知っていた悪魔王が獣王にそれを伝えた。そして勇者に契約させられている悪魔と獣を救うために2人は俺と契約した。という説明を詳しくした。
「なるほど…やはり契約できたのはその剣の力ですか」
説明し終わるとソフィは何か納得したように頷いていた。
「とりあえず剣の力で契約しているというのは言わない方がいいでしょう。あのメンバーに勝手に人の秘密を話す人は居ないでしょうが、記憶を読み取るということが出来るスキルを持つ人がいたら厄介です。そんな人が居て、剣のことを知ったら何としても手に入れたいと思うはずですから」
「なるほど…」
記憶を完璧に読み取れればまだいい。しかし、断片的に精霊や悪魔や獣と契約できる剣というがあり、それを俺が持っている。というように読まれたらこの剣は俺を殺してでも欲しいという人は必ず居るだろう。
「ですから、新しく契約できたのは精霊王の力を使って王同士だったから。そして契約は勇者から精霊達を助けるための一時的。剣は契約した精霊達の力で増幅するということにしませんか?」
精霊王の力なんていうのは誰も知りもしないからそれで大丈夫だろう。あと、一時的というのもダーキはそうだから完全に嘘ではない。そして、最初に剣を全く使えなかったのも、使い方がわからなかったからという理由になるな。
「分かった。それでいこう」
やっぱりソフィに話して正解だった。俺ではここまで深く考えることが出来ていなかった。
「それと…」
「ん?」
ソフィは何か言おうとして止めた。そして何か考える素振りをとった。
「いえ、何でもありません」
「そう?」
今のソフィの反応は何か他に違う説明の仕方が思い付いたけど、よく考えたらダメだったってところか?
「何か予想外のことが起こったら私がフォローしますね」
「ありがとう」
そうして明日何を言うかについての会議は終了した。それからはユグやジールも俺から出てきてみんなで軽く交流会的なものをやった。それで今日一日は終わった。
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