第173話 進化先選択

「ゼロ兄様!お疲れ様です!」


ソフィがそう言いながら笑顔で駆け寄ってきた。


「かっこよかったです!」


そう言いながら再び抱き着こうとしてきたが、持ち前の反射神経でそれを躱した。


「え…?私が避けられた?」


「え!」


避けただけなのにソフィはこの世の終わりのような顔をしている。さすがにこのままじゃまずいので、すぐに言い訳をした。


「ほら!今は返り血で汚いから!」


「ウォッシュ。はいっどうぞ!」


俺がそう言うとすぐに魔法で俺の返り血を綺麗に洗い落とした。そして両腕を大きく広げてハグを要求してきた。あれ?俺からハグするみたいになってない?まだソフィから抱き着かれるのはいいが、この歳にもなって自分から妹に抱き着くのは恥ずかし過ぎる。


「そんなことより早く進化しないと!」


「そうですね。先に進化をしましょうか。ハグはその後してもらいますね」


どうやら俺からソフィにハグすることは逃れられないようだ。まだエルフ達が魔物と戦っている音が聞こえる。そしてソフィと戦っていたイムは分身だったらしい。ということはまだエミリーはイムと戦っているだろう。なら早く進化しなければならない。進化するためにとりあえずステータスを開こうとしたが、その前に気になることが合ったので質問した。


「進化って今すぐ始まるの?」


「進化先の選択してもすぐには始まりません。進化は眠った時に始まります。ただ、一度進化先を選択したら、眠る前でももう変更できません」


聞いた時に、ソフィに聞いても分からないかっと思ったが、完璧な返答が帰ってきてびっくりした。もしかして…と思い、ソフィに再び質問した。


「ソフィってもう進化してるの?」


「はい。3ヶ月くらい前に」


「あっ…そっか…」


分身とはいえイムを相手しながら俺の援護を完璧にしてた時から薄々思っていたが、ソフィはもう進化しているようだ。妹に先を越されてしまった…。


「ちなみに何の種族になったの?」


「秘密です」


何とか聞き出そうとしたが、絶対に言わないというのが伝わってきた。そんなに言ったらまずいような種族なのか?


「そんなことよりもゼロ兄様の進化を急ぎませんか?」


「あ、そうだね」


まず進化するために心の中でステータスと唱えて、ステータスを見た。




【名前】 ゼロス・アドルフォ

【種族】  人族 【進化先選択】(16)

【年齢】  13  

【レベル】 MAX  (35UP)


【HP】   1752/2154 (733UP) 

【MP】   1321/2154 (733UP)


【攻撃】  976  (336UP)

【防御】  910  (331UP)

【敏捷】  1288 (443UP)

【魔攻】  887  (306UP)

【魔防】  680  (255UP)

【知力】  739  (255UP)


【スキル】

・算術Lv.7・礼儀作法Lv.6・騎乗Lv.3・解体Lv.6

・危機感知Lv.MAX(2UP)・剣術Lv.MAX

・武術Lv.MAX(2UP)・投擲Lv.3

・隠密Lv.8(1UP)・忍び足Lv.8(1UP)

・夜目Lv.5(1UP)・殺気Lv.5(3UP)

・挑発Lv.8(2UP)・火魔法Lv.MAX(2UP)

・風魔法Lv.MAX(2UP)

・水魔法Lv.MAX(2UP)・土魔法Lv.6(2UP)

・回復魔法Lv.6(2UP)・魔力操作Lv.MAX

・魔力精密操作Lv.7(3UP)

・魔力感知Lv.MAX(6UP)

・魔力精密感知Lv.2(New)

・詠唱省略Lv.7(2UP)・無詠唱Lv.3(New)

・火耐性Lv.8(4UP)・風耐性Lv.6(2UP)

・水耐性Lv.7(3UP)・土耐性Lv.4・雷耐性Lv.3

・氷耐性Lv.4・打撃耐性Lv.6(3UP)

・読心術Lv.7(1UP)


【ユニークスキル】

・雷魔法Lv.MAX・氷魔法Lv.MAX(5UP)

・精霊魔法Lv.MAX(5UP)

・光魔法Lv.7(5UP)・高速反射Lv.MAX

・雷吸収Lv.7(3UP)・雷電鎧Lv.7(4UP)

・偽装Lv.MAX・エンチャント

・ダブルエンチャント・魔法斬りLv.MAX(2UP)

・縮地Lv.6(2UP)・並行思考Lv.MAX(4UP)


【エクストラスキル】

・【称号】収集


【選択称号】

・転生者

・早熟

・晩熟

・獣鎧

・元神童

・下剋上

・二刀流

・避雷針

・九死一生

・一騎当千

・百戦錬磨

・前代未聞

・以心伝心

・霹靂閃電

・電光石火

・疾風迅雷

・紫電清霜

・電光雷光

・翠色冷光

・紫電一閃

・俯瞰の目

・希少魔法使用者

・最上位精霊使い

・精霊王使い

・精霊に愛されている者

・精霊をその身に宿す者

・シスコン

・へたれ

・ドラゴンスレイヤー

・虫の天敵


【除外称号】

・ゴブリンキラー・ウルフキラー・オークの天敵

・不眠不休・スキル統合・死亡フラグ一級建築士

・合体魔法(New)・三度目の正直(New)

・精霊を2人その身に宿す者(New)



「おおう…」


今回の戦いでかなりスキルレベルが上がっていた。特に火耐性の上がりが凄い。確かにドラゴン魔族は熱かったもんな…。そして敏捷は1000の大台に乗った。


「ステータスの【種族】の横に【進化先選択】っていうのがあると思います。そこを押すと進化先が出てきます。ちなみに【進化先選択】の横にある()が進化先の個数になってます」


「あ、ありがとう…」


ということは俺の進化先は16個もあるの?その中から1つ選ぶの?急いで?大変だな…。そんなことを考えながらとりあえず【進化先選択】を押した。



《進化先》

【上位人族(ハイヒューマン)】

【妹守人】

【武人】

【剣聖】

【魔人】

【火人】

【風人】

【氷人】

【雷人】

【雷人王】

【ハイエルフ】

【ダークエルフ】

【精人】

【雷精人】

【精人王】

【雷獣人】

【超綺麗かつ超可愛い女神である私のおすすめ!】



「進化先を開きましたか?進化先の説明はその種族を長押ししたら出てきます」


とりあえず一番下は見えないことにして1番上のハイヒューマンを長押しした。



【上位人族(ハイヒューマン)】

・人族のノーマル進化

《特徴》

・人族の上位



これだけだと何も分からないので、追加で雷人も長押ししてみた。



【雷人】

・雷系の称号を1つ以上獲得し、雷系のスキルを2つ以上取得していて、さらに雷魔法Lv.MAXの者に現れる進化

《特徴》

・雷系のスキルと称号の効果上昇、

・雷系のスキルと称号が取得、獲得しやすくなる

・雷系のスキルのスキルレベル成長速度上昇




なるほどだいたいわかった。こんなに数が多いのは称号が多いからのようだ。1つ1つゆっくり確認している時間が無いので、強そうなのだけ見ていくとしよう。でもその前にものすごく目立って、ウザイ【超綺麗かつ超可愛い女神である私のおすすめ】を長押ししてみた。本当は避けたかったが、気のせいかも知らないが、だんだん文字が大きくなっている気がした。なので、仕方なく見てみることにした。



【「超綺麗かつ超可愛い女神である私のおすすめ」】

・早く進化したいんだよね?1つ1つゆっくり確認している時間が無いんだよね?だからこの心優しいこの女神である私がおすすめを選んでおいたわよ?これを選んでおけばあなたは私に泣いて感謝するでしょう!あなたの未来は明るいわ!さあ!これを選びなさい!



「……」


「ゼロ兄様?」


「大丈夫だ…」


「?」


きっと今俺はゴミを見るような目をしているのだろう。こいつには言いたいことがたくさんある。とりあえず、こいつは俺の心の中を読んでないか?って疑うほど俺が思っていた通りのことを言っている。あと、今のこの状況を見ているのではないかと思うほど言っていることが正確だ。

そして1番言いたいことはおすすめするならおすすめの種族名くらい書いとけよ!!おすすめする気あるのかよ!?



ドカンッ!


「わっ!」


「うおっ!」


まずこのおすすめとやらを除外するかどうか悩んでいたらこの城全体が揺れるほどの衝撃がやってきた。本格的に時間の余裕が無いようだ。


「私を信じなさい」


そしておすすめの説明文の最後にこんな文字が今追加された。やっぱり見てるな!くそっ!お前は信じられるようなこと1度もしてないだろ!なんで一度自分を殺した相手を信じなきゃいけないんだよ!これで変な種族だったらまじで何がなんでも神の座から引きずり下ろすからな!そう思いながらおすすめを押した。


「本当にこの種族でいいですか?」


その質問と共に「はい」と「いいえ」が出てきたので「はい」を押した。


「後悔しませんか?」


俺は再び「はい」を押した。


「この選択であなたの未来が大きく変わるかもしれません。本当に後悔しませんか?」


うるさい!しつこいわ!せっかくの決意したんだから揺らがせるな!あと、時間がないっていってんだろ!そう心の中で怒鳴りながら「はい」を押した。


『ピコーン!』

『【種族】?????に進化します』



「ソフィ…進化先選択したよ…」


俺は?????に進化しますと言われた瞬間にもう少し後悔し始めた。しかし、この進化先を選んだことを本格的に後悔するのは進化後にステータスを見た時だった…。


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