第130話 ドラゴン討伐2
「オラー!」
「ほほほっ!」
「ギャアアア!!!!」
「すごい…」
騎士団長とおじいちゃんがドラゴンに何度も斬りかかっている。そしてドラゴンは黒い手で地面に縛られているので何もできていない。
「ん…!」
「ソフィアちゃん!ぼーっとしない!早く本気を出して!」
ただぼーっと2人の攻撃を見ていたら、横からやってきたワイバーンに気が付かなかった。そんな私の腕をギルド長が黒い手で引っ張ってくれた。今のところこのドラゴン討伐で1番のMVPは誰がどう見てもギルド長だろう。ギルド長はドラゴンを地面に縫い付けているだけではなく、さっきの私みたいなワイバーンから攻撃されそうになった人のサポートまでしている。さらに再び飛び立とうとしているワイバーンを落とすこともやっている。私も一応魔法を放ってはいたが、ドラゴンにダメージは入っていない。このままだと私はドラゴン討伐部隊なのに何もしてなかったとお兄ちゃんに伝わってしまう。お兄ちゃんには私のいい所しか見せたくない。あっ!そうだ!この依頼で誰よりも活躍してお兄ちゃんに褒めてもらおう!そのためにはまだお兄ちゃんにすら見せていないものを出すしかない。私はドラゴンにダメージを与えられるであろう魔法の準備を始めた。
「2人とも下がって」
「おう!」
「むむ…」
私は魔法の準備が整ったタイミングで2人に離れてもらった。今みたいにドラゴンのすぐ側にいたらこの魔法の巻き添えになってしまう。
「轟き荒れよ!サンダーストーム!!」
「ガァァァァァ!!!!」
これは風魔法と雷魔法の複合魔法だ。これはまだ、お兄ちゃんも取得できていないと思う。これは私がお兄ちゃんとの園内戦の決勝戦でたまたま火魔法と風魔法が合体した時に取得したものだ。つまり複合魔法はお兄ちゃんとの共同作業で取得したものだ。
「妹の方もやるじゃねーか!」
「まだまだ若い者には負けられん!」
「ソフィアちゃん!いい感じよ!」
私が攻撃に加わったことでさらに私達の士気が高まった。そしてドラゴンを倒すべく攻撃を仕掛け続けた。
「はぁ…騎士団長そろそろ疲れてきたかい?」
「はぁ…はぁ…まだまだ年配の方に負ける歳ではありませんよ」
「言ってくれる……」
あれから30分ほど攻撃し続けている。まだドラゴンが弱っているような素振りを見せない。周りのワイバーンの数は着々と減ってきて入るが、このままではまずい。なぜなら攻撃効率がかなり下がってきているからだ。そして効率が下がった原因はギルド長である。
「ごくっごくっ……はぁ…はぁ……」
ギルド長はかなり参ってきている。でもそれは当たり前だ。ドラゴンを押さえつけているだけでも大変なのに、ワイバーンと戦っている冒険者のサポートまでしているのだから。そしてMPポーションやHPポーションは使ってから1時間以内に使うと効果が50分の1ほど減る。もうかなりの量を使っているので当初と比べて効果は3分の2以下と言ったところだろうか。
「シャイナ」
「ん?」
私はたまたま通りかかったシャイナに声をかけた。シャイナはワイバーンが飛び立とうとしたり、誰かが危険になった時の対処していた。つまりシャイナはギルド長のサポートをしていた。
「シャイナはこれからギルド長を守って」
「ん」
「ギルド長もワイバーンの方の手助けはもうやめてください」
「はぁ…わかったわ…」
「ウォレスさん達はこれまで以上に頑張ってください!」
「おうよ!!」
もうギルド長に少しでも休んで貰えるように私がこの場の指揮を勝手に始めた。と言ってもワイバーンの方はウォレスさん達に任せただけだ。私にもそこまで余裕がある訳では無い。本当にここにお兄ちゃんがいて欲しいと思っている。きっとお兄ちゃん1人でこの戦況は大きく変わるだろう。そして今のギルド長を見ると、あと20分は持たないだろう。ワイバーンの数はもう7、8体なのでウォレスさん達なら問題ないだろう。問題はドラゴンの方だ。ギルド長がまだ押さえつけている間に、どうにかしてドラゴンを飛べなくなるくらいには弱らせないといけない。この思ったよりも頑丈なドラゴンをどうやって飛べなくさせようか……。
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