第32話 これから
「あー!帰ってきた!」
「うるさいですよ」
あれから王都では特に何もなくそのまま帰ってきた。ウォレスさん達がいないかなっと思って街を歩いたりしたが出会えなかった。
「ねぇソフィ?」
「なんですか?」
「ステータス見してくれない?」
家に帰ってきて翌日の昼にそう聞いた。これは7歳くらいからずっとソフィに言い続けていることである。
「何度も言っていますがゼロ兄様がステータスを隠さずに見せてくれたら見せますよ」
ずっとこう言ってステータスを見せてくれない。前はしょうがないので称号の神童以外と【称号】収集を隠してあとは少しレベルを下げて見せた。
「前も見せたじゃん!」
「私はゼロ兄様が全てを見せてくれるまで何一つ見せません」
「あれが全部だって!」
「いえ。まだまだ隠してます」
ずっとスキルと称号には偽装をしているのでソフィが例え鑑定を持っていても分からないはずだ。
「あ、あとソフィ…」
「なんですか?」
「俺は学園に通いながら冒険者をするつもりだ」
「そうだと思っていましたよ。わかりました」
「ソロ冒険者とか楽しそうだよね!」
「それはゼロ兄様には縁がないですね」
「えっと…俺にパーティがすぐできるって言いたいの?」
「何を言ってるんですか?私がいるじゃないですか。2人のことをソロと言いませんよ?」
「そ、そうだね」
元から俺と一緒に冒険者をやることは確定していたようだ。
「それでね…パーティにシャナを入れようと思うんだけど…」
「なんで?」
「お、俺とソフィだけだと探知をできる人がいないから探知ができるシャナは必要だと思う」
「分かりました」
「え?」
これからまたいつものソフィの説教が始まるかと思ったがすんなりとシャナのパーティ入りを認めてくれたことに驚いた。
「なんですかその反応は…私が否定するかと思ったのですか?」
「うん…まぁ…」
絶対に否定すると思っていた。
「しっかりとした理由が合ってパーティに入れたいと言っているのなら頭ごなしに否定はしませんし、ましては今回は理由もしっかりしていたので否定しません」
「おおう」
「それにシャイナ様が私たちとも連携して動けるのはオークの時に確認済みのため連携も問題ないですし、私情以外ではパーティ入りは大賛成ですよ」
「あははっありがとう」
なんだかソフィに言い出すのを緊張していたのがバカみたいで笑ってしまった。
「ただそうなってくるとゼロ兄様は大変ですよ?」
「え?何が?」
「シャイナ様には近接戦で引き分けて、私には魔法戦では負けますよね?そしてシャイナ様は探知ができ、私は回復魔法ができる。あれ?ゼロ兄様のお役目は?一芸もないただの器用貧乏ですか?」
「………」
似たようなことは薄々思っていた。今のところ俺は人前で雷魔法を使うことは無いだろう。すると俺は人前では戦い方は違うが近接戦はシャナと同程度の実力となってしまう。でもそこまで何も出来ないということは無いのにわざわざここまで酷く言うということはソフィなりの考えがあるのだろう。
「それに恐らくレベルはシャイナ様の方が低いと思いますよ?」
「わかってる」
俺は夜中に狩りに出ていってる。それに称号の効果もある。だからレベルでは勝っているだろう。
「だからってシャイナ様や私の真似をしても意味無いことくらい分かりますよね?」
「うん」
俺がシャナやソフィの真似をしてもただの2人の劣化版になるだけだ。
「でしたらゼロ兄様はこれからあとの2年間どうしますか?」
「強くなる」
「どうやって」
「頑張って?」
「ふふふっ……」
そう言うと今までの真面目な空気がなくなってソフィが笑い始めた。
「ふふっ…その方が私の兄様らしいですね」
「サポートはよろしくね」
「もちろんですよ」
ソフィは敢えてきつい言い方をして俺をもっと頑張らせようとしてくれていたのだろう。なら兄としては期待以上に強くなりたい。
そして学園に入学するまでの2年間が過ぎていった。
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