最終章 あの角に電灯が無い理由(証言者・石田三郎)

私は石田三郎いしださぶろう。定年で今は無職だが、昔は土木工事の仕事をしていた。

あれは今から三十年前、例の十字路で電灯を建てる工事が行われることになった。

当時は事故が多発するところだったことから、その対策としての工事となった。

着工してから工事は順調に進むかのように思った。

ところが十字路の右下の角で作業していたある作業員が、突然体調不良を訴えた。

しかもその作業員はそれから体調が悪化し、入院することになってしまった。

そしてそれから右下の角の場所で作業した作業員が、病気で工事から離脱することが多発した。

工事は一時中断して、対策を考えることになった。

するとある高齢の女性がやってきて、「あそこに電灯を建てないでほしい。」と言ってきた。

その女性は末永康子すえながやすこと名乗り、このような話を聴かせてくれた。

私は話をきいて可哀想な気持ちになったよ・・・。





末永康子すえながやすこは既に他界していたので、ここからは石田の証言を基に書き綴る。

末永には一人娘がいた。

夫の方は既に亡くなっており、末永は娘を大切に育ててきた。

娘の名前は末永歩美すえながあゆみ

歩美には女優になる夢があった。

そして歩美が高校二年生の時、オーディションを受けに行く道の途中の十字路でタクシーに轢かれ、歩美は亡くなってしまった・・・。

歩美は自分以上の美人だったのに、事故で顔がむごいほどに傷ついてしまったと、当時の康子は語った。

事故の理由はタクシーの運転手の不注意だった。

それからこの十字路で奇怪な事故がおこるようになった。

康子は「きっと歩美が不注意な運転手を恨んでいて、運転手に報復をしている。」戸言った。

これまで恐怖体験をしてきた人が見た異次元空間の女子高生は、末永歩美であることに間違いない。

これを知ったみなさん、危険な運転は止めましょう・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

町の異次元空間・十字路のバミューダトライアングル 読天文之 @AMAGATA

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ