09話.[見ているだけで]

「へえ、今度ふたりで遊びに行くのね」

「おう、そういう約束をしたな」


 平日と土曜日は部活があるから日曜日に行くみたいだ。

 個人的に土曜日に行けるよりも日曜日に行ける方がちょっといい感じがする。

 本当に個人的な思考だから別に万人に当てはまるわけではないだろうけど。


「で、俺が行くところを考えることになっているんだけどさ、静香ってなにが好きなんだ?」

「それは本人に聞いてほしいけどそうね、あの子は可愛い動物とか好きよ?」

「動物園よりペットショップとかかねえ」

「そうね、猫が特に好きだから」


 店員さんや他のお客のことを考えなければコスパがいい場所だ。

 見ているだけで癒やされる、触りたくなってしまうのが難点ではあるけども。


「ありがとな、参考にさせてもらうわ」

「うん、ほら、あんたにはお世話になったから」

「あれは俺のためでもあったからな、とにかく莉月が莉月らしくなって良かったよ」

「そうね、あんたにはどう見えているのかは分からないけど、自分らしくが1番だから」


 同じような感じでいないと兄も好いていてくれないから。

 人に甘えるのがあたしらしいみたいだ、じゃあ遠慮している場合じゃないよなあと。


「頑張って」

「ありがとな、頑張るわ」


 あたしも色々なことを頑張ろうと決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る