第22話 十階層の美人ブルーさんとお茶会

 十階層の主さんに、お茶を勧められたので席に着いた。

 とってもお洒落なセットの茶器が出てきた。割らないように気をつけなくては。ドキドキしていたら、シロくんが人型になった。

 そうだよね、こんなティーカップ、猫の手では扱いづらいもんね。猫の姿でお茶会も想像しただけでかわいいけども。


 そう思っていたら、目の前のロシアンブルー似の主さんも人型にボンっと変身した。なんと、彼……、だと思っていたら彼女だったのです!

 流し目の素敵なイケメンの女の人!


「おお〜! かっこいい! 美しい!」

 とても目の保養になります。


「ふふ、ありがと、こねこちゃん」

 バチっとウインクをされました。ハート型の攻撃が飛んできたのかと思いました。ばっちりと被弾しました。


 シロくんの尻尾巻きつきがキュッと強くなりました。


 どうやら主さんは、ブルーさんというらしい。ロシアンブルーに似てるから、納得!


 お近づきの印に、アイスクリームと、ほっかほかの芋けんぴを出す。これ一緒に食べると最高なのです。

 とろけるアイスクリームに、熱々のホクホクの芋! こんなの毎日食べていたら、おデブまっしぐらだと思うけれど、なんだか、この世界では太りづらいみたい。

 エネルギーが、魔力に変換されるようです。魔法を使えば使うほどカロリーも消費されるみたいなの。素晴らしい。こんな仕組みが地球にもあれば……。


 ブルーさんも気に入ったのか、せっせと食べています。ヒヤヒヤと熱々のコンボだから、熱すぎなくて、猫舌にも大丈夫だもんね。

 マリンも上手にアイスを絡めて食べている。器用なスライムだこと!


 食べていたら、良いことを思いついてしまった。

「ここに黒蜜ときな粉もあったら最高じゃないかな? 白玉もあるといいねぇ」

 そしたら和風パフェ!


 シロくんがなぜかやる気を見せて答えてくれた。

「俺に任せろ。今度、持ってきてやるぞ」

「わぁい! さすが、シロくんだね!」


 シロくんも和風パフェ、好きなのかな? 和風パフェには抹茶味のアイスもいいよねぇ。もちろん、ポケットに入ってます。


 嬉しくてニコニコしていると、ブルーさんに、生温かい目で見られた。はっ! 恥ずかしい!


「それにしても、シロと子猫ちゃんは、どこで出会ったんだい? 私の知るところでは、十階層をクリアした人間はいなかったと思うけど」

「ああ……実はな、誰も来なくて暇すぎたから、景品の界渡の指輪を使って地球に遊びに行ってたんだ。そこで出会った」

「へぇ〜。異界で。……って、えっ!?」

「おお、ブルーでも驚いたりするんだな」

「そりゃあね、もちろんだよ?」

「だってよお、みんな十階層層から先、進んでこないだろ? スッゲーーーー暇なんだよ」

「そ、それは……悪いことをしていると思っているが、でも、みんなボクの魅力にメロメロだからさ?」


 そんな話をしていたら、お客さんがやってくるベルが鳴った。

「お、人間達がやってきたみたいだ。ボクはちょっと接客してくるから。美味しいおやつをごちそうさま、子猫のアミちゃん」


 そう言ってウインクして、猫に変身して走っていった。

 おお……とにかく美しい人であった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『にゃんジョン』でスローライフ!~白猫着ぐるみで最強にゃっ~ ねこ @kuroneko123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ