第21話 【シロくん視点】やっぱり番
この前図書館から借りて帰った本をここ最近読んでいた。
【この人は運命の番!?】
【番を見つけた獣人に起きる変化】
【人間と獣人の番が気をつけること】
読めば読むほど、アミが俺の番だということが分かる。まあ、読む前から、気付いてはいたけど。
とにかく尻尾は正直だ。意思に反して、巻きついてしまう。これじゃあ、束縛男だと言われてもしょうがない、ってくらい巻きついている。
でもコントロールできないのだ!
それに、やはり他の男の前では牽制しておきたい。
さっき、とても嬉しいことが起きた。なんと、アミの尻尾が俺に巻き付いたのだ! アミの尻尾は着ぐるみにくっついている尻尾だけれど、猫神様の恩恵を受けて、猫化している。 だから、アミも俺のことを番だと感じてくれているのかもしれない……。
まあ、本人は全く分かってないと思うけどな。
本にも書いてあったのだ。
人間には「番」という感覚が分からないのだそうだ。獣人には唯一無二の相手だけれど、人間は他の人に目移りすることもできるらしい。
だから、愛想を尽かされないように、上手に、上手に囲っていくことが大切だと、本に書いてあった。
人間が番だなんて、これから先大変だなあ、でもアミと出会えて良かったなあ、と思いつつ、アミを見る。
十階層の主がお茶用のテーブルに案内してくれたので、お近づきの印に、と高級アイスクリームを渡して幸せそうに食べているところなのだ。
この前買った、熱々の芋けんぴも一緒に。
はー、俺の番、可愛い!
未だに巻きつきあっている尻尾に幸せを感じつつ、俺もアイスクリームを食べる。
この、あっつあつの芋けんぴと、冷たい滑らかアイスクリームの合うことよ……!
「ここに黒蜜ときな粉もあったら最高じゃないかな? 白玉もあるといいねぇ」
「俺に任せろ。今度、持ってきてやるぞ」
「わぁい! さすが、シロくんだね!」
頭の中が完全に和風パフェになっているアミを幸せそうに見つめる俺を、呆れたような、でも楽しそうな顔で見てくる十階層の主。
ふふん、俺の番は今日も可愛いな!
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