第19話 オムレツとニャン吉の改名

 調味料を買い込んで、ウキウキと帰ってきたわたし。気付いた。そういえば食料は買っていなかった〜!


 というわけで、今日もニャン吉がどこからか仕入れてくる材料を使います。あとは、卵をたっぷり!


 ニャン吉とマリンに頼んで、卵をたっぷり拾ってきてもらう。

 今日の夜ご飯は、オムレツだ。スパニッシュオムレツ!


 たっぷりオリーブオイルに、あれもこれも野菜を全部入れて炒めて、ハーブも香り付けに少し。

 そこに大量の卵を入れて蓋をして焼いて完成。これをスパニッシュオムレツと言ったらスペイン人に怒られそうだから、卵とじでも良いわ。


 とにかく素材の味が美味しいからシンプルが一番!

 パンを軽くトーストして添えれば出来上がり〜!

 食事と一緒に愉しむのは、湖から汲んできた、めちゃうま☆にゃんジョンウォーターです。


「ん〜! 美味しい! 味が薄かったら、塩をかけてね。色々買ってきたから試してみて」

「このままでも美味しいけど、塩の違いは気になるな」


 そう言いながら目の前に座るのはきらきらのイケメンニャン吉。

 もう猫のふりをしなくてよくなったので、食べる時には人型になるらしい。猫型だと鼻についたり、前脚がベトついたりして大変だったらしい。


 ちなみにマリンは器用にナイフとフォークを使っている。スライムってすごい。


「そういえば、そのキラキラ王子スタイルをニャン吉って呼ぶのは流石に無理が出てきたんだけれど……」

「お? そうか?」

「うん、そうだよ! なんかカッコいい名前ないの?」

「そうは言ってもなぁ〜」

「猫神様からはシロって呼ばれてたでしょ? そこから派生させよう! 白……白……。シロキチ? シロ太郎? ヴァイス? 真白? 餅? 白石さん? ミルクアイス?」

「なんだか真面目なのか、ふざけてるのか分からんな……」


 そうは言われても、人の名前を考えるのは難しい。自分の親も、たくさん悩みながらアミという名前を授けてくれたんだなあと思うと、なんだか胸がギュッとなる。


「んーそうは言っても難しいよ」

「じゃあ、シロとニャン吉を合わせて、シロ吉だな」

「えっ、そのまんま!」

「でも、アミが呼んでくれてたニャン吉も忘れたくないからな」


 ニャン吉呼びにそこまで思い入れがあったなんて……。


「よし! じゃあ、シロキチだね! よろしく、しろくん!」


 そう言った途端、ニャン吉の、あ、しろくんの冒険者カードが光り始めた。

どうやら名前が勝手に記録されたらしい。このカード、すごいシステムだ。


 ちなみに、そんなに簡単に名前が変えられたら、悪用されるんじゃないかと思ったけれど、大丈夫らしい。異世界のすご〜いシステムが、どうにかしているらしいのですよ。


「しろくん……しろくん……」

 そう繰り返しながら、なんだか嬉しそうに尻尾がピン!としているイケメン王子を見守りつつ、美味しい夜ご飯を食べたのでした。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る