第18話 調味料を買い込む

 ただいま、ニャン吉に連れてきてもらった調味料屋さんの中である。あちこち目移りしてしまって、あれもこれも欲しくなる。


 ハーブはにゃんジョン百階層に山ほど生えているので、ここはシンプルに塩や胡椒かな? あ、ちなみに胡椒は胡椒の実をつける魔木があるんだって。にゃんジョンの他の階層にも生えているみたいだから、ここでは少しだけ買っていこう。

 

 塩は、色んなダンジョン産のものを少しずつ量り売りで買っていく。お気に入りのものを見つけるのだ!

 にゃんジョンの他に、犬のわんジョンもあるらしい! いつか行ってみたい。


「わんジョンだって〜! 柴犬や、でっかいゴールデンレトリバーやハスキーをもふりたいな〜!!!」

「アミはダメだ」

 腰に巻きつくニャン吉のしっぽがキュッと締め付ける。


「ええ〜なんでよ?」

「だって……だって、アミは猫神様の加護を頂いているだろう? 犬とは相性が悪いんだ」

「えっ、そうなの? なんだ、残念だなあ。猫も好きだけれど、犬も好きなのになあ」

「……俺じゃ足りないのか? 俺のモフモフじゃ足りないのか……? 猫の方がいい匂いだろう? 愛らしいし、モフモフだし、お腹に顔を埋められるんだぞ?」

 なんだかニャン吉がブツブツと呟いている。


 とりあえず、私は買い物を続行する。

 塩の産地は、普通の戦う系のダンジョンもあるみたいだし、海のダンジョンもあるみたいだ。

 海のダンジョンからは、海洋深層水の海塩やら、藻塩やら、色んな塩がある。


 あれこれと五種類くらいの塩を購入した。この世界は素材の味が濃くて美味しいので、塩があれば大抵のものは美味しくなると思うんだよね!


 あとは、日本人としては醤油や味噌が欲しいけど、あるかなあ? キョロキョロ。

「アミが探しているのは、醤油や味噌か?」

「うん、そう!」

「それなら、こっちだぞ」


 ニャン吉に連れられて、隣の部屋へ入ると、そこには大きな瓶に入った醤油と、樽に入った味噌があった。

「うわぁ! すごい!」

「どうやら昔、日本からの転移者がいたみたいだな。まあ、にゃんジョンに界渡りの指輪があるのだから、他のダンジョンにもあるかもしれないもんな」


 お醤油と味噌を量り売りで売ってもらう。これで完璧だ!


「よし。買い物完了! さっ、おうちに帰ろう!」

「おう、そうだな」

「帰るのにゃ〜」


 お腹のマリンをもふもふ、ムニムニしながら帰り道を進む。尻尾は相変わらず、お互い巻きついたままである。

 迷子紐がわりになって、尻尾って便利だなあ。


 この異世界生活、どうなることかと思ったけれど、街も住みやすそうだし、にゃんジョンの卵やハーブで生計を立てられそうなので、どうにかなりそうだ。

 スローライフ、楽しむぞ〜!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る