第17話 お肉サンドと、芋けんぴ
ぐぅ~。
お腹が主張しはじめた。
「お、おなかすいたねぇ……!」
「何か食べてくか?」
「マリンも食べるにゃ~!」
ぐうぐう爆睡していたマリンさんも、ごはんは食べたいみたいで、起きてきた。
「確かあっちの広場のまわりに屋台がたくさんあるから、そこで好きなのを買って食べよう」
ニャン吉の提案に、
「は~い!」
「にゃ~い!」
と賛成するわたしたち。
くんくん。いい匂い~。
匂いにつられてたどり着いたのは、ケバブみたいなのがクルクルまわっているお店だった。
これ美味しそう~。
わたしに引っ張られるようにして、ニャン吉がついてくる。
迷子紐、グッジョブ!
「おじちゃん、これ、なーに?」
「猫のおじょうちゃん。これは羊肉のローストだよ。こうして、ピタパンに野菜とお肉をたくさん詰めて食べるんだ」
「私これ食べる! ニャン吉とマリンはどうする?」
「食べるにゃ~」
「俺も食べるぞ」
「じゃあおじさん、3つくださーい! お肉ギュウギュウ詰めてね」
「あいよっ。お嬢ちゃん可愛いからサービスだいっ!」
お金は、さっき冒険者ギルドで買い取ってもらった薬草代で足りた。
ニャン吉は払うと言って引かなかったので、あとでデザートを買ってもらうことにした!
広場の真ん中に噴水があって、それを囲むようにしてベンチやテーブルがあるので、みんなで腰掛ける。
サンドは、お肉のジューシーさと、たくさんの野菜のシャキシャキ感でとっても美味しい!
味付けはシンプルなんだけれど、そのシンプルさが美味しい~。はーやっぱり、この異世界、素材の味自体がレベル高いです。
ニャン吉がどこかから買ってきてくれた謎のお茶も美味しい。ホッとする。
「美味しいねぇ」
「おいしいにゃ~」
「そうだな」
ガヤガヤしている広場も、なんだか私達の空間だけ、のほほーんとしている。よーく噛んで味わう。
ああ。これぞスローライフじゃ。
そのあとは、デザート探しです。甘い匂いに焦点をしぼって……ウロウロ。ウロウロ。
なんだか、猫の着ぐるみのおかげか、嗅覚も敏感になった気がするのです。
とは言ってもこの世界、甘味はまだ少ないみたい。道理で猫神様も、アイスクリームにハマっちゃうわけだ!
むむ! あれ美味しそう!
さつまいもを揚げたやつ~!
こっちのさつまいもはきっとめっちゃ甘いに違いない。芋けんぴ☆
「ニャン吉、わたし、あれがいい!」
「あれ、さつまいもを揚げただけだぞ?」
「いいの! 素朴なおやつ最高! それに……。あれいっぱい買ってほしいの。ポケットにしまっておくから。それでね……。にゃんジョンについたらアイスクリームつけて食べよ~。あつあつの芋けんぴに、アイスクリーム!」
「………!いっぱい買おう!!!!!」
いそいそと芋けんぴ屋さんに近づく私達。
「いらっしゃいませぇ~」
「いらっしゃいましぇ~」
可愛い姉妹の売り子。お姉ちゃんがせっせと揚げて、妹が袋につめている。
「ここにある揚げてある芋、全部くれ」
ニャン吉が張り切ってる。
「「ぜんぶっ!?」」
姉妹が驚きの声をあげてる。
「わあ~い! これでお母さんのお薬が買えるね!」
「猫のお兄ちゃんとお姉ちゃん、ありがとう!」
「今準備するね!」
病気のお母さんがいるなら、薬草とかをあげたいけれど、今は全部売ってしまって手持ちがない。
「お母さん早くよくなるといいね。これ、良ければ食べてね。ゆで卵だよ。もう茹でてあるから、剥くだけで食べられるからね」
と、姉妹に、六個、ゆで卵を渡す。
「「お姉ちゃんありがとう!」」
お芋を受け取って、一袋だけ手に持って、あとは全部ポケットにしまっておく。
あつあつでキープできるからね!
一袋は、あるきながら食べることにする。
「ニャン吉、あ~ん」
「あ、あ~ん?」
照れつつも素直に口を開けてくれた。
「はいマリン、あ~ん」
「にゃ~ん!」
マリンは口(?)をガバッと開けたので、そこに入れる。
私も食べてみる。美味しいーーーー!
やっぱり芋の味が濃くて美味しい! はーシンプル最高。自然の甘み最高。
「さて、このあとどうする? ニャン吉は行きたいところ、ある?」
「うーん。特に無いぞ。アミはどうだ?」
「うーん。私はねぇ、調味料が欲しいなーって思ったけど、手持ち金が心もとないから、今度でいいかな? ハーブと薬草と卵、いっぱい集めなきゃ!」
「それなら俺が出すぞ? どうせ俺も食べるしな」
「え~でもなんかお金出してもらってばっかで悪いよ」
「俺、アミが思ってるよりお金持ってるぞ?」
「そういう問題じゃないんだよな~」
「じゃあ、一応貸しってことにしておく。それならいいだろ?」
「うーん。まあ、いっか。ちゃんと稼いで返すからね!」
「マリンもお金ないから、にゃんジョンで色々集めてくるの手伝うにゃ~」
「よおーし! じゃあ、調味料屋さんへレッツゴー!」
//その頃・芋屋の姉妹//
「こっ、このゆでたまご美味しいの!!!」
「このトロトロ!これならお母さんも食べれるね!」
「普通のゆで卵だとパサパサしちゃって、病気のときには食べづらいもん」
「栄養もたっぷりだし、お母さんにいっぱい食べてもらうの!あと四つはお母さんにあげよう!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます