第15話 ようやく図書館

 ニャン吉とマリンと通りを歩く。キラキライケメンバージョンのニャン吉と、ポケットにすらニャンが入った、白猫着ぐるみのわたし。

 ハッキリ言って、めちゃくちゃ目立ってます……。


「ねこだ」

「あの格好、恥ずかしくないのか」

「でも可愛いわよ」

「イケメンだわぁ~」

「スラにゃん可愛い~」

「尻尾巻きつけちゃって、あらあら」


 色々聞こえてくるけれど、相変わらず、ニャン吉の尻尾は巻き付いたままだ。迷子紐、便利です。


「次は図書館だね~! 楽しみだなあ!」

「どんな本を借りるんだ?」

「ん~。物語をたくさんと、植物図鑑かな? にゃんジョンに生えている植物で、気になるのたくさんあるし! ニャン吉は本借りる?」

「そうだな~。せっかくだし、借りてもいいかもな」


通りを歩いているうちに、図書館についた。


受付には、眼鏡をかけた司書です!という感じの清純派おねえさん。

「あらあら。こんにちは! ここの図書館の利用は初めて?」

「ハイ! わたしは初めてです! あ、ニャン吉はあるのかな?」

「いや、俺も来たことはあるけど、借りるのは初めてだな」


「そうなのね。じゃあ、二人ともまずは利用者登録をしてもらうわ。ギルドカードを持ってたら簡単に登録できるのだけれど、持ってる?」

「ハイ!さっき作ったばかりです!」

「じゃあ、カードをこの水晶にかざして。」


Suicaみたいにかざすと、水晶がピカッと光った。

「はい、これで登録は終わりよ。えっと…アミさんね。次は、そちらの男性」


ニャン吉もかざす。ピカッ!

「はい、登録完了! お名前は……。あれ? 空欄? でも【(白猫王子)】って書いてあるわ」


「ああ……。昔、名前がないときに登録して、そのときの受付嬢が(白猫王子)でとりあえず登録したんだ……」

「ええ! そうだったのニャン吉! 今度、名前登録し直さなくちゃね! あれ、でもニャン吉で登録するの……? こんなキラキラした人型になれると分かった今、ニャン吉を名前にするのはなんか気がひけるな……。ちょっとカッコいい名前考えるから、今度名前、登録しなおそう!」

「ありがとう、アミ」


「ではアミさん。そして……白猫王子さん? 図書館の利用方法を説明させて頂きますね」

「は、はいっ! よろしくお願いします!」

「一度に借りれる本は一人三冊まで。一冊につき保証金を支払い下さい。返されるときに破損等なければ、お金はお返しします。返却期限は特にありませんが、二週間くらいで返して頂けると助かります」


「ほっ、ほしょうきん……お金、足りるかな……」

「アミ、大丈夫だ。とりあえず貸してやるから」

「ありがとう……薬草とハーブの採取、頑張るからね!」


「では、借りる本を決めたら、またカウンターに持ってきてください。あ、申し遅れましたが、私の名前は、マリーです。これから宜しくお願いしますね」


 図書館の中では迷子にはならないだろうということで、迷子紐は外してもらい、別行動にした。

 中にはパラパラと人がいる程度で、静かだ。は~本の香り! 懐かしい!


 まずは植物図鑑だな~。

【初心者にも分かる!ハーブ・薬草図鑑】

 あっ、見つけた。これ良さそう。


 あとは、物語にしよう。

 猫神様っていう神様が存在するくらいだし、こっちの神話とかがいいかな~。一応、この世界の成り立ちとか知っておいたほうがいいよね。


 神話コーナー、神話コーナー。あ、あの本良さそう!むむむっ。この身長じゃ届かない……!?

 背伸び……ぐぐ……届かない……。白猫着ぐるみでジャンプしたら届きそうだけど……さすがに図書館でバタバタしちゃダメだよな。

 そう思ってニャン吉を連れてくるか迷っていると、後ろから、誰かが本を取り出してくれた。


「はい、この本だよね?どうぞ。猫のお嬢さん」

 そう言ってニコッと渡してくれたのは、水色の髪のイケメンだった。


「あっ、ありがとうございます! 助かりました」

「どういたしまして。じゃあ、またね~」


 手をヒラヒラさせて去っていくイケメンは、なんだかチャラチャラしていた。女子慣れしている。


 その後、もう一冊本を選んで、ニャン吉を探してキョロキョロしていたら、彼は既に本を三冊持ってカウンターで手続きしていた。

 なんの本かな? と気になって表紙を覗こうとしたら、サッと亜空間に仕舞われてしまった。

 ちょっと照れてる。な、なんの本だったんだろう……! 知りたい! けど、とりあえず今は我慢だ……。


「マリーさん、この本の貸出手続きお願いしまーす!」

「かしこまりました☆」

「保証金は俺が払っておくから」

 と、サッと払ってくれたニャン吉。 ありがとう。本、絶対に汚さないようにするからね!!!


 本をお腹のポケットにしまった。

 そういえば、マリンがずっと静かだと思ってたら、お腹ポケットで爆睡していたみたいです。

 よく考えたら、マリンに大きくなってもらえば本とれたよね!


 それにしても、ニャン吉は何の本を借りたのか。気になるぞ~。

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