第13話 ニャンズ結成☆

「……白猫王子? ニャン吉は、王子なの?」

「いや……それは、あれだな。二つ名ってやつだ。本物の王子じゃないぞ」


「そっか~。ふうーびっくりだよ! このイケメンなら王子もありえると思ったよ!」

 照れてるニャン吉。イケメンなんて言われ慣れているだろうに。


「こっちのマッチョは、ギルマスのリアムだ。」

「こんにちは。アミです! 今日は登録に来ました」

「おう、アミちゃん、よろしくなー」


「王子よー、久しぶりじゃねぇか。お前はちっとも見た目が変わんねぇな」

「お前は老けたな」

「歳を重ねてダンディーさが増したと言ってくれ」


 ニャン吉と、マッチョのリアムさんが話している間に、登録用紙を書き上げる。


***

名前:アミ

年齢:15

職業:しろねこ

従魔:スラにゃん(マリン)

***


 こんなものかな? 15歳とか書いちゃったよ。中身はアラサーなのに。ぷぷっ。


 職業は、よくわからないので、鑑定通り「しろねこ」にしておいた。猫みたいに生きたいからね!


「受付のお姉さん、お願いしまーす!」

「うふふ、私の名前はセリーナよ。セリーナって呼んでね☆」


 興奮していないときのセリーナさんは、仕事ができる美女! っていう感じだ! 眼鏡に白シャツが素敵。

 申込用紙を確認中のセリーナさん、下を向いていると谷間が見える。目が惹きつけられる~。うひゃあ~。


「職業がしろねこっていうのが気になるけど……。まあ、見た目しろねこだし。白猫王子と一緒にいるんだし。何より可愛いし! いっか☆」


 セリーナさんは可愛さ重視のお姉さんのようです。申込用紙を目の前にあった水晶に吸い込ませた。

「よし、アミちゃん、この水晶に手をかざして」

「はいっ!」

 わくわく手をかざすと、水晶がピカッと光り、銅色のカードがペッと吐き出された。


「これがアミちゃんのギルドカードよ」

「あれ?銀色じゃないの?」

「ああ、銀色は、ランクCとDのカードの色よ。アミちゃんは1番下のランク、Fからのスタート。

 白猫王子は本当はSランクくらいの実力があるのに、あえてランクCなの」


「アミも、ランクCまでにしておけよ。ランクBからは色んな義務が発生して面倒だからな」

 脇で話していたニャン吉達が会話に入る。


「おいおい、仮にもギルドマスターの前で言うなよ~。こっちは高ランク冒険者が欲しいのに」


「よし、アミ、Cランクまでにしかなりません!」

 高らかに宣言する。


「おいおい、お前、そんな弱そうなのに、ランクCまでにしか、って俺たち冒険者ナメてんのかよ」

 突然後ろから声が聞こえた。いかにも悪そうな顔の人がいた。


「まあまあ、アミちゃんはまだCランクがどれくらいって知らないから」

「それにしてもよ。冒険者ギルドで、そんなナメたこと言ってると反感買うぞ」


 おお……この人、こわそうな顔して、分かりづらいけど、心配してくれているんだ!

「注意してくださり、ありがとうございました。以後気をつけます!」

ペコリ。


「おっ、おう……。わかったならいいけどよ」

 ちょっと照れてる強面のお兄さんだ。


「ちなみに、こいつはベテランBランク冒険者のルーカスだ。この街では有名だから知っておくといいぞ」

 と、ギルマスのリアムさん。


「はいっ! ありがとうございます!」


「よし、アミちゃん。セリーナお姉さんが、ギルドカードの説明をするよ~」

「はいっ!」

「『ステータスオープン!』と言うと、自分のステータスが見えます。基本的には自分にしか見えないけれど、他の人に見せたいときは、そういう風に念じれば大丈夫よ」


「ステータスオープン!」

 目の前の銅色のカードから情報が見える画面が出てきた。

 鑑定のときと同じ感じだ。なるほど、これで鑑定ができない人でも、自分のステータスはチェックできるんだね。


***

名前:アミ

年齢:15歳


職業:しろねこ

レベル:5

装備:しろねこの着ぐるみ(猫神の加護付き)

適性:水・土・風・火・光・闇


体力:1040

知力:1040

素早さ:1010

魔力:1200

運:1022


スキル:[鑑定]

従魔:スラにゃん


称号:異世界人、アイス屋さん、白猫姫

加護:猫神

***


……あれ? 白猫姫? なんか増えてる。


「あの……なんか『白猫姫』って称号がついてるんですけど」

「おお、早速か」

「そりゃあ、白猫王子と一緒に歩いている白猫着ぐるみの女の子だものね。白猫姫って皆が呼びたい気持ち、わかるわ」

「……どういうこと?」

「まあ、もう街なかでは皆がお前のこと白猫姫って呼んでるってことだな」


 ちらりと隣の白猫王子を見る。こんなキラキラ王子の横にいるのが、私でいいんだろうか……。

 相変わらず尻尾はぐるりと巻きつけたままである。……。

 ま、いっか!


「ふふ、姫とお呼び!」

 偉そうに言ってみる。

「きゃあああああ~アミちゃん可愛い! ブラボー!」

 セリーナさんは大興奮だ。


しばらく興奮して落ち着いたセリーナさん。

「さて、説明を続けるわね。アミさんのFランクは、今日から一ヶ月以内に、依頼を三つ達成しなくてはいけません。そうしないと、ギルドカードの有効期限が切れちゃうの。

 三つ達成したあとはGランクになって、その先は一年に一つ依頼を受けるだけでもいいわ」


「なるほど。ありがとうございます! 依頼はどうしたら分かるんですか?」

「あっちの壁に貼ってあるわ。ランクごとに依頼が貼ってあるから。アミちゃんが受けられるのは、Fランクだけよ。孤高の白猫王子とパーティーを組むのならDとEも受けられるわ。二人のランクの真ん中だからね。」


「孤高の……?」

「白猫王子は、誰ともパーティーを組まないって有名なのよ」


「パーティー組むぞ」

「いいの? 誰とも組まないっていうポリシーがあるんじゃないの?」

「アミならいい」


ニヤニヤしながら見ている、セリーナさんと、リアムさんと、ルーカスさん。

「そりゃなあ、あれだけ尻尾巻きつけてるんだからな」

「束縛男だな」


「よし、ではお二人さんのパーティー登録しちゃうわね。ふたりとも、ギルドカード出して」

「お願いしまーす!」


「パーティー名は何にするの?」

 パーティー名……。


「しろねこ団? いや、マリンは青いしな……。ねこねこ? ニャン……『ニャンズ』! ねぇ『ニャンズ』はどう?」


「いいぞ」

「じゃあ~ニャンズで決まりね! セリーナさん、登録お願いします☆」


「おっけ~任せて!」

 さっきの水晶玉にカードを二つ吸収されて、何かしている。ペッと吐き出されたカードには、「パーティー名;ニャンズ」と明記されていた。


 えへへ~なんか嬉しいぞ! ニャンズ結成にゃん☆


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