第9話 ぽよぽよスラにゃん登場

 わたしのお風呂に青いまんまるが、ぷかぷか浮かんでいる……。何あれ……!?


「ああ、あいつか。この百階層に入ってきていたのは感知して知っていたが、ここにいたとは……」

「え? なになに? あのまんまるは、生き物……?」


 突然、青いまんまるが、スイスイ泳いできて、私の目の前に降り立った。

 ……まんまるじゃなかった。猫耳付き、ちょこんと尻尾付き、縦長まる。

 海のような青さでとっても綺麗。そろそろと触ってみる。ぷるぷる。

「にゃっ!」

 ぷるぷるが鳴いた。


「こいつは、【スラにゃん】と言って、にゃんこ型スライムだ」

「にゃんこ型スライムうーーーー!?」

「このにゃんジョンに住んでいるが、神出鬼没。気ままなので、特ににゃんジョンでの役割もなく、ブラブラしているやつだ」

「にゃにゃっ!! にゃにゃんにゃー!」


「『役割はあるにゃー! にゃんジョンの循環に取り込まれないようなゴミを食べたりしてお掃除してるにゃ』と、スラにゃんは反論しているが」


「ニャン吉には、スラにゃんの言うこと、分かるんだねぇ。」

「まあ、互いに猫神様の眷属だからな」


「スラにゃんさん、私はアミです。異世界から来ました。こちらはお近づきの印です。どうぞ!」

 ちゃらら~ん! と、お腹のポケットから取り出したのは、アイスクリームー!

もちろん1番美味しいやつを。


「こうやって食べるんですよ」

 蓋を開けて、スプーンで食べて見せる。あれ、でもスライムはどうやって食べるんだろう?

 と思っていたら、尻尾がうにょーんと伸びて、さきっぽがスプーン型になった。


 その尻尾で口に運んでいる。か、可愛いーーーーー!!!!!


「にゃっにゃーーーーーーーー!!!!!!」

「『これ美味しすぎるにゃーーーーーーー!』だそうだ」


 律儀にも通訳をしてくれるニャン吉。

 ニャン吉にもアイスをあげて、3人で、ほっこりアイスタイムです。


 そして、食べ終わったスラにゃんは、アイスの蓋と入れ物を、うにょーんと拡げた身体に取り込んだ。

「おっ……! これがゴミを食べるスライム……!」

「スラにゃんは何でも食べるからな。悪食と言われている」

「にゃにゃっ!」

「『アイスのゴミさえも美味しいにゃ…!』と言っている」


「へえ~。ゴミも美味しいのか。あ!そうだ。じゃあ、これも食べてもらおう。」

そうしてポケットから出したのは、アイスのゴミ達。

実は、処理方法に困って、ポケットに溜めていたのだ。


「はい、どうぞ~」

「にゃにゃっ☆」

サッカーボールくらいだったスラにゃんが、突然10倍程に大きくなって、ゴミを取り込んだ。


「おおっ……! すごい……! 一家に一匹欲しいわね、スラにゃん……」


「アミちゃんの出す、異世界の物はゴミまで美味しいにゃ~」

「……あれ? スラにゃんの言葉が分かる……?」

「とっても美味しかったので、アミちゃんの従魔になることにしたにゃ」

「えっ! 従魔!?」

「よろしくにゃ~ご主人様☆」


 にこにこ、ぽよぽよしている、スラにゃん。頭を抱えている、ニャン吉。


「アミが『家族にほしい』と言ったことと、スラにゃんの希望が合ったので、従魔契約が発動したみたいだぞ。自分とスラにゃんを鑑定してみろ」


「鑑定!」


***

名前:アミ

年齢:15歳


職業:しろねこ

レベル:3

装備:しろねこの着ぐるみ(猫神の加護付き)

適性:水・土・風・火・光・闇


体力:1020

知力:1030

素早さ:1000

魔力:1115

運:1000


スキル:[鑑定]

従魔:スラにゃん


称号:異世界人、アイス屋さん

加護:猫神

***


 あれ……? いつの間にか年齢が記載されている。十五歳……!? 体年齢じゃないの? 実年齢なの?

 そしてレベルがちょびっと上がって、確かに、従魔にスラにゃんが記載されていた。


「ねえ、ニャン吉ぃ。わたし、年齢が十五歳になってるよ!

これ、体年齢の間違いじゃないの?」

「いや、どうやら、前回は魔力と年齢で調整が働いていたみたいで年齢が未確定だったみたいだが、十五歳で落ち着いたみたいだぞ。」

「十五歳……」

「ま、若い分にはいいだろ!」

「ご主人様は、ピチピチ十五歳にゃー!」


 ……。ちょっと複雑な気分だけど、しょうがない。


「よし、ではスラにゃん。次は君を鑑定させてもらうよ!」

「オッケーにゃ☆」


「鑑定!」


***

名前:???

年齢:13歳


種別:スラにゃん

レベル:13

適性:水


体力:500

知力:300

素早さ:600

魔力:700

運:500


スキル:水鉄砲


称号:猫神の眷属、悪食

***


「あれ、スラにゃん名前がないよ?」

「ご主人様がつけてにゃ~♪」

「えっ、わたしがつけてもいいの?」

「従魔契約を結んだものが、名前をつける決まりだ」

「なるほど。どうしよっかな~。あれ? スラにゃんは、女の子? 男の子?」

「どっちでもなれるにゃー!」


「そうなんだ! 便利ね! じゃあ……。海みたいに素敵な色だから、マリン!」

「うわああ~素敵な名前っ、ありがとにゃ!」

「……。俺はニャン吉なのに……。マリンって良い名前だな……」


「もう~。ニャン吉の『ニャン吉』はアダ名みたいなものだからいいのよ!」

「名前じゃないのか……?」

「だって、さっきの話だと、私にニャン吉の『名前』をつける権利なんてないでしょ?」

「ま、まあ確かにそうだが……」


「これから、よろしくね! マリン!」

「よろしくなのにゃ~!」


 マリンに抱きついてみると、ぽよぽよしていて、ヒンヤリ、気持ちいい……! こ、これは人をダメにするクッションになるかもしれない……。

 は~。幸せ!

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