第8話 猫の舌はザラザラです。

「いいお天気だねぇ」

「そうだな」


「いい風だねぇ」

「そうだな」


「アイス美味しいねぇ」

「美味しいにゃ~。…美味しいな!」


 ニャン吉と、芝生にゴロンとしながらアイスを食べています。は~美味しい。

 今日のわたしのアイスは、もちアイスです。外側もちもち、最高。


「さ~て!おさんぽするぞー!ニャン吉も暇だったら一緒にきてっ」

「おう。しょうがねぇな」

 ぶっきらぼうに言いつつ、尻尾がピン!と嬉しそうです。猫もおさんぽ、好きなんだね。


 にゃんジョンは、何気に、各層めちゃくちゃ広いの。

 あっちを向いても、こっちを向いても続いてるので、東京ドーム何個分とかにも例えられないぐらい!


 どうやら、階層ごとに色んな特徴があって、100階層のメインは真ん中にドン!とある湖なんだって。

 そして、ここでの季節はずっと春なんだとか。過ごしやすくて最高ね~!

 冬とか夏の階層もあるみたいなので、そのうち行ってみたいけど、まずは自分の住む階層を確認したい。


 とりあえずは湖を一周かな…?

 歩いたら何時間かかるか分からないけど、今の白猫のわたしは素早さアップだし。まあ、どうにかなるよね?


「よーし! レッツゴー!!!!!」

 おっ鶏の卵を見つけた…!拾ってポケットに入れて~。

 おおっ、青く光り輝く石を湖畔に発見。綺麗だ~可愛い~。


「鑑定!」


【水の魔石】

にゃんジョン産の水の魔石。


「これが魔石っ!」

「それは拾っておけ。お金に換金できるからな」

「了解です!」


 今のところ、まだまだ、にゃんジョンから出る予定はないけれど、いつか必要になるかもしれないからね。

 拾えるものは拾っておく。

このポケットいくらでも入るし!


 さてさて。進みますよ~。


 おっ。

 こ、これは…!なんだか、ちょびっとだけ、ふわふわした気持ちになる場所を発見。

 隣のニャン吉を見ると、ニャン吉も、ほわーんとしている。

  

「この草があると、なんだか気持ちがよくなるんだ」

「わたしも猫神様の加護を受けているからか、ちょっとだけ分かるよ…!この草なんだろう?」


 近づいてみる。紫の小さな花に、ミントの葉っぱ。これはもしや……!


「鑑定!」


【キャットミント】

解熱作用や鎮静作用あり。

安眠効果も。

ポーションの材料にもなるが、ハーブティーにしても美味しい。


 おお!やっぱりキャットミントだった!

 ハーブティーにしても美味しいみたいだし、売れそうだし、いっぱい採っておこうっと。

 時間経過がないポケット本当に便利。


 わたしがせっせと作業している間、ニャン吉は、香りにやられてゴロンとお腹を出しながら、うつらうつらし始めた。

 可愛い……! もふもふしたい……!


 もうほとんど眠りに落ちているニャン吉に、手をわきわき近づく。ばふっ! お腹にダイブ!


「にゃにゃっ!?」


 ビックリニャン吉のお腹の毛に顔を埋めるわたし。すぅ~はぁ~。草とおひさまのいい香り。

 くんくん。くんくん。もふもふ。


 ほわぁ~猫エナジー摂取完了ですにゃ。

 大満足していると、ニャン吉がぷるぷる震えていた。


 怒った!? 怒った!??

 身構えていると、ベロンっと首筋を舐められた。ザラッ……。


「くうーザラザラする! 猫の舌めっ! 仕返しか! このやろう!」


 すると、ハッとしたニャン吉が、

「大丈夫!舌だけ人間のやつに替えられるから! えいっ!」と、何やら不穏なことを言い出した。


 人間のやつってー! それ、逆にやばいんでは?


 ペロッ!

「ひゃぁああああっ」


 ペロペロッ!

「ひにやぁぁぁぁぁぁっ」


 ペロペロペロっ!

「うにゃああぁぁぁっ」


「降参! 降参です! ニャン吉様ぁぁぁぁ」

 しかし、そのあともニャン吉の仕返し(?)は続き、気付けば二人とも、草原で寝ていた。

 やっぱりニャン吉にヨダレをたらしていたけど、わたし自体がニャン吉のヨダレまみれなので、悪く思うのはやめた。


 お散歩に出て、まだ百メートルくらいしか進んでいなかったのに、今日のところは帰ることにしました。

 湖を一周できるのはいつになることやら。


 帰って、お風呂を沸かして、ニャン吉と一緒に入った。

 ニャン吉は相変わらず湖の方をじっと見ていたけど。魚でもいるのかな?


 お風呂を出て、下着をまとって、しろねこ着ぐるみを着てサッパリ!


 さーて、お風呂の水を抜くぞー! と思ってお風呂を見たら、青いまんまるが気持ちよさそうに浮かんでいた。

 ……なんだ!?


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