第6話 湖畔のおうち。猫?のニャン吉と、露天風呂!
コケコッコー!コケコッコー!!!
「ん~なーにぃ。にわとり?」
目を覚ますと、白いモフモフのに包まれていた。そうだ……。昨日はにゃんジョンに来たんだった。
ニャン吉は、大きくなれるんだった。またちょっとヨダレ垂らしちゃった。ごめん……。
ごそごそしていたら、ニャン吉も目覚めた。
「……おはよう、アミ」
「おはよう、ニャン吉!」
(ヨダレばれてないよね!?セーフセーフ!?)
それにしても、すんごく気持ちよく寝れた。
初めての野宿だったというのに、目覚めがとっても良い! これが若さか!?
ニャン吉を、もふもふ、ギューッとしながらなんとなくヨダレをごまかしていると、ニャン吉はとろーんとした目をしていた。
おやおや、まだ眠いのかな? 猫だもんな!
のそのそとニャン吉から抜け出し、湖で顔を洗う。そういえばお風呂入ってないな……。まあ、あとで考えよ。
朝のお水をたっぷり飲む。やっぱりにゃんジョン・ウォーターは美味しい。
ところで……。
朝と言えば、トイレに行きたくなってきた。トイレ~トイレ~絶対ここにあるはず、ない……!!!!
「……ニャン吉さん。あの、つかぬことをお伺いしますが、お手洗いはどちらに?」
「お手洗い?手を洗うなら湖で……」
「そうじゃなくてっ! トイレよ! トイレ!!!!」
意識し始めたらトイレに行きたくてしょうがなくなってきた。ヤバイ。
「ああ……それなら、その辺でするしかないな。」
やっぱりいいいいいいいいい!
「ニャン吉、わたしあっちのほうに行くけど、絶対にあっちに来ないでね。絶対だからね!」
そう言い残して、林の中へダッシュする。
魔法で穴を掘って、囲いも作って……。あっ! 白猫着ぐるみって、これ上下つながってるから全部脱がなくちゃいけないじゃないっ。うわあ~。
速く速く速くっ!
………。はぁ~。
間に合った。危なかった。
……はっ!トイレットペーパーがないわ!
どうしようどうしよう。キョロキョロ。囲いの中に、たまたま大きな葉っぱがあった。
はあ、助かった……。
火魔法で燃やして、土かけて、かこいも消して。ふう。
これは、トイレ問題を、すぐに解決しなくてはならなそうだ。今いちばん大事なことだ!
そんなことを考えながら歩いていると、木の下に戻る途中で、卵を見つけた。
そういえば、目覚めは鶏の鳴き声だったもんね。この卵、食べれるのかな?
「鑑定!」
【鶏のたまご】
にゃんジョン産たまご。新鮮。
良質なタンパク源。
ふむ。やっぱり、普通に鶏のたまごみたい。新鮮だって!
たんぱく質はしっかり摂らなくちゃいけないって言うからね、鶏さんごめんね、全部もらいまーす!
その場にあった卵を全部ポケットに詰め込む。
亜空間だから、割れる心配がないのが嬉しい。
戻ると、ニャン吉がまたバスケットに食べ物を詰めて帰ってきていた。
この食べ物、どこから来てるんだろう。ま、いっか! 朝ごはんだー!
とりあえず、岩で鍋みたいなものを作って、にゃんジョン・ウォーターと、拾ったばかりのたまごを入れて加熱して、ゆで卵にした。
調理器具がないから不便だ。
とりあえず、十個くらい茹でて殻をむいておく。いつでも食べれるからね!
ニャン吉の持ってきたバスケットからパンとフルーツを取り出し、ゆで卵もテーブルにのせてセッティング完了!
ニャン吉も向かいに座って、「「いただきま~す」」
茹でたばかりのゆでたまごは、半熟にしておいたのだけれど、何もつけなくてもトロトロ濃厚でおいしい!
パンも噛みごたえがあって味があって美味しいし、たまごの黄身をつけても絶品。フルーツも、味がギュギュっと濃縮していて美味しい。
は~シンプルだけど、豊かだな……。
「ニャン吉、しあわせだねぇ」
「……! そうだな。俺もそう思うぞっ!」
「そういえば今日だけどね、まずは家を作ろうと思うんだー!(っていうかトイレ必要なんだよ)」
「家?」
「そうなの! 魔法で作ろうと思うんだけれど、あの湖の脇に作ってもいい? 大きいのは作らないから!」
「……いいよ~」
ニャン吉がちょっぴり不満そうだけれど、とりあえず無視。こっちにはトイレ問題っていう、とっても大切な問題があるんだから!!!
朝ごはんの片付けをして、早速、家作り開始! イメージは、湖畔に佇むひっそりした家だ! 豪邸なんていらないのだ!
まずは土台から。陸から湖にかかるように。半水上コテージみたいな感じにしたいのだ!
陸の部分は家で、水上の部分は大きなテラスにするのです。
ボートデッキも作っておく。まだボートないけど、念のためね。
あとでBBQグリルも設置するよ!
お部屋のほうは、思い切ってワンルーム。全部で30帖くらいの室内。
おうちは小さいのが1番。
だって掃除が楽だしね! それに、テラスでゴロゴロしたほうが気持ちいいもん。
ちなみに、10帖くらいのキッチンがあって、キッチンは対面式でキッチンカウンターがついてるのです。
ベッドは、スーパーキングサイズ!
え? 独り身なのにそんな大きなベッドいらないって? いいんだよ。大は小を兼ねるって言うからね。
大きなサイズのニャン吉だって一緒に寝れるんだから。
ベッドルームの奥には念願のトイレ。
もちろん洋式です。現代人には和式、辛いんだもん。トイレの仕組みはどうしようか迷ったけど、とりあえず今のところはシンプルにボットン形式で。
毎回燃やせば大丈夫でしょう! 多分…! まあ、細かいことはそのうち考える。
あ、トイレットペーパーに使えそうな葉っぱ、あとで取ってこなくちゃ。
トイレに自生するようにしたいなあ。そしたらペーパー切れとかにならないもんね。
それから、お風呂。お風呂は、湖から水を引けるようにした露天風呂!!!
だって、にゃんジョン・ウォーターは、内からも外からも効くって書いてあったからね。お風呂にも使いたかったんだ。
引いたお水は、火魔法で温めればオーケー☆
ちなみにスイッチの切り替えで、水を引いたり排出したりできるように、高低差をいろいろ考えて作ったんだよ。
割と力作だよ。
うん! こんなもんかな?
とりあえず、せっかくなのでお風呂に水を貯めて、火魔法で温めてみる。
手を入れて温度を確認。うんうん。いい感じ!
最後に、屋根に猫耳をつける!
なんか、猫耳をつけると、猫神様の加護で家が強化される……気がするんだ。なんか、そう感じるのだ。
ちょっと遠いところからゴロゴロしながら見守っていたニャン吉を呼ぶ。
「ニャン吉~! 家が出来たよ!!!」
「おお。もっと大きくなくていいのか? 誰かが泊まりにきたらどうするのだ?(例えば俺とか)」
「まあ、誰かが来たら考えるよ。敷地はあるんだから、テント張らせればいいし。とりあえずニャン吉しかいないから大丈夫!」
「(俺は良いってことか……?)」
「そうそう! ニャン吉はもちろん出入り自由だからね☆ 日本にいたときみたいに、一緒に住もうね~」
「………!」尻尾をピン! とさせているニャン吉。
「あ、あれ? そういえばニャン吉は家じゃなくて、草の上の方がいいのかな?」
「……いや、そんなことないぞ!家も好きだ!」
「そっか!それなら良かった~。ところで、この100階層って、誰か人が来るってことは、ほとんどないんだよね?」
「そうだな。にゃんジョンが出来てからこの数十年、ひとりも来てないぞ。」
「良かった~!そう思って、露天風呂、囲い作らなかったんだ。囲いがないほうが景色がいいからね。」
「……!? でも、俺がいるぞ?」
「え?ニャン吉は猫だから大丈夫でしょ~」
「……。(正確には猫じゃないが……)そ、そうだな。俺は猫だからな……!猫だ、俺は!」
「よし! じゃあ早速お風呂入ろう! ニャン吉も入るでしょ?」
「そ、そうだな! 俺は猫だからな! 一緒に入るんだにゃ……!」
というわけで、久々にしろねこ着ぐるみを脱いでお風呂に入ったよ。
ポケットがついているから、盗まれないようにしなくちゃいけないんだけど、この百階層にいる分には、異変はニャン吉が感知できるみたいだし大丈夫そう。
露天風呂はとっても気持ちよくて、にゃんジョン・ウォーター効果でお肌もつるつるになった!
ニャン吉は、なぜか、ちょっぴり離れたところでお風呂に入って、湖のほうをジッと見つめていた。
毛むくじゃらなのに、なんとなく頬がうっすら赤くなっていた。のぼせたのかな?
お風呂上がりはもちろん、にゃんジョン・ウォーターで水分補給! あ~! いいお湯でした☆
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