第2話

「今日もバイトかぁ…」

と起きて思い出す。

「そっか…バイトないのか…ふぁぁ…おやすみ」

二度寝を決め込む決意をする僕。


扉が勢いよく開く。それは物凄い勢いで。

「なおと殿っ!おはよう!!」

何故か笑顔の騎士団長。それより扉…

んんっ!なんということでしょう。閉塞感のあった部屋がたったひと工夫で開放感溢れる素敵な部屋に…なるかバカヤロウ。今すぐ直せ。

という視線を送るも、「なおと殿!朝食後に訓練をする!それでは失礼する!」といい出ていった。


え、扉壊して、それを言って帰ってったの?

近衛騎士団長…こわっ…


とりあえず使用人さんに「訓練ってどこでやるのでしょうか?」と聞く。

使用人さんは少し怪訝な顔をした後「こちらです」といい訓練場まであんないをしてくれた。


着いたはいいものの団長はまだいない。

ストレッチをして待つこと30分。団長がやっと来た。

「なおと殿…?使用人から待っていると言われて急いで来たが…朝食は?」

「え、団長の朝食後ではなく僕の朝食後なんですか?」

「当たり前ではないか、今からでも食べてくるのだ」

「いや、でも僕まだなんの結果も残してませんよ?」

「…どういう事だ?」

「だから、働かざる者食うべからず。結果を残してはじめて飯を食えるのが普通でしょう?」


「……昨日の今日で結果が出てたら訓練なんか必要ないだろう。とにかく飯食って来るのだ」


そう言われては食べるしかない。

使用人さんに案内してもらい朝食を済まし、訓練場に戻る。

「では直人殿。最初は剣術の訓練をしようと思う。予備の木剣から自分に合うものを探して欲しい。」

「え、いや、僕自分に合う木剣とか分からないですけど…」

「そこは感覚だ!これだと思えばそれにすればいい。」

と言われ木剣を選びに行く。

多分この人はあれだ。自分の感覚が皆にわかると思ってるタイプだ。僕の苦手なタイプ。

「これにします」

「そうか。とりあえず素振り200回から始めよう」

「200!?」

驚きはしたものの始めるしかなさそうなので振り始める。

木剣なんて振ったこともなければ、触ったことも無いので振り方はおろか握り方さえわからず、ただ上から下へ振り下ろす作業が始まった。

すると意外にも的確なアドバイスが飛んできた。

握り方、視線の方向、足さばき。

上げればキリがないほどに。

200回やるうちに徐々に形になっていたらしい。

素振りだけで今日の剣術の訓練は終わりと言われ、次は魔法訓練に移るらしい。


「魔法はとても簡単だ。詠唱をし、明確なイメージを浮かべ、それに見合う魔力を練り、放つ。一応難しいと言われるのは明確なイメージだ。あやふやなイメージでは魔法は成立せず発動出来ない。まぁやってみるのが1番だ。」


「詠唱はちょっと恥ずかしいような…とりあえず段階的にやってみることにします。」

てかまず魔力ってなんだよ?そこからじゃね?


最初は指先からライターの火をイメージをし、魔力はちょっと分からんから詠唱を……詠唱っ?知らないけど?

まぁいいか…「ファイア」

すると体の中から何かが指先へ集まるような感覚の後、イメージ通りの火がおこる。

「…なおと殿?詠唱をいきなり破棄するのか?たしかに教えてないわたしも悪いは悪いが」


ニコリと笑って返す。「出来ました」と。

ついでに魔力の感覚も掴んだので色々やってみることにする。火を大きくしてみたり、水を出してみたり、少し難しかったのが風をおこす魔法。イメージがしづらく、数度失敗を重ねたりもした。

地面にでこぼこを作ってみようとしたところで視界が暗くなり、意識が無くなる。




目を覚ますと自室で横になっていた。

起き上がり周りを確認すると団長からの書き置きを見つける。

“なおと殿。ケラルだ。

いきなり魔法を使えるとは思わず唖然としておったら直人殿が突然倒れたのでこちらへ運ばせてもらった。

魔力切れは1日寝れば治るので、今日の訓練はおわり、また明日、直人殿の朝食後とする。”


それにしても頭が痛い。魔力切れの症状らしい。

頭は痛くとも剣くらい振れる。と判断し、再度訓練場で素振りを始める。

「1っ!2っ!3っ!」

「497っ!498っ!499っ!500っ!」

「998っ!999っ!1000っっ!!!」

1セット終了!丁度1時間くらいか…

なら今日のメニューはこれをあと2セットくらいでいいかな?

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