第27話 インターミッション(6)

「……以上です。」

「生徒会長、その、土岐先輩の情報、子細にお願いします。」

「ええ、これは、校長先生からの情報です。」

「はい。」

「『留学と言う名目で、国外追放処分。条件は、二度と帰国しない事、並びに、敦盛学園での学歴に、一切傷をつけない。』以上です。」

「生徒会長、その条件、土岐家との『裏取引』があった。それは『予知』した通りですね。」

「ええ。土岐家が、裏から警察に手を回していた事も、含めてです。」

「生徒会長、『裏取引』の内容も『予知』した通りですね。」

「実の所、土岐家との『取引』は、家同士で行われたものです。私の父と土岐家当主との間で、行われ、私には結果だけ伝えられました。そこだけ見れば、同じでした。」

「生徒会長、これで、事件解決ですね。ついでに、土岐家への『貸し』も作れました。」

「ですが、多賀君が、交渉に参加してくれれば、結果は変わってました。」

「生徒会長、下手をすると、土岐先輩の策略が、明るみに出ます。折角、見えた『予知』と、現実が、かけ離れます。それに、姉小路家の家族会議でしょう。僕に参加資格は、ありません。」

「私が、エスコートすれば、問題ありません。」

「では、ご両親に、僕の事を何と説明するつもりですか。」

「『私の大切な人』です。」

「おひおひ……そんなに誤解を生産したいのか。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界にいない。

「生徒会長、それは契約違反です。言った場合、室長も交際も辞退します。」

「そう言う事でしたら、交換条件ですよ、多賀君。」

「何でしょう。」

「5月2日~5日まで、合宿をします。参加しなさい。」

「何故?」

「私が、『最遅で5月4日に死亡する』未来を回避するには、不確定要素を排除すべきです。いいですね、多賀君。」

「同感です。」

「そこで、我が家の別荘を借りて、お泊り合宿をします。詳細は、こちらのしおりを参照してください。」

「生徒会長、意外と暇ですね。」

「宗竜……生徒会長への対応に、徐々に容赦が、無くなってきているな……。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界にいない。

「昨晩、お父様に別荘の使用許可を取り付けてから、夜なべしで作った労作です。さぁ! 読みなさい。」

 そこで、僕はしおりを受け取り、黙読した。そして……

「生徒会長、2つ質問があります。」

 読み終えた時の発言だ。

「何でしょう、多賀君。」

「1つ、参加者は、全員、生徒会長の『能力』について『知っている』訳ですね。」

「ええ。」

「2つ、僕以外の参加状況は、どうです。」

「多賀君以外は、全員参加ですよ。」

「……………………………………………………生徒会長、分かりました。僕も参加します。」

「それでこそ、多賀君です。」


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