第26話 土下座

「すみませんでしたぁっ!」

 日曜の昼下がり、三羽烏と、彼女達の両親、計9名が、土下座するとは、中々壮観だ。

「……。」

 一瞬、気圧された下諏訪だった。ちなみに、場所は下諏訪の実家(分譲マンション)玄関先の廊下だ。

「今までの事、謝罪します。教科書なども、全て弁償します。どうか……水に流して下さい。」

 ここで、ようやく一瞬だけ満足げな笑みを浮かべた下諏訪。

「弁償?」

「持ってきました。これです。」

 そう言いながら、複数の手提げ袋を差し出す。三羽烏から、下諏訪に引き渡された。

「確かに……制服や、体操服、上履きまで全部揃ってるわ。……まぁ、謝罪も頂いたし、このままじゃ、ご近所迷惑だから、あんたたちの事、許しましょう。」

「ありがとうございます!」

 こうして、口々に感謝の言葉を、差し出し、9名は立ち去った。

 最後に、1人だけ残った人物に声をかける下諏訪。

「ほーんと、3日間よ。木、金、土の3日学校休んだだけで、解決って。流石、生徒会長。」

「謝罪して許されれば、飲酒で3日間の停学。さもなくば、イジメとの合わせ技で即刻退学。どちらか、選択させた結果ですわ。」

 等と言う無駄口を叩かない生徒会長だった。

「勿論、有言実行が、モットーですから。下諏訪先輩、明日から、登校しても大丈夫ですよ。」

「ほーんとの事、言うと、あたし、あんたが、生徒会長になって欲しくなかったわ。」

「あら、では土岐先輩の方が、よかった、そう言う事でしょうか。」

「とんでもない。比較対象で、あんたの方が、まだマシだっただけよ。でも……。」

「でも?」

「今日、ようやく貴女が、生徒会長で良かったと思えたわ。」

「恐縮です。……そうそう、その土岐先輩、留学なさるそうですよ。今週末に、出発されるそうですので、挨拶はお早めにされる事を、お勧めします。」

「え? そーなの。まぁ、あたしとは、直接接点の無い人だし、別にいいわ。」

「そうですか、では、ごきげんよう。」

「さようなら、また明日、生徒会長さん。」

 こうして、生徒会長もその場を後にした。


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