第2話 はるか

はるかは医師である。

明と同じ職場で同じ部署の麻酔科医。


麻酔科医を簡潔に説明すると、手術する患者に麻酔をかける医師のことである。


明の職する手術室看護師と麻酔科医は、手術中同じ空間に一緒にいるため、互いに仕事の内容は把握しており、仕事に対しての理解はある。


しかし、


「あー、ごめん。緊急来ちゃったわ」


明たちが属する病院では、手術室看護師は基本的に土・日・祝日は休みだが、麻酔科医はオンコール体制といって、緊急手術が来たら病院に駆けつけなければならない。


「せっかくの日曜なのに、、、」


はるかはけたたましくなるスマホを恨めしい眼差しで一瞥した後、電話に出る。


明は一緒に見ていたレンタル映画を一時停止し、自分のスマホに目を落とす。


1分もなく通話を終えたはるかに明は、


「病院まで送ってくよ」


「ううん、遅くなりそうだからいい」


クローゼットからコートを取り出し、先に寝ててね、とまだ夕方にもならない時間なのにそう伝えると、上着を羽織り急足で玄関まで向かった。


じゃあ頑張って、と明ははるかを送り出し、車のエンジンが掛かる音を玄関から聞いた後に、リビングに戻った。


「先週の休日も緊急きてたな、、、」


一緒にはるかと居られるのは、仕事が終わっての平日の夜だけだなと、1日中ずっと一緒にいられたのはいつだっけな…と明は思い返しながら、一時停止していたレンタル映画を完全停止させ、適当に目に付いたテレビ番組を見ることにした。



その日はるかが帰宅したのは、夜中の4時であった。


次の日(といっても0時を回ってるから今日)は週初めの平日であるため、3時間後には出勤しないといけない。


家に着くとはるかはすぐにシャワーを浴び、寝衣に着替えると明の眠るベッドに入り、間もなくして就寝した。

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