あらすじVer.2
さあ、あらすじ作りも大詰めです。
昨日までに、5W1Hを使って大まかな流れを作り、それを時系列に並べてシーンごとに区切りました。ちょっとナンバリングに失敗しててさっき直したんですけど、全部でACT.23までありますね。つまり、web小説として連載するならば、最低でも23話くらいになるということです。自分は一話の長さはだいたい4,000字前後なので、92,000文字くらいの長編になりそうです。
もし余裕があったら、小説を書く時は常に文字数を意識してみましょう。
まあ、公募用の原稿であること、商業創作として仕事であること、そういう時だけでもいいんです。趣味なら書きたいだけ書くのも、決して間違いではありません。
あ、さて……この膨大な量のツリーを、あらすじという形で圧縮してゆきます。本当はここから、主要人物、特にカイナとユウキの心情の推移なんかも並行して並べたい、書き込みたいんですけど。この辺は実際に書いてみての調整もあるので、ここでは省略しました。余裕のある方は是非、やってみてくださいね。
で、全23話と仮定して、これを「23個のあらすじ」にします。改めて文章に落とし込むんですが、以下の点に注意してみてください。
・できるだけ短く簡潔にする
・接続詞の数がなるべく少なくなるように工夫する
・設定等の説明部分は省く
・作品独自の固有名詞は、必要なもの以外は極力省く
では、実際にやってみましょう。でも、短くする、接続詞は少なくする、これはいいとして……何故、設定の説明や固有名詞を極力省かねばならないのでしょうか。
それは、あらすじで求められていることが「物語の流れ」と「ドラマとしてどこがどう面白いか」だからです。この二つを完結に規定文字数で伝えるのが、あらすじの仕事という訳です。
・ACT.01「セルヴォとユウキが追放される」
親友である勇者の右腕として戦ってきた格闘家カイナは、負傷し隻腕となったことで戦力外としてパーティから追放されてしまった。同時に、尖り過ぎてて扱いにくい戦力として、重戦士の少女ユウキも同じく追放されてしまう。
・ACT.02「故郷への帰還、家族の出迎え」
失意のうちに故郷へ帰るカイナは、成り行きでユウキを伴って帰郷を果たす。家族は生還を喜んでくれたが、妙に落ち着かないスローライフが始まった。
・ACT.03「久々の家族の団欒」
押しかけ女房のように居着いてしまったユウキは、早速カイナの弟や妹たちに馴染んでしまう。だが、一番上の妹サワだけが、兄を想う故にユウキに反発、やたらと張り合ってしまう。そんな子供たちを師匠にして母親のセナが、優しく見守ってくれるのだった。
・ACT.04「ドッキリ!夜の混浴大作戦!」
久々に温泉地である故郷に戻り、夜の露天風呂で落ち着くカイナ。だが、偶然にもユウキが先に来ていて、ここが混浴だと思い出す。ユウキは片腕になって不自由をしているカイナを手伝って、身体を洗うのを手伝ってくれるのだった。
・ACT.05「再び田舎でのスローライフが始まる」
実家で眠りから覚めると、朝からユウキとサワが掃除や料理で張り合っていた。そして、大家族全員での朝食に懐かしさが込み上げるカイナ。彼は温泉街で働きつつ、再修行を決意するのだった。
・ACT.06「うれし恥ずかしお買い物デート!?」
村の祭りが近々あり、カイナはセナに買い物を頼まれる。ユウキも一緒にといらぬ気を回され、さらには自警団で働くサワも強引についてくるのだった。昨晩の露天風呂とはまた別の、普通の女の子としてのユウキの魅力に少しどきりとするカイナだった。
・ACT.07「特訓!」
カイナは一人、森で新しい格闘スタイルの特訓に挑んでいた。今まで多様してこなかった、蹴り技の習熟に励むも、なかなか上手くいかない。たまたま遭遇したモンスターと戦い勝利するも、全く満足の得られぬ戦闘結果に焦れるばかりだった。
・ACT.08「天才甲冑技師登場!?」
カイナにとって焦りばかり募る日々の中、ユウキを訪ねて甲冑技師のシエルが村にやってきた。彼は機械式の重甲冑を作る科学者でもあり、怪力自慢のユウキにとっては親友のような存在だ。そんな彼が、カイナに義手を作ろうかという話になる。
・ACT.09「スローライフでもバイト生活!?」
温泉施設で働くカイナは、頭の中が修行のことでいっぱい。昼風呂に来たセナにユウキやサワのことを聞かれても、全く眼中にない。そんな彼は、村人たちに老若男女問わず親しまれる少年なのだった。
・ACT.10「お祭りの始まり」
夜、村の祭が始まり大いに賑わう。カイナはユウキや弟たちと祭を回る。広場では、巫女の代役やることになったサワの舞いが村人たちを熱狂させている。その姿が、親友と共に守るはずが守られた、そして自分たちを守ってしんだ幼馴染の少女に重なり、気付けばカイナは無意識に涙するのだった。
・ACT.11「逃げ出したカイナ、追いかけてくれたユウキ」
思わずその場から駆け出したカイナ。そんな彼を追いかけてきてくれたのはユウキだった。村の社で二人きり、花火を見上げながら語り合う。カイナは幼馴染三人組で冒険の旅に出て、勇者三人組と呼ばれてたことを話す。ユウキもまた、自分が異世界(地球)から来た人間だと秘密を打ち明けるのだった。
・ACT.12「眠れぬ夜に極意を得る」
先程の祭の夜、社でのユウキとのひとときがカイナに眠れぬ夜を迎えさせていた。ユウキに対する初めての感情に揺れつつ、カイナは身体を動かすべく庭に出る。そこでは師匠のセナが、今のカイナに足りないものを教えてやろうと勝負を挑んでくるのだった。
・ACT.13「激痛に耐えて新たな右腕を取れ!」
セナのおかげもあって、カイナは新たな格闘スタイルを確立する。そしてついに、シエルの完成させた義手を装着する時がきた。だが、神経を接続する作業は想像を絶する激痛を伴う。あまりの痛さに暴れそうになるカイナを、ユウキが必死で抑えてくれるのだった。
・ACT.14「妹を救え!今こそ新たな力を見せる時!」
激痛に耐え、鋼の腕を手に入れたカイナ。彼は急いで勇者の元へ旅立とうとしたが、妹のサワが自警団として苦戦していると聞く。大事な妹を助けるべく、新しい腕のシェイクダウンも兼ねて、カイナはユウキとモンスター退治に赴くのだった。
・ACT.15「再び旅立つ勇者たち」
ついにカイナは、再び旅立つことになった。ユウキも一緒で、義手の調子を見たいからとシエルも同行してくれる。家族に見送られる中、かつて幼馴染三人組として村を出た道を、今また新しい仲間とカイナは出発する。
・ACT.16「反魔王レジスタンスに戻ってきたが……!?」
親友である勇者を尋ねると、不在だった。そして、勇者パーティは壊滅し、メンバーは皆が重傷を追っていた。どうやら大きな戦いがあったらしく、パーティは惨敗したらしい。まだ勇者は仲間を助けるために戦ってると聞き、カイナたちは戦場へ急ぐ。
・ACT.17「古戦場での再会」
親友である勇者の危機に、間一髪で駆けつけたカイナ。彼はより洗練された格闘術で魔物を蹴散らす。再会の幼馴染同士だったが、目の前に魔王軍の幹部カエデが現れた。かつて、カイナの右腕を切り落とした強敵とのリターンマッチが始まる。
・ACT.18「女幹部カエデと魔王オロチ」
以前はカエデに負けてしまったが、パワーアップしたカイナは親友とのコンビネーションで圧倒する。だが、あと一歩で倒せそうだったが、突然現れた魔王オロチがカエデを庇った。その姿に、かつての自分、そして死んだ幼馴染の少女を思い出すカイナだった。そのままオロチはカエデを連れて魔王城へと飛び去った。
・ACT.19「反魔王レジスタンス、最後の戦いへ」
残った仲間たちから有志を募り、勇者たちは最後の戦いへ赴く。その準備のさなか、ついにユウキから真実が語られた。実は彼女は、魔王オロチに召喚されて異世界転生した勇者だったのだ。だが、オロチの求めた勇者ではなかったため、追い出されたという。そして、ユウキはオロチの非道を止めようとしているのだった。
・ACT.20「勇者と軍と、戦術と」
魔王城に攻め込むべく、魔王軍の大軍と対峙するカイナたち。多勢に無勢だったが、どうにかユウキの機転で大軍勢の中を突破する。そして、カイナは親友とユウキと、たった三人で魔王城へと乗り込んでいくのだった。
・ACT.21「決戦、女幹部カエデ」
魔王城で待ち受けていたのは、女幹部のカエデだった。いよいよ彼女との決着をつけることになる。激闘のさなか、親友とお互いに死んだ少女のことを語り合うカイナ。そして、オロチのためなら死んでもいいと言うカエデに、それではオロチが救われないと論破してカイナは勝利をおさめるのだった。
・ACT.22「オロチが語る世界の真実、そしてラストバトル」
いよいよ魔王城の玉座で、最後の戦いが始まった。魔王オロチは、実は魔族が迫害されていて、太古の昔は地球に住んでいた鬼の末裔だと語る。この世界は月で、人間は元は月の民だったのだ。だが、武力で解決を図るオロチに対して、対話のために無力化を試みるカイナたち。戦いでは大切な人が死んで殺されての連鎖で、なにも生まないと説いてオロチを撃破するのだった。
・ACT.23「大団円、悲しい歴史を共有して未来志向へ」
満身創痍のオロチを、カエデが庇う。その姿は、何度も繰り返されてきた「大切な者を守りたい」という、種族を超えた普遍的なものだった。オロチは召喚したユウキを地球へ帰し、人間と話し合うと言ってくれた。だが、平和へ向かう月世界を見届けるため、なによりカイナの隣にいるために……ユウキは月に残ることにするのだった。
さあ、どうでしょう。かなりざっくばらんに書きましたが、まだまだ長いです。自分でも思った以上に難しいなと、改めて思いました(笑)そう、あらすじを書くのって難しいんです。あらすじ自体が一つの作品、コンパクトにした小説なんです。だから、最初は上手く行かなくても全然OK! 他にも色々なやりかたがあるので、自分に合った方法論を探していきましょう。
で、こうして並べたエピソードの中で……不要なものを取り除きます。
ここで言う「不要なもの」とは、ズバリ「メインプロットに不要なもの」です。実は、プロットは「メインプロット」と「サブプロット」があり、そのメイン部分だけを簡潔にまとめたのが、プロットに必要なあらすじです。勿論、サブプロットも「編集者に提出する書類としてのプロット」のどこかに存在を残さなければ伝わりません。
しかし、あらすじではメインキャラ、特にカイナ(主人公)とユウキ(ヒロイン)のストーリー、そして全体的な流れをまずは抑えましょう。
では、ここで書き出したものを合体させ、そこに含まれるメインプロット(カイナとユウキのドラマ)だけであらすじを書いてみましょう。勿論、他のキャラも登場しますが、必要最低限になると思います。
サブプロットの説明については、次の機会で語りますね。
・あらすじ
格闘家のカイナは勇者の右腕だったが、勇者を庇って隻腕となったことで戦力外通告を受ける。親友にして幼馴染の勇者は、彼と一緒に強過ぎる怪力少女ユウキを、パーティに必要ナシとみなして追放するのだった。
失意のうちに帰郷したカイナだったが、成り行きで押し掛けてきたユウキもろとも家族に歓迎される。そしてスローライフが始まる中、カイナは密かに特訓を開始する。親友を守る、そう約束した少女が昔いたのだ。師匠の助言や新たな義手を得て、ついに彼は新たな戦闘スタイルを確立した。その過程でユウキと惹かれ合い、彼女の「実は地球から来た女子高生」という秘密をも知ることになる。
再び勇者パーティに復帰したカイナが見たのは、惨敗で壊滅状態の仲間たちだった。そして、親友はまだ勇者として戦ってると知り、助けに向かう。実は、勇者とカイナは同じ村の幼馴染トリオで、もう一人の少女がかつてはいた。彼女は魔王との戦いで死に、そこから勇者は頑なになってしまったのだった。
勇者の危機を救い、かつて自分の右腕を切り落とした強敵をも退けるカイナ。そして魔王と対峙し、驚くべき事実が明かされる。なんと、ユウキをこの異世界に召喚したのは魔王だった。そして、この世界がユウキの住む地球の衛星……月だと明かす。太古の昔、月と地球は交流があり、大戦争で断絶したのだった。
魔王は魔族が差別される社会の根絶のために戦い、自ら部下を庇ったりもする。武力で解決しようとすると、必ず「大切な人を殺され死なせ合う」と悟ったカイナによって、魔王は倒され考えを改めるのだった。
最後に魔王はユウキを地球に帰すと言ってくれるが、ユウキは「もう少しカイナのそばにいたい」と、月世界に残ってくれるのだった。
随分コンパクトになりました。まず、カイナとユウキ以外のキャラ名をALLオミットしました。誰が誰だかわからなくなるからです。あらすじはなるべく「一度読んだだけでわかるもの」であることが好ましいですね。
キャラ名が出る度、文章を遡るのは手間ですし、何度も続けば店舗が悪くなります。あくまで、カイナとユウキの物語として簡潔に……これがあらすじですね。
さてさて、次回は先程名前が出た「サブプロット」について解説しましょう。サブプロットは、物語の奥行きと深さを広げてくれる役目があります。実は、既に皆様は無意識にサブプロットを組み込み、活用されているんですね。そのへんを明日、語りたいと思いまっす!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます