あらすじVer.1.71

 さて、今日もあらすじを作って行きましょう! 締切もあることですし、そろそろ小説本編の原稿を書き始めたいですしね。

 因みに、プロを目指す方は絶対にやってほしいこと、守って欲しいことがあります。それは、締切を設定して、それを守ること。そして、アマチュアのうちから積極的にこれを習慣化すること。プロでない時期なら、自分で設定した締切を破ってしまっても、まだ大丈夫です。そこで「締め切り前のなにが駄目だったか」「どの工程で手間取ったのか」を総括し、また次の締切を設定してみてください。

 いいですか? 作家にとって締め切りの死守は「できて当然のこと」です。

 プロである以上、仕事仲間である編集部と交わした締切は、契約でもあります。

 よく創作系マンガやアニメに出てくる「締切がルーズだけど超凄腕のクリエイター」というのは、これは幻想です。断言します、あなたは立派な小説家になれますが、そういうことを許される人間は現実の業界では居場所がありません。

 ま、それはさておき……昨日までのあらすじをおさらいしてみましょう。




・第一章「セルヴォとユウキが追放される」

 どこで(Where)

 └反魔王レジスタンスの本部で


 誰が(Who)

 └カイナとユウキが


 何を(What)

 └反魔王レジスタンスを


 なぜ(Why)

 ├カイナは右腕を失い戦力外だから(本当は死んでほしくないから)

 └ユウキは突出して強い尖った戦力だから


 どのように(How)

 └追放され、二人でカイナの故郷ユズルユ村に向かう。


・第二章「故郷への帰郷と再修行、パワーアップしての旅立ち」

 どこで(Where)

 └ユズルユ村で


 誰が(Who)

 ├カイナとユウキが

 ├カイナの家族、セナやサワたちと

 └ユウキの紹介でシエルと


 何を(What)

 └カイナの弱体化を


 なぜ(Why)

 ├カイナはまだ(死んだカルディアのためにも)セルヴォを助けたい。

 ├何故ならセルヴォは、カイナに死んでほしくなくて追放したのだから。

 └ユウキは実は、自分を召喚した魔王を助けて地球に帰りたい。


 どのように(How)

 └義手を得て新たな格闘スタイルを確立し、再び戦えるようになる。


・第三章「再びカイナはセルヴォの右腕として戦い始める」

 どこで(Where)

 └戦場で? 魔王の城で? まだ保留中


 誰が(Who)

 ├カイナが

 ├ユウキが

 └セルヴォ率いるレジスタンス軍が


 何を(What)

 └魔王を


 なぜ(Why)

 ├カイナにとっては、打倒魔王は幼馴染三人組の共通の夢だったから。

 └ユウキにとっては、魔王は実は優しい少年だとわかってるから。


 どのように(How)

 └ラストバトルで激闘を演じ、勝利する。


・第四章「ユウキの地球への帰り道が開かれたが――?」

 どこで(Where)

 └戦場で? 魔王の城で? まだ保留中


 誰が(Who)

 ├カイナが

 └ユウキが


 何を(What)

 ├カイナは魔王を許し、ユウキとラブラブになる

 └ユウキもまた魔王を許し、帰ることを先延ばしする


 なぜ(Why)

 ├実は魔族は、古代の地球の民(鬼)だった

 ├魔王は召喚したユウキが鬼じゃないから、戦いに巻き込めないから追放した

 └実はユグドルナには魔族差別があって、本来は魔法も魔族のものだったから


 どのように(How)

 └魔王とは完全とは行かずとも対話が生まれ、戦争が停戦になる。



 まず最初に、5W1Hで大まかな流れを起こしました。そしてそれを「When」という時間の流れ、時間軸で過去から未来へと並べてみました。それは、作品の中で時間が切り替わると、シーンが転換するからです。つまり、同じ時間のできごとは「同じ章で書けること」であり、それが切り替わったら「次の章が生まれる」とも言えるでしょう。

 では、今日はさらにこの中から、次のW……「Where」を見ていきましょう。

 同じ時間軸、時期の章でも、場所が切り替わるシーンは存在するかもしれません。

 この「どこで」が切り替わる箇所がありそうなのは、このあらすじだと第二章と第三章ですね。




・第二章「故郷への帰郷と再修行、パワーアップしての旅立ち」

 どこで(Where)

 └ユズルユ村で


 誰が(Who)

 ├カイナとユウキが

 ├カイナの家族、セナやサワたちと

 └ユウキの紹介でシエルと


 何を(What)

 └カイナの弱体化を


 なぜ(Why)

 ├カイナはまだ(死んだカルディアのためにも)セルヴォを助けたい。

 ├何故ならセルヴォは、カイナに死んでほしくなくて追放したのだから。

 └ユウキは実は、自分を召喚した魔王を助けて地球に帰りたい。




 二章は、半魔王レジスタンスを追放されたカイナとユウキが、ユズルユ村にやってきて、そしてまた旅立つまでを描いたパートです。つまり、ここでの「When」は「ユズルユ村滞在期間」となりますね。

 しかし、この期間には色々なことが起こると思われます。

 なにより、主人公のカイナ、ヒロインのユウキに大きな変化がある筈なのです。


 閑話休題。


 皆様、小説や物語に触れて、読者が「感動するシチュエーション」ってなんだと思いますか? 成長、再起、告白、覚悟……実は、感動というのは「キャラクターの変化」で最も発生しやすいのです。

 なので、キャラは、特に主人公は作品の始まりと終わりで変わっていなければなりません。ボッチには恋人ができて、敗者は勝者になって、そして落ちこぼれはヒーローにならなければなりません。

 多くの作者さんは無意識にそれをこなしてますし、それがなければ物語は成立しません。古くからある昔話やおとぎ話でも、この構文は必ず入っているんですね。

 なので、一番いいのは「キャラを変化させる」ために「キャラのスタートとゴールを決めておく」ということです。

 今回だと、カイナのスタートは「戦力外の隻腕になった格闘家」であり、ゴールは「再び親友の右腕として戦えるようになった格闘家」です。他にも複数の変化がありますし、こうした変化が起こったのは心境の変化があったからです。そこも含めて、あらすじを作る時は同時並行して整理してみてくださいね。




 という訳で……この「ユズルユ村滞在期間」に起こるイベントを、場所ごとに区切って見ましょう。同じ「When」の中にある、複数の「Where」ごとに書き出してみましょう。

 ざっくり今の段階で思いつくのは『家族との再会シーンがほしい』「温泉シーンがほしい」「修行と特訓シーンがほしい」「お祭りシーンがほしい」「義手ゲットシーンがほしい」「主人公パワーアップのシーンがほしい」「旅立ちのシーンがほしい」みたいな感じですかね。

 どういうシーンを盛り込むかは、書く人の好みや趣味、自分で蓄積してきたエンタメの種類や量が問われます。実は、この辺は奇をてらわずに「お約束や王道」をチョイスするのがオススメです。オリジナリティは「お約束の書き方、王道の魅せ方」で捻り出せばいいと思うんですよね。




・第二章「故郷への帰郷と再修行、パワーアップしての旅立ち」

 一日目・どこで(Where)

 ├ユズルユ村の入り口で

 │誰が(Who)

 │├カイナとユウキが

 │└カイナの家族、セナやサワたちと

 │何を(What)

 │├再会を果たす

 │├セナに怒られる、泣かれる、抱き締められる

 │├サワにユウキの存在を問い詰められる

 │└沢山の弟や妹にわちゃわちゃされる

 │なぜ(Why)

 │├セナは生還したカイナが嬉しいけど、照れ隠しで怒る

 │├セナは、セルヴォの真意を理解してないカイナにもにょる

 │├ともあれ大歓迎、ユウキの存在もカイナの甲斐性だと大いに歓迎

 │├サワは兄弟の中でもカイナに次ぐお姉さん役で、カイナに惚れてる

 │├サワは、好きな義兄が連れてきた美少女ユウキにライバル心

 │├カイナがこれからは危ない冒険やめて家にいてくれるのは嬉しい

 │└弟や妹は純粋にカイナ兄ちゃんおかえりモード!

 │

 ├カイナの実家で

 │誰が(Who)

 │├カイナとユウキが

 │└カイナの家族、セナやサワたちと

 │何を(What)

 │├みんなでお茶しながら近況報告

 │├何故か不機嫌なサワと、???なカイナと、ニヤニヤなセナ

 │├沢山の子供たちと遊んであげてるユウキ

 │└世界の情勢と、全然平和な村との対比が語られる

 │なぜ(Why)

 │├久々に会う家族、激変した外の世界、変わらない平和な村

 │├サワは本当にカイナが好きだから、ユウキが気になってイライラ

 │├ユウキは基本的に誰にも人懐っこくて子供好き

 │├今は押しかけ居候だし、カイナと家族との話には敢えて混じらない方向

 │└カイナ、改めて実家に帰ってきたんだなという実感

 │

 └夜の温泉で

  誰が(Who)

  └カイナとユウキが

  何を(What)

  ├裸で偶然混浴

  ├片腕で不自由なカイナをユウキが洗ってあげる

  ├お互いの能力や肉体の話

  └二人きりで初めて少しだけ語られるユウキの秘密

  なぜ(Why)

  ├だってサービスシーンは絶対に必要だってばよ!←どうでもいい

  ├行くあてのない自分を誘ったカイナに、ユウキは興味津々

  ├すらりと痩せててえろかわボディなユウキ、何故あの怪力が?とカイナ

  ├お互いの今後を少し話し合う

  └とりま、激戦続きだったししばらくマターリとスローライフを決意


 二日目・どこで(Where)

 ├カイナの家の食堂で

 │誰が(Who)

 │└カイナの家族全員と、ユウキと

 │何を(What)

 │├朝食を食べる

 │└サワとユウキの料理対決

 │なぜ(Why)

 │├ユウキに猛烈なライバル心を燃やすサワ

 │├それとなくカイナに、今後のことを聞くセナ

 │├とりあえずバイトしながら、再修行を決意するカイナ

 │└燃えてるサワと、そんなサワをかわいいと思うユウキ

 │

 ├ユズルユ村の商店街で

 │誰が(Who)

 │├カイナとユウキと

 │└途中までサワ

 │何を(What)

 │├買い出しに

 │├ユウキに「ベタベタすんなよ!」と釘を刺すサワ

 │└サワは自警団の仕事で途中で別れる

 │なぜ(Why)

 │├なんだか二人がデート気分になりそうでイライラするサワ

 │├もうすぐ村の祭りがあるから、その準備

 │├とりあえずバイトしながら、再修行を決意するカイナ

 │└燃えてるサワと、そんなサワをかわいいと思うユウキ

 │

 ├近くの森で

 │誰が(Who)

 │├カイナが

 │└隠れて見ていたセナが

 │何を(What)

 │├片腕でもできる修行、キックの練習を

 │├セナはそれを見守りつつ必要だったらアドバイスをと見守る

 │└ちょっと中級レベルのモンスターが出てきてバトルもアリ

 │なぜ(Why)

 │├カイナは、セルヴォの右腕として再び戦いたい

 │├それが死んだカルディアとの約束でもある(幼馴染同士で助け合う誓い)

 │├今まで重要視してこなかったキック技を研ぎ澄ませばという可能性

 │└思うようにいかず壁にぶち当たる弟子にして息子にセナもハラハラ

 │

 └夕暮れのカイナの家の庭で

  誰が(Who)

  └カイナとユウキ、そしてユウキを訪ねてきたシエル

  何を(What)

  └ユウキの鎧の調整、そしてカイナへ義手を作ろうという話になる

  なぜ(Why)

  ├シエルもまた、生まれた貴族の家を追放された身

  ├ユウキの鎧は機械式で、そのノウハウで義手も作れる

  ├ユウキの発案で、シエルも技術者として興味があるので引き受ける

  └ただし、元の神経を機械の義手と接続させるのは超痛い


 三日目・どこで(Where)

 ├バイト先の温泉施設で

 │誰が(Who)

 │├カイナが

 │└ちらりとだけセナが

 │何を(What)

 │├風呂掃除

 │└男の客にも女の客にも人気者

 │なぜ(Why)

 │├今は戦うことができないが、家族のために稼ぐため

 │├風呂掃除で身体を動かしながらも、修行のことで頭が一杯

 │├もうすぐ祭だと周囲は浮かれている

 │└ひとっ風呂浴びに来たセナから、またもヒントとアドバイス

 │

 ├お祭りの広場で?

 │誰が(Who)

 │├カイナとユウキと子供たちと

 │└巫女の役をやることになったサワが

 │何を(What)

 │├露天や出店で食べ歩き

 │└広場では巫女の舞いと音楽、歌

 │なぜ(Why)

 │├天界樹に感謝を捧げる祭で、少しだけ世界観の説明

 │├綺麗になったサワにびっくりのカイナ

 │├巫女の舞いを踊るサワに、カルディアの面影を見出すカイナ

 │└思わず昔を思い出してしまい、無意識に泣いしまい走り去るカイナ

 │

 ├夜の神社で?

 │誰が(Who)

 │└カイナとユウキが

 │何を(What)

 │├幼少期の幼馴染三人組だった記憶を思い出して、泣けてきたカイナ

 │└追いかけてきたのはユウキで、二人きりに

 │なぜ(Why)

 │├今まで朴訥として無愛想だったカイナの、初めての涙

 │├それを見て放っておけなかったユウキ

 │├二人で話しながら花火を見て、気付けばユウキに慰められてる

 │├ユウキの真相が初めて語られる(地球の人間で魔王に召喚されたと)

 │└いい雰囲気になりそうだったが、弟や妹たちがやってきて帰宅

 │

 └森の滝で?

  誰が(Who)

  └さっきのことで寝付けないカイナと、セナが

  何を(What)

  ├修行の総仕上げとしてガチバトル

  └キックの極意を身体で伝授、すぐにカイナは使いこなす

  なぜ(Why)

  ├もともと身体ができていたカイナは、基礎がある

  ├足技を多用してこなかったが、全ての技で「地を蹴っていた」から

  ├よって、ちょっとしたきっかけで蹴り技に習熟。

  └修行の完了と共に、カイナは再びセルヴォの元に駆けつけることにする


 四日目・どこで(Where)

 ├カイナの家で

 │誰が(Who)

 │├カイナが

 │└シエルとユウキ、セナによって

 │何を(What)

 │└義手を装着する(超痛い)

 │なぜ(Why)

 │├本来なら少しずつ慣らすが、いきなり本番で完成品を装着

 │├修行が終わった今、少しでも早くセルヴォの元に行きたい

 │├痛みに暴れそうになるが、ユウキが密着で押さえつけてくれる

 │└こうして鋼の右腕を装着!しかし調整ミスでうっかりボインタッチ!

 │

 ├村外れの洞窟で

 │誰が(Who)

 │├カイナとユウキが

 │└モンスター退治に入ってピンチになったサワを

 │何を(What)

 │└カイナの義手とユウキの鎧、調子を見つつモンスターを討伐

 │なぜ(Why)

 │├急いではいるが、妹のサワは絶対に見捨てられない

 │├丁度いい肩慣らしだ……生まれ変わった技を魅せてやる

 │├ようやく隻腕に慣れたのに、今度は左右の重量バランスが違う(新課題)

 │└ユウキとのコンビネーションは不思議とバッチリだ!

 │

 └ユズルユ村の出口で

  誰が(Who)

  ├カイナとユウキが

  └そしてシエルがついてくる

  何を(What)

  ├いよいよ再び戦うために旅立つ

  └セナとサワ、そして子供たちや村人が見送ってくれる

  なぜ(Why)

  ├シエルはまだまだカイナの義手を調整したい

  ├サワは今度もまた生きてカイナに帰ってきてほしい(約束)

  ├セナは信じてるからあまり気にしてない

  └また三人で出発だ(幼馴染三人組を思い出すカイナ)




 一日目~四日目というのは適当で、数日空く日もあれば、次の日のシーンもあると思いますね。まあ、そこは書いてて調整です。

 とまあ、長くなりましたが二章だけでこれだけのシーンがありますね。話のテンポや内容にもよりますが、物語の場所が移動する時は、時間が経過した時と同様に一旦区切るのがいいのではないかと思いました。

 次はこの調子で、三章も細分化してみましょう。

 実は、一章と四章はそれぞれ、エピローグとプロローグであまり分量を盛り込まなくてもいいような気がしてます。ま、それも後半の三章の内容次第ですね。

 皆様もよければ、5W1Hを用いたあらすじ作成、試してみてください。




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