~8~ 報告①

 フランクがエクトルからの報告メールに気付いたのは、仕事を終えて家に帰り着き、友莉が用意してくれたお風呂で疲れをとった後だった。

 メールの内容を確認し、ふっと表情を和らげたフランクはソファで一緒に寛いでいる友莉にスマホを渡す。

「あら。エクトルったら、成功させたのね」

「そうみたいだ。羽琉さんからちゃんとした答えをもらって、気分が高揚していることが文面から読み取れるな」

「ほんと」

 普段あまり使わない絵文字やハートが舞うスタンプを見て、友莉はくすっと笑った。

 その時、友莉のスマホもメールの着信を告げるメロディーが鳴った。

 メール画面を開くと、羽琉からのメールだった。

 内容は丁寧な挨拶から始まり、エクトルからプロポーズされたこと、そのプロポーズを受け入れたことの報告だった。控えめながらも、エクトルに対する自分の想いもメールに綴られており、友莉もほっと安堵の表情を浮かべる。

「良かった。エクトルを選んでくれたのね」

「渡仏する覚悟を決めていた時点で、エクトルの想いを受け入れる用意もしていたんだろうな」

 フランクの肩に頭を傾けた友莉は「そうかもね」と嬉しそうに言う。

「今度お祝いに行きましょう」

 自分に寄り添う友莉の頭にちゅっとキスをしたフランクは、滅多に緩めない表情筋を緩め「そうだな」と嬉しそうに同意した。

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