Session1 小人と小鬼と森の廃村
第1話
「……怖いなぁ、ここまで隠密行動で切り抜けてるけど、いつかはやり合わないとだよな」
僕の名前は
いいから話せと言われても、ここまでの経緯を話していられるほど今の僕は余裕という物が無いのだ、何せ、草葉の陰に隠れ潜む僕の目の前には大きな大きな黒い虫が悠然と張っているからだ、アグアドの動物系モンスターは何かと大きい。
コックローチ、バタフライ、スパイダー、モース、正直気持ち悪い。
今目の前を歩いているのはクワガタと言った所である、大きけりゃ格好がいい訳では無いんだよなぁ。
「アグアドはなんだって、虫ばかり大きくするの、だから人気無いんだよ」
『私は好きだけどなぁ、さっきの通り過ぎた、もう出て平気だよ』
「まぁ、僕も見た目は嫌いではないけどね、ただアグアドだと敵はひたすら、邪魔なだけの存在だからな」
頭の中に声が響いて来る、この世界に僕やクラスメイトの魂を送り届けた男だ。
僕が一人でいるのが自分の責任だと悪く思っているのか、この男はしょっちゅう声をかけてくれる、元来、僕は人見知りしない子なんだ、人嫌いと言う訳では無い。
ネットではしょっちゅう色んな人とTRPGしてた。学校と言う枠に置いてぼっちであるだけなんだ……本当だ、信じて欲しい。
「ただまぁ、アグアドのソロプレイしろとか鬼畜なんだよなぁ」
『その割には耐えてるじゃないか、敵に見つからずに』
「このビルドは敵に見つからないのが前提だからね」
僕のこのビルドは僕が編み出して、界隈でシモヘイヘビルドと呼ばれる物だ。
コビットの《身軽》を活かして隠密判定を行い、敵との戦闘時に隠密状態でいる事を心掛ける、隠密状態のキャラに敵は干渉できないのだ。
そして、発動、常時技能【隠密行動】このスキルは本来なら何らかの行動をしてしまうと解除される隠密状態が解除されないという優れたスキル、これで急に戦闘が起きてもその場から逃げてしまう事なんかが出来る。
隠密状態は看破判定という知性が必要な判定で隠密しているキャラクターの判定成功度を上回る事、しかし《小柄》を持つコビットを対象にした知性判定は判定回数が減る。
このゲームの判定方法は。難易度があり、それに対して、対応する能力値の個数のダイスを振れる、そして成功数が成功度となる、成功度が欲しい時は多く振る、一度だけ成功すればいいと言う時は、一回で止めるのもアリだ、要はチキンレース。
そして判定回数が減るとどうなるかと言えば、高い成功度が稼げなくなる。
まあ、何が言いたいのかと言うとと。
「動物系モンスターは知性が1~2に設定されてた筈、きちんと隠密判定が成功していれば、コビット相手には判定すら出来ない奴ばかりだから、バレる可能性は低い、味方を気にしなくていいなら、基本的に敵を無視する事が出来るし」
『そうだね、ただ、なんどでも言うけど、この世界は君の知るアグアドを踏襲してる、それは間違いない、だが、
「はいはい、さてと、この大陸にまともな国が無いなら、僕が作るしかないのかな、国とはいかずとも、せめて文化的な生活を送れるレベルの村は作りたいな」
ゲームじゃなくてリアルねぇ、でも僕のゲーム知識は役立っている、指標にしてくには丁度いい指標だろう、そして、僕の目的はこの世界での文化的な生活だ。
サバイバルなんか冗談じゃない、僕は暖かい家、柔らかいベッド、美味しいご飯に清潔な衣服を着て、暮らして行きたい、それを可能にするには、アグアドのシステムを上手く使っていくほかないだろう。
「
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