奥々風土記 解題

 奥々風土記は江刺恒久が藩主南部利剛より、封内風土記の編纂を命じられて執筆されたものであって、この種風土記中の代表的な物と思われ、旧南部領全体を網羅する膨大な著書である。

 本書は南部伯爵家所蔵本と、江刺家に伝承された原本とに基づいたもので、江刺家蔵本を見るに、全本を通じて間宮永好・栗田寛爾が、考証の筆を加えられていることから察する時は、遅くとも明治34年以前に、完成したものと想察することができる。(間宮永好は明治5年1月3日没)

 巻頭に添えた年表は、著者の嗣子清臣氏の手稿に基づき取捨したものである。年表に記した刊行本のほか、恒久の著書としては「岩手の嵐」「梅の下風」「森の下風」「燧袋考」「和歌会次第」「弓籠手行縢書ゆごてむかばきしょ?」「大秡詞正訓(国立国会図書館ID:000000460264)」「葬送略記」「神遊舞楽」「年契略」「称辞たたえごと集」「菊逎屋きくのや祝詞集」「菊逎屋歌集」などがあるということであるが、散佚さんいつして伝わらない。惜しいことと申さねばならない。

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