第36話 古畑任三郎は今日も自転車に乗っている🚲️



「はーい、皆さん。おはようございます」


「おはようございます」


「んー、私の記憶が正しければ。んー」


「何ですか ? いきなり」


「んー、この作品が投稿されるのは随分久しぶりになります。んー」


「あの、何をしてるんですか ? 」


「んー。どうしてそんな事が言えるのか、ですって ? んー」


「あの ? 」


「んー、そんな事は簡単に判ります。んー」


「私、帰りますよ」


「んー、職場を放棄してはいけませんよ今泉君。んー」


「今日の私の名前は今泉君という設定なんですか ? 」


「あー、うっさい!アンタも鈍いわねぇ」


「は ? 」


「観ててわかんないの!」


「判らないから聞いているんです」


「古畑任三郎のモノマネしてんじゃないの!察しなさいよ!」


「・・・また、ムチャ振りする」


「ムチャじゃ無いでしょ!こんな完璧なモノマネ」


「あの ? 」


「何よ ? 」


「全く似ていませんけど」


「・・・そんな。そんなバナナ!」


「そのネタ、前にもやりました」


「あら ? そうだったかしら ? 」


「何故、古畑任三郎を ? 」


「んー、それはですねぇ」


「止めて下さい。マジで似てませんから」


「ぐっ。わーったわよ!」


「さっ、早く本題に」


「アンタって、結構Sね」


「ドSの貴女に言われたくありません」


「うっさいわ!オホン、田村正和さんがお亡くなりになったでしょ」


「残念でしたね。あの方には独特の存在感がありましたから」


「そうなのよねぇ。それで、田村正和さんと言えば古畑任三郎でしょうが」


「それで似てもいないモノマネを」


「うっさい!似てもいない、は要らんわ!」


「事実ですから」


「チッ。話を戻すわよ。アタシの中では田村正和さん=古畑任三郎なのよ」


「かなり色々な役をおやりになっていますが」


「まぁね。年配の方だと眠狂四郎とか。でもアタシと言うかアイツの中では古畑任三郎ってワケ」


「あの方はリアルタイムで観てたんですかね ? 」


「んなワケないでしょ。第1話が放送されたのが27年前なんだから」


「それでは例によって」


「そう。アイツの伯母さんのDVDで観たのよ」


「なるほど」


「アタシも観たけど面白かったぁ」


「古畑任三郎を知らない方の為に少し解説を」


「そうね。古畑任三郎は殺人課の警部補なのよ」


「それでは犯人を捕まえる推理もの ? 」


「それはちょっと違うのよね。ドラマの冒頭で犯人が事件を侵すんだから」


「それでは視聴者は犯人を知っている、と」


「そう言う事。これは倒叙もの、と言われる形態なんだけど。」


「ふーむ」


「日本では49年前から放送された、刑事コロンボがこの形態をとってるわ。アタシは観てないけど。何かお決まりのセリフがあって人気があったみたい」


「えーと。古畑任三郎は何故、その倒叙ものと言う形態を ? 」


「だって犯人役で毎回、有名人が出てくるんだもん。配役を見ただけで犯人は誰か判っちゃうじゃない」


「なるほど」


「だから冒頭で有名人の犯人役の人が完全犯罪をするの。普通なら無罪になっちゃうような完全犯罪を古畑がどう切り崩していくか。これがこの作品の醍醐味よ」


「そう言われると面白そうですね」


「メッチャ面白いわよ。ドラマでは解決する前にCMが入るの。その時にバックが暗くなって古畑がヒントを言うの。つまり視聴者も一緒に考える事が出来るの」


「しかし、それではよほど脚本がしっかりしてないと。視聴者は納得しませんね」


「そこが脚本を書いた三谷幸喜さんの凄さよ。田村さんの飄々とした演技も加わって傑作と言われるような作品になったのよ。脇を固める俳優さんも音楽も良かったわ」


「私も観たくなりました。お勧めの回ってありますか ? 」


「うーん、どれも面白いって言えば面白いけど。アタシの記憶の中ではキムタクが犯人役をやった、赤か青か、が印象に残ってるかな。後は将棋の回とか」


「判りました。まだレンタル屋にはありますよね ? 」


「さあ ? でも田村正和さんがお亡くなりになったからあるんじゃない ? 地上波で再放送もやってるみたいだし」


「了解です」


「最後に。田村正和さんのご冥福をお祈り申し上げます」


「安らかにお眠り下さい」




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