第35話 ホントに雑談 2


「はーい、皆さん。おはようございます」


「おはようございます」


「なんか随分と久しぶりな感じなんだけど」


「えーっと、10日ぶりくらいですかね」


「はぁ ? 何やってんのよ!アイツは!」


「何やら新作を書き始めたらしいです」


「新作ぅ ? アイツ、アタシらには忙しい忙しい言ってるくせに!」


「ちなみに新作のタイトルは」


「言わんでいいわ!」


「いや、言うようにと言われていますので」


「誰に ? 」


「あの方にですが」


「はあ ? アタシらに宣伝しろって言うワケ ? 冗談じゃ無いわよ!」


「しかし、原稿が」


「ちょっと貸せ」


ビリビリビリ


「あぁ、原稿を」


「フン!ざまぁみろ!」


「知りませんよ。私は」


「うっさいわ!これでアイツの野望を打ち砕いてやったわ!」


「それで今日はどうするんですか ? 」


「アタシ、昨日は祖父母のワクチン接種の予約をしようとしたのよ」


「また、脈絡もなく話題を変える」


「アタシらの住んでる市では保健所に予約するのよ」


「ほう。それで」


「電話とネットで予約をするんだけど、どうせ電話は繋がらないだろうからネットにしたのよね」


「はい」


「事前登録もスマホでやって朝9時の予約開始を待ったわ」


「それで ? 」


「9時の3分前には予約サイトに入れたのに9時になるのと同時に入れなくなった」


「あちゃあ」


「現在は大変混雑していてサイトに接続出来ません。しばらくお待ちになって再度お入り下さい。だって」


「それから、どうしたのですか ? 」


「どうしようも無いわよ。何度も入ろうとしたけどダメだし」


「はぁ」


「30分くらいしたら入れたけど、もう予約終了になってたわ。ま、仕方ないわね」


「でもワクチン接種はどうするのですか ? 」


「別に。まだこれからも何週かは予約できるし。焦る事ないわ」


「そうなんですね」


「メディアが煽り過ぎてんのよ。ワクチン接種しなきゃ必ず感染する訳でも無いのに」


「それはまぁ」


「アタシの知人が保健所で働いてるんだけど」


「貴女も顔が広いですね」


「心も広いけどね♪」


「人をさんざん殴っておいてよく言いますね」


「何か言った ? 」


「いえ、何も」


「その人はコールセンターの仕事をしてるんだけど。かかって来る電話がヒドイらしいの」


「そうなんですか」


「罵詈雑言の嵐らしいわ。怒鳴り散らす人もいるらしいし」


「・・それはちょっと」


「気持ちは判らなくも無いけど。もう少し冷静になって貰えたら」


「そうですね」


「今はちょっとパニックみたいになってるでしょ ? これもメディアが煽るからよ」


「確かに」


「その人が言うには7月上旬までには全ての高齢者にワクチン接種が出来るからって」


「7月ですか」


「何、言ってんの!あと1カ月ちょっとじゃない!」


「それもそうですね」


「アタシ達はこれまで通り手洗いやうがいや消毒を徹底して行けば良いのよ」


「人が集まる場所ではマスクですね」


「そうね。後はちゃんと栄養と睡眠を摂って体力と免疫力を向上させる」


「基本ですね」


「そうそう。とにかくパニックにならないように冷静に。テレビなんて観なくても良いわよ」


「それでは家で大人しく読書でもしますか」


「ちょっと。何を読んでんのよ ? 」


「あの方の新作です。えーっと、僕の視線の中で踊る君の髪」


「テメェ!言いやがったな!正義の鉄拳を喰らえ!」


「やっぱり、殴られるんかーい」




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