第15話 桃の節句🎎 自然と共生する日本文化


「はーい、皆さん。こんばんはぁ」


「こんばんは」


「ねぇねぇ。今日は何の日か知ってる ? 」


「桃の節句ですね」


「え ? おひなさまの日じゃないの ? 」


「ひな祭りの日と呼称される事もあります」


「そ、それくらい知ってるわよ。そうよ、今日は桃の節句なのよ!」


「知っているのなら最初から言って下さい」


「うっさい!最初から桃の節句なんて言ったら堅苦しくなるでしょ」


「タイトルには思いっきり書いてありますが」


「ゲッ!マジかよ」


「タイトルくらいは確認しておいて下さい」


「だから、うっさい!せっかく人が七段飾りのお雛さまを楽しんでるのに」


「え ? 家に飾っているのですか」


「んなワケ無いでしょ。写真を見て雛あられを食べながら楽しんでるのよ」


「ビックリしました」


「アンタねぇホントに七段飾りなんてやってみなさいよ。ウチの天井ツキ破るわ!」


「確かに」


「それで何で桃の節句、って言うのか知ってる ? まだ寒くて桃の花も咲いてないのに」


「それは旧暦だからでしょう」


「そう言う事。今の太陽暦だと4月だから、ちょうど桃の花が咲く時期よねぇ」


「しかし何故、女の子のお祭りになったのでしょうね」


「うーん、これは色々な説があるんだけど」


「そうなんですか」


「平安時代には貴族の間で女の子達の雛遊び、つまりお人形遊びは始まっていたみたいね」


「ふむふむ」


「これとは別に流し雛って言うのもあってね。昔は乳幼児の死亡率は今とは比較にならないくらいに高かったのよ。栄養状態とか病気とか」


「でしょうね」


「それで親達は子供の身代わりとして雛を流す。形代とも言うけど。そして、1年の災いを春の雛流しで払う。これと上で言った雛遊びが結びついて、今の桃の節句になったみたいね」


「なるほど。子供の無事を祈る神事だった訳ですね」


「まぁ、節分の豆まきとかお正月の門松とか七夕の笹飾りとか。ルーツをたどって行けば大抵は神事と結びつくんじゃないかしら」


「それは今で言う神道とは違うのですか ? 」


「うーん、その辺の所は難しいんだけどアタシは違うと思う。もっと原始的なアニミズム、八百万の神々って言う考え方。この万物に神が宿るって言う考え方はアタシは大好きよ♪」


「イエスやマホメッドのような1神教では無い、と言う事ですね」


「昔の人は言ってたでしょ。おてんとう様が見てるとか、食べ物を粗末にすると神様のバチが当たるとか。そんな風に日本人の倫理観が作られて来たのよ」


「自然を支配するのでは無く、自然と共生して行くと ? 」


「自然だけじゃ無いわ。他国の人達や文化も取り入れる大らかさがあるのよ。お正月には神社に行くしお盆には仏様に手を合わせる。クリスマスはイエスの誕生日も祝ってあげるんだから」


「その辺りが外国の人からは異質に見えるのでしょうね」


「アタシはそれで良いと思ってる。アタシは押し付けがましい宗教はあまり好きじゃ無いから、この日本人のある意味いいかげんな感覚はとても肌に合うの」


「少し御幣がある言い方ですけど」


「良いんじゃない ? 日本は四季がとても豊かで美しい。1年の行事の中にも花の名前とか季節感が感じられる。食事とかでも季節の旬とかあるでしょ。日本の文化は自然との共生の中で生まれ育まれて来たのよ」


「そんな国に生まれて来れて良かったですね」


「ホントにラッキーだったわ。さてと、そろそろ準備をしなきゃ」


「白酒でも召し上がるのですか」


「何言ってんのよ!今日はひな祭りで宴会よ!」


「結局、呑むんかーい」






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