第13話 マンガについて語ろう 弐
「はーい、皆さん。こんばんはぁ」
「こんばんは」
「あら? 今日は何の祝日だっけ? 」
「天皇誕生日です」
「あっ、そうか。でも去年もあったのよね? あまり記憶が無いんだけど」
「去年はコロナの第1派でバタバタでしたから」
「そうだったわねぇ。ところで平成の日って無いのね」
「そうですね」
「なんで? 昭和の日はあるのに」
「それだけ、昭和という時代が特別だったのですよ」
「まぁ、確かに。実在する歴代の天皇では最も長い在位だったし」
「1番の激動の時代でもありました」
「皇室については色々な意見があると思うけど、アタシは断言する。昭和天皇がいらっしゃら無かったら、今の日本は存在しない」
「これは各人の考え方に委ねるしかありませんね」
「そう言う事ね。えっと、今日の本題は何だったかしら? 」
「以前のマンガについて語ろう、の続きですね」
「あぁ。アイツの手塚氏に対する想いってヤツね」
「ちなみにアイツとは北浦十五さんの事です」
「いちいち言わなくて良い!アイツの事はアイツで良いのよ!」
「いえ、これを初めて読む方もいらっしゃると思いますから」
「ちっ!いちいちメンドクサイ奴ね。メンドクサイついでに言っておくけど」
「なんですか」
「アイツのマンガやアニメの知識や価値観は、アイツの伯母さんが深く影響してるらしいのよ」
「ほう」
「小さい頃からとても可愛がって貰って、色々なマンガやアニメを教えられたんだって」
「なるほど」
「で、前回では言い足らなかったけど手塚氏の功績で最も重要な事があるらしいの」
「なんですかね」
「マンガにテーマ性とストーリー性を取り入れた事。それが、それまでの漫画とは決定的に違うんだって」
「うーん、具体的に言いますと? 」
「まずテーマ性を取り入れる事で、その作品で作者が何を表現したいのかを明確にする」
「ふむふむ」
「次にストーリー性を取り入れる事で長期連載を可能にした。それによって主人公を始めとする登場人物の内面描写が描かれて作品に重みや奥行きを持たせる事に成功した」
「なるほど」
「ま、その全てを手塚氏がやった訳じゃ無いけどね。少なくとも突破口を開いたのは事実よ。手塚氏の影響を受けた人達が次々と現れてマンガは恐ろしい程の多様性を持って現在に至る、って事ね」
「良くわかりました」
「あー、疲れたぁ。ちょっと休憩」
「何、勝手に休んでるんですか。まだ途中ですよ」
「だって、疲れたんだもん」
「だもん、じゃないでしょ!だもんじゃ!」
「うーっさいわねぇ。何、だもんだもん言ってんのよ」
「あなたが言ったんでしょーが!」
「何か甘いもの、あったかしら」
「人の話を聞けぇ!」
「また大きな声出して。ホントに心臓とまるわよ」
「はぁはぁ。あのですね。今回で手塚氏の事はいったん締めないと次に進めません」
「ん? まだ言い残した事あったっけ? 」
「あの方の手塚氏に対する想いですよ」
「あー、そんなのあったわね。あー、メンドクサイ」
「それが私達のお仕事です」
「あっ、じゃあこういうのはどうかしら? 」
「なんですか」
「アタシがテレパシーで読んでいる方に伝えるのよ」
「・・あなたはテレパシーを使えるんですか? 」
「使えるワケないじゃない」
「・・・・・」
「わーったわよ。やれば良いんでしょ。やれば」
「・・お願いします」
「おほん。それでアイツは手塚氏の功績は認めてるワケよ。だけど手塚氏の作品に関しては微妙なんだって」
「それはつまり」
「今の時点で他のマンガ家さんの作品と比較すると、あまり上位には来ないんだって」
「それは時代のせいでは無いのですかね」
「勿論、それもあるとは思うわ。でも面白いものは時代を超えても面白いのよ。例を挙げれば永井豪氏のデビルマン。この作品は約50年前に描かれたものだけど、今読んでも面白いと言うか凄まじい衝撃があるわ」
「私も読みましたが、確かに凄いです」
「人間と言う生物の根源的なものを描いているから。永井氏はこの作品以降も色々な作品を描いているけど、このデビルマンを超える作品は描けなかったとアタシは思ってる。面白い作品は沢山あるけど」
「話を手塚氏に戻しましょう」
「そうね。手塚氏は功績はスゴイんだけど、作品はアイツの中ではあまり上位では無い、って事ね」
「でも、評価している作品もあるのですよね? 」
「勿論よ。きりひと讃歌、火の鳥の鳳凰篇と復活篇、ブラックジャックの8巻くらいまで、三つ目が通る、は面白いわ」
「安心しました」
「アタシも読んだけど、きりひと讃歌は必読ね。他のはメジャー作品だし」
「お疲れ様でした」
「だーっ。やっと手塚氏をひとまず締められたぁ」
「マンガの神様ですからね」
「ちょっと疑問なんだけど」
「なんですか」
「今回のこれを読んで、面白いと思ってくれた方はいるのかしら? 」
「さぁ」
「さぁ、って何よ!さぁって!」
「私に言われても」
「あー、ノド乾いた。ハーブティー持ってきて」
「そこにあります」
「・・グッジョブ」
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